『東海市民病院の千木良(ちぎら)晴ひこ院長は「これからは200~300床の病院は生き残れない。500床規模の病院にし、病床当たりの医師数をもっと増やす必要がある」。知多市民病院の種広健治院長は「お産や脳卒中など、地域の住民が求める医療を提供していきたい』


『東海市民病院の千木良(ちぎら)晴ひこ院長は「これからは200~300床の病院は生き残れない。500床規模の病院にし、病床当たりの医師数をもっと増やす必要がある」。知多市民病院の種広健治院長は「お産や脳卒中など、地域の住民が求める医療を提供していきたい』 


(地域医療はいま)連携協議、行方に注目 東海・知多市民病院 【名古屋】 
2008.08.05 名古屋朝刊 33頁 3社会  (全1,474字)  
  

 愛知県の東海市民病院と知多市民病院が、連携に向けた初の検討会を6日に開く。両病院とも医師不足と赤字に悩み、「待ったなし」の課題が山積みだ。自治体病院の4分の3が赤字に苦しむ中、総務省は再編ネットワーク化を要請。東海地方で先陣を切る取り組みに、関心が集まっている。(岡崎明子) 


 4月に民間の東海産業医療団中央病院と経営統合し、全国初の「官民統合」を果たした東海市民病院。市民病院は199床のまま救急など急性期医療を担当し、中央病院は主に慢性期医療を担当する154床の分院となった。 

 だが「経営統合は百%うまくいっているとは言えない」(事務局)状況だ。本院と分院の医師数は計31人で、必要数に6人足りない。「統合の目玉」として分院に設置した回復期リハビリ病棟(39床)を診る医師も採用できず、病棟は未稼働のままだ。 

 事務局は「外来患者数はほぼ目標通りだが、病床稼働率は60%程度。計画通りの収益を上げるのは厳しい」と説明する。07年度は市の一般会計から約11億6千万円の繰り入れを受けたが、約2億5千万円の赤字を出した。累積赤字は51億円に上る。 

 知多市民病院も医師不足に悩んでいる。07年度以降、常勤の脳神経外科医がいなくなった。今年4月からは産婦人科医の減少でお産を中止し、300床のうち49床を休止している。07年度は、市から約8億5千万円の繰り入れがあったが、やはり約2億5千万円の赤字だった。約38億円の累積赤字をかかえる。 

 人口約60万人の知多医療圏には、東海、知多以外に常滑市民、半田の四つの自治体病院がある。県が3月にまとめた地域保健医療計画では242床の病床過剰地域となっていて、特に規模が小さい病院の経営は厳しい=表。 

 総務省によると、全国973の自治体病院の06年度決算は、7割以上が赤字だった。最大の要因は、04年度に始まった医師臨床研修の必修化に伴う大学側の医師引き揚げだ。これに診療報酬の抑制が加わり、コスト意識の薄い経営体制などの問題が噴出した。総務省は各自治体に、今年度中に経営改革ガイドラインを作るよう求めている。 

 両病院はこの動きに先立ち、約2年前から連携に向けた話し合いを続けてきた。検討会は、医師確保策や経営のあり方など、年度内に方向性を示す予定だ。 

 だが、いずれも医師不足に悩む赤字病院同士で、連携の先行きは厳しい。連携の進め方に温度差もある。東海市民病院は「待ったなし」の立場だが、知多市民病院は「時間をかけてじっくり」と考えている。 

 東海市民病院の千木良(ちぎら)晴ひこ院長は「これからは200~300床の病院は生き残れない。500床規模の病院にし、病床当たりの医師数をもっと増やす必要がある」。知多市民病院の種広健治院長は「お産や脳卒中など、地域の住民が求める医療を提供していきたい」と話している。 

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 ■知多医療圏自治体病院の経営比較 

 (ベッド、医師数は08年4月現在、以下は07年度) 

        ベッド数 医師数 医業収支比率 人件費比率 病床稼働率 

 半田病院   500床 60人  96.6% 50.4% 89.4% 

 常滑市民病院 300床 32人  86.4% 66.4% 64.6% 

 知多市民病院 300床 30人  89.3% 62.5% 74.9% 

 東海市民病院 199床 23人  74.7% 72.1% 50.4% 

 (医業収支比率は、100円のコストでいくらの収益を確保できるかの割合で、100%以上が望ましい。人件費比率は医業収益に占める給与の割合で、民間病院の平均は約52%。60%を超えると経営的に厳しいとされる。)