地域振興協会の 医師派遣能力にかげり・・常勤医を当初計画の6割しか確保できず、一部の診療科を休診する事態。



『地域振興協会の 医師派遣能力にかげり・・常勤医を当初計画の6割しか確保できず、一部の診療科を休診する事態。』 
     

[ニュース探究便]飯塚市立病院、医師不足 常勤医6割が一部休診=福岡 
2008.08.17読売新聞   
  

 ◆臨床研修医制度の影響 派遣元の医局にもいない 

 4月に開院した飯塚市立病院(飯塚市弁分、250床)が、常勤医を当初計画の6割しか確保できず、一部の診療科を休診する事態になっている。新卒者が研修先を自由に選べる臨床研修医制度の影響で、医師の派遣元だった大学病院の医局にも医師が残っていないためだ。病院間の医師獲得競争も激しく、募集に手を尽くしても集まらない状況に、市は危機感を募らせている。(木崎俊勝) 

 同病院の前身は、独立行政法人・労働者健康福祉機構が運営していた筑豊労災病院。国の特殊法人等整理合理化計画によって閉院されたため、市が引き継ぎ、指定管理者の社団法人「地域医療振興協会」(東京)に運営を任せた。 

 同協会は当初、診療12科に常勤医32人を配置する計画だった。しかし、実際に配置できたのは内、外、眼、放射線、リハビリテーション、小児の6科の21人にとどまっている。 

 残る6科は大学病院の医局に派遣を要請したり、複数の医師あっせん会社に登録したりしているが、めどが立たず、脳神経外科は休診を余儀なくされた。泌尿器、耳鼻咽喉(いんこう)など4科は入院患者を受け入れず、外来だけ非常勤医で対応。神経内科は内科の常勤医が兼務して維持している。 

 同病院管理者の武冨章さん(49)は「民間のあっせん会社から医師を紹介されても、交渉の途中でほかの病院に先を越されてしまった。医療機関同士の競争が激しく、雇用は簡単ではない」と言う。 

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 厚生労働省の調査によると、県内の医療施設に勤務する医師は1万3281人(2006年末)。10万人当たりの医師数は263人で、ここ12年間で約40人増えている。 

 しかし、県医療指導課によると、研修医に2年間の臨床研修を義務付けた制度が導入された2004年度以降、研修先に民間病院を選ぶケースが目立ち、都市部の一部の病院に人気が集中する傾向が強くなった。 

 同課は「研修医制度の導入によって、医局で医師を育て、特定の地域に偏らないように派遣する機能は薄れた。その結果、医局頼みだった病院が医師不足に陥っている」という。 

 特に公立病院が医師確保に苦慮している理由について、公立八女総合病院(八女市)を経営する一部事務組合の責任者で、全国自治体病院協議会県支部長を務める吉田博さん(58)は「公立病院の給与の水準が、民間病院に比べ低いため」と言い切る。 

 同病院は06年度、医師の給与が、個人の医療報酬に応じて3か月ごとに変動する成果主義を導入したところ、患者数が増えて病院全体の収益も増加。増収分を次年度の医師給与に充ててベースを引き上げ、民間病院との格差を縮め、常勤医の定着を図ってきた。 

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 飯塚市立病院はベッド数の8割(200床)が埋まれば、採算が取れる計算。しかし、開院以来、6割前後で推移しており、今年度の収支は赤字の見通しだ。 

 市は運営が赤字になっても補てんしない協定を結んでいるため、協会にとっても医師確保が重要課題になっている。 

 市健康増進課は「医師の確保は病院経営の根幹にかかわる問題で、見過ごせない。診療業務に影響が出ないよう医師確保に努めてほしい」と注文するが、協会側は「抜本的な手だてが思いつかない」という。 

 打開策について、吉田さんは「給与の格差を縮めても、まだ不十分。自前で専門医を養成する高度な医療機関にして、病院の魅力を高めないと医師は集まらない」と指摘している。