人口約九万人の宇和島市に、市立三病院は多過ぎる。総務省は全国の公立病院に経営の効率化や形態見直しを盛り込んだ改革プランを本年度中に策定するよう求めている。病院経営改善は「市政最大の課題」(石橋市長)



人口約九万人の宇和島市に、市立三病院は多過ぎる。総務省は全国の公立病院に経営の効率化や形態見直しを盛り込んだ改革プランを本年度中に策定するよう求めている。病院経営改善は「市政最大の課題」(石橋市長) 
合併直後から市立病院の経営について協議してきた庁内検討委員会は〇七年四月、三病院を非公務員型の独立行政法人に移行させるのがふさわしい、とする報告書を市長に提出した。検討委トップの森忠副市長は「人件費など固定費の抑制や医師の招聘(しょうへい)を図るには、現体制では難しい』    


平成の大合併えひめ・奔流の後に・第2部・効果検証(4)医療維持 効率化へ独法化検討 
2008.08.29 愛媛新聞  
  

 宇和島市中心部にそびえる十階建ての真新しいビル。移転改築工事を終え、十月開院を待つ市立宇和島病院だ。備えられたヘリポート、最新機器。石橋寛久市長は「これまで以上に南予の中核を担う」と意気込む。 

 ただ病院運営を取り巻く環境は厳しさを増している。二〇〇五年八月の合併で宇和島をはじめ吉田、津島の三つの市立病院を抱えることになった宇和島市。市民の生命にかかわる医療サービスの維持は至上命令だが、病院運営が厳しい市財政にとって相当の負担であることも否めない。 

 過疎地医療や救急、周産期医療など不採算部門を抱える公立病院は多くが赤字。宇和島も例外でない。市立三病院の〇七年度決算見込みは二億九千五百万円の赤字、唯一黒字の宇和島病院も収益は前年度比二億九千万円減の三千八百万円。 

 〇七年度、市は三病院に一般会計から五億七千二百万円を繰り出した。本年度は予算ベースで七億二百万円を支出。さらに来年度には宇和島病院改築の元利償還金支払いが始まる。 

 「人口約九万人の小都市に、市立三病院は多過ぎる」。そんな声もある。総務省は全国の公立病院に経営の効率化や形態見直しを盛り込んだ改革プランを本年度中に策定するよう求めている。病院経営改善は「市政最大の課題」(石橋市長)になっている。 

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 合併直後から市立病院の経営について協議してきた庁内検討委員会は〇七年四月、三病院を非公務員型の独立行政法人に移行させるのがふさわしい、とする報告書を市長に提出した。検討委トップの森忠副市長は「人件費など固定費の抑制や医師の招聘(しょうへい)を図るには、現体制では難しい」と危機感を語る。 

 市は効率化のため、新宇和島病院を急性期医療に特化し、療養・慢性期医療に吉田、津島の両病院を活用する連携も模索している。 

 だが独立行政法人化に市民から懸念の声も上がっている。 

 「病院閉鎖につながる道ではないか」。吉田地区の住民や病院関係者でつくる「吉田病院を存続・充実させる住民の会」の西村久一会長(59)は疑問を投げ掛ける。これまで以上に収益を重視することになれば、全国的に深刻な医師不足が続く現状で「構造的に黒字は難しい」と考えるからだ。 

 「高齢化が進む吉田地区から、お年寄りが遠い宇和島病院まで通うのは不便。地元に病院を残してもらいたい」 

 民間の敬遠する不採算部門を担う役割もある公立病院。財政難の中、自治体は絶妙のかじ取りを迫られている。