大阪府阪南市立病院・・・診療実績に応じた歩合給制度を導入。平均年収を1200万円から2000万円に引き上げた結果、4人の招へいに成功した。9月から、1年2か月ぶりに内科診療を再開


『大阪府阪南市立病院・・・診療実績に応じた歩合給制度を導入。平均年収を1200万円から2000万円に引き上げた結果、4人の招へいに成功した。9月から、1年2か月ぶりに内科診療を再開』        
   
 医師求ム」自治体明暗 破格待遇、引き抜き合戦 年収3500万円2人確保… 
2008.08.30 読売新聞  
  

 ◆「ぜいたく」批判で縮小/県境越えあつれきも 

 医師不足が深刻化する中で、各自治体は、手当や奨学金などの充実による医師確保に躍起になっている。経済的な支援という即効性のある方策で成功したケースがある反面、新設した制度になかなか応募がなかったり、自治体同士の〈引き抜き合戦〉につながったりしており、課題も目立ち、金銭面だけでなく、総合的な支援が必要との声もある。 

 ■即効性 

 大阪府阪南市立病院は、和歌山県立医大から派遣されていた医師が相次いで退職し、昨年7月に内科を休止した。今春には入院患者の受け入れもできなくなり、一時は病院廃止も検討された。市は「民間並みの勤務条件でなければ医師は相手にしてくれない」として、診療実績に応じた歩合給制度を導入。平均年収を1200万円から2000万円に引き上げた結果、4人の招へいに成功した。9月から、1年2か月ぶりに内科診療を再開する予定だ。 

 麻酔科医4人が一斉退職した大阪府泉佐野市の市立泉佐野病院も今春、後任医師を年収3500万円(最高)の報酬で公募、2人を確保した。 

 ■難航 

 2006年に産婦人科医が不在となり、分娩(ぶんべん)の扱いを一時中止した島根県隠岐の島町の公立隠岐病院。運営する隠岐広域連合が4月から、月15万円の離島医師従事手当を創設、なかなか応募がなく関係者をやきもきさせたが、最近、ようやく1人から応募があり、交渉中。松田和久町長は「手当は、厳しい財政状況の町には大きな負担だが、医師確保は最優先」と話す。 

 滋賀県は昨年度、出産や育児で医療現場から離れた女性医師への復帰奨励金の貸与を始めた。使途は医学書の購入や勉強会への参加費、通勤のための車購入などを想定、県と病院が計240万円を貸し、1年間勤務すれば返還を免除するが、まだ利用はない。 

 和歌山県新宮市は今年度予算案に、医師向けに免震構造の2階建て住宅(延べ195平方メートル)5戸の建設を盛り込んだが、1戸7000万円の〈豪華住宅〉の計画に、市民から「ぜいたく」との批判が上がり、免震構造をやめるなどし、1戸3千数百万円に圧縮した。 

 ■綱引き 

 兵庫県では、西隣の鳥取県の鳥取大に年間3000万円を支払い、寄付講座を開設。その見返りに、公立八鹿病院(兵庫県養父市)には昨年、鳥取大から医師2人が派遣され、研究と診療を行っている。県境を越えた大学への寄付は異例な措置で、兵庫県の担当者は「県北部と鳥取県は同一の医療圏」と強調する。 

 医師を〈奪われる〉格好になる鳥取県の担当者は「兵庫県と違い、人口60万人の鳥取に財政的余裕はない。寄付講座を開ける自治体とそうでない自治体とで、医療格差が生じかねない」と心配する。 

 ◆総合的な支援必要 

 会社員から医師に転職し、地域医療を担っている島根県雲南市掛合町の掛合診療所の本多一郎医師(49)の話「金銭面だけでは医師の確保は難しい。診察に追われて時間的余裕がなく、さらに体力的にもきつい状況下では、満足のいく診療はできない。休日の取得を含むバックアップ体制や、最新医療を学べる研修制度の充実など、総合的な対応が必要だ」