採算度外視して 豪華病院を建築した公立病院の 開設者・・・・知事・市町村長・議会と病院長以下 病院幹部職員には医師不足等での破綻責任はある。 政府の責任に転嫁することは出来ない。 公立病院は公営企業として 法律上 効率経営することを義務付けられている。法治国家であるからガイドラインが効率経営を求めるのは当然である。



『採算度外視して 豪華病院を建築した公立病院の 開設者・・・・知事・市町村長・議会と病院長以下 病院幹部職員には医師不足等での破綻責任はある。 政府の責任に転嫁することは出来ない。 
公立病院は公営企業として 法律上 効率経営することを義務付けられている。法治国家であるからガイドラインが効率経営を求めるのは当然である。 
地方公営企業法 第三条  地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。 
なお不採算地区の公立病院存続のため必要十分な財政支援が措置される。』 
    

「効率化」で不採算医療切り捨て*日野秀逸*自治体病院は地域の財産 
2008.07.23 北海道新聞 
  

 いうまでもなく、医療は地域共同体の存立の基盤となる社会的業務である。二〇〇七年十一~十二月に内閣府が「地域活性化に関する世論調査」を行った。地域が元気になるための施策では「福祉・医療の充実」が56%で第一位(複数回答)である。医療再生は、地域再生・活性化の基盤でもある。 

 1 日本の医療政策概観(一九六〇年代後期から現在まで) 

 この間の医療政策は、「拡大期」から臨調行革・医療構造改革への転換と捉(とら)えることができる。一九六〇年代後半から七〇年代前半には日本医療がOECD諸国等よりも量的・質的に劣っているという政策的認識が存在し、医療分野を含む革新勢力の運動を背景に、老人医療無料化や「一県一医大」政策など一定の改善が具体化された(旭川医大も)。 

 オイルショック、スタグフレーションに直面した財界は、七〇年代半ばには、社会保障支出引き締めの姿勢を露(あら)わにした。八一年には、第二臨時行政調査会が設置され、それ以降、医師養成抑制の閣議決定(八二年)、老人保健法の施行(八三年)、健保本人一割負担の導入(健康保険法改悪、八四年)などが行われた。医療費抑制諸政策は、八五年のプラザ合意以降に登場する財界主流の構造改革路線の中で、医療構造改革路線へと「進化」し、強化された。 

 話を見えやすくしよう。六〇年の人口十万人当たり医師数はOECD平均が百十、日本は百であり、二〇〇四年には三百と二百になる。この四十年余りの間に出来た大きな差が日本の医療政策の誤りを端的に示している。六〇年代後期からの拡大路線を継続すべきなのに、「臨調・行革」、「構造改革」という主として財界の利潤確保という動機から出てきた路線に転換した結果が、今日の深刻な医師不足であり、勤務医の過重労働であり、地域医療の崩壊である。 

 2 今後の課題 

 今後の課題については、極めて重要と思われる課題を列記するにとどめる。 

 第一はさらなる医療費抑制を防ぐことである。具体的には、後期高齢者医療制度の廃止・老人保健法の復活である。 

 第二は、「医師養成削減」の一九九七年閣議決定を急いで廃止させることである。本格的に医師不足解消を政府の責任で実施するには廃止が必要であり、そして圧倒的国民世論が医師総数の拡大を支持している今こそがその好機である。 

 第三は自治体病院の問題である。人口の過疎や地域商店街の壊滅など、地域における共同的生活の基盤が弱まっている自治体が増えているこの時期に、公立病院を経営最優先の企業に追い込む政策が強行されようとしている。昨年六月に「地方自治体財政健全化法」が作られ、十二月二十一日には総務省が「公立病院改革ガイドライン(指針)」を発表し、そこでは、「病院経常収支」+「一般会計からの繰り入れ」>0(黒字に)を義務化している。 

 自治体病院の経営悪化には、《1》医師養成を八〇年代半ばから抑制・削減《2》交付税削減《3》バブル崩壊後に政府が行った公立病院への過大施設投資(九三年に標準単価上限枠を取り払い、根拠の無い無駄な過大投資に道を開いた)、といういずれも政府の政策的誤りが根本にある。政府の責任を棚上げにして、七割が赤字である自治体病院に責任を転嫁し、「経営効率化」「再編・ネットワーク化」「経営形態の見直し」の三点セットで、黒字へ転換しようと言うのである。北海道では「指針」を先取りする形で、昨年十月に「自治体病院等広域化・連携構造」(素案)が提示されている。 

 分かりやすく言えば、「経営効率化」とは、自治体病院が担ってきた不採算医療を切り捨てることに他ならず、「再編・ネットワーク化」とは周辺部を犠牲に中心部に医療資源を集中することに他ならず、「経営形態の見直し」とは、指定管理者制度の導入や地方独立行政法人あるいは社会医療法人へと法人形態を変えて、やはり、経営効率優先の仕組みを容認することに他ならない。首長と議会が、自治体病院を地域住民にとっていかなる意味を持つ施設にするのかを明確にして、地域住民の命と健康と暮らしを守る頼もしい地域の共有財産とすること、そのために、住民も議員も首長も知恵と力を出し合うこと、これが喫緊の課題である。 

<略歴> 

 ひの・しゅういつ 東北大大学院経済学研究科教授、国民医療研究所所長。1945年、宮城県生まれ。東北大医学部卒。著書に「医療構造改革と地域医療」(自治体研究社)、「地域医療最前線」(同)、編著に「市場化の中の『医療改革』-国民皆保険の行方」(新日本出版社)など。