静岡県 共立湊病院院長 小田 和弘 さんが職員に向けたご意見をご紹介いたします。 1市5町の共同経営は「新病院検討委員会は5年間経っても何の進展もない」、と言う小田原評定を繰り返させてきた・・



『静岡県 共立湊病院院長 小田 和弘 さんが職員に向けたご意見をご紹介いたします。 
1市5町の共同経営は「新病院検討委員会は5年間経っても何の進展もない」、と言う小田原評定を繰り返させてきた・・社団法人地域医療振興協会の委託経営は模範的であった。南伊豆町で献身的に地域医療に貢献してきた職員にまったく応えることが出来なかった。 

ガイドラインは1市5町の経営形態をやめる事を事実上勧告しています・懇談会では全国の一部事務組合の意思決定機能に強い懸念が表明されておりました(以下 抜粋) 

「二次医療圏等の単位での経営主体の統合の推進」 

・・・・公立病院の経営主体を統合し、統一的な経営判断の下、医療資源の適正配分を図ることが望まい。 

したがって、再編・ネットワーク化に係る計画には、例えば 

①関係地方公共団体が共同して新たな経営主体として地方独立行政法人(非公務員型)を設立し、当該法人の下に関係病院・診療所等を経営統合する、 

②関係地方公共団体が共同して関係病院・診療所の指定管理者として同一の医療法人や公的病院を運営する法人等を指定し、当該法人の下に一体的経営を図る等 
の方策を盛り込むことが期待される。 

なお、一部事務組合方式による場合には、構成団体間の意見集約と事業体としての意思決定を迅速・的確に行うための体制整備に特に留意する必要がある。』 



職員の皆様へ (2008年2月7日 共立湊病院長 小田 和弘) 

本日平成20年2月7日付けの静岡新聞に「社団が共立湊病院より撤退」という記事が載りました。これは昨日の市町長との会談の際に吉新理事長が発言した内容を元にした記事ですが、補足が必要だと思います。 


我々はH9年の共立湊病院移譲の4年前からこの地に赴き、伊豆半島南部の医療をより良いものにする為、日夜励んで来ました。またそれなりの成果を挙げてきた自信があります。特に、H9年の共立湊病院移譲は国内初の国立病院の地元市町村移譲・管理委託方式でした。国立湊病院時代は最悪2億4千万の赤字を計上したこともありました。 


この為、共立湊病院を受けるにあたり、協会が出した条件は国の普通交付税+特別交付税(当初は1億4千万円程度→現在は9千万円程度?)の7割を協会が運営費に頂く、というものでした。ところが、いざフタを開けてみると患者さんは急増し、経営的には全く黒字となりました。これは、増科・医療機器の更新の影響もありましたが、多くは病院で働く職員の献身的な頑張りによるものでした。 [2月18日追記 「予想外の黒字の為、補助金の7割相当を10年間全て一部事務組合に差し上げて来た」という一文が抜けていたとの事でした。] 一方、組合側は当初の5年間の国からの支援(赤字の1/2補填)が切れたH15年頃から、協会に対し減価償却費・新病院建設目的などの名目で更に5000万円の負担金を要求して来ました。当時は病院としても比較的余裕があり、新病院も視野に入れて考えるならと、H19年まで計2億5000万円を拠出して参りました。 


しかし、その後の新病院検討委員会は5年間経っても何の進展もなく、新病院の建設地さえも決まっていません。H27年には耐震(又は免震)構造でない公共施設は許されないことになっておりますので、それまでには建設が終了していなければならないのに、です。 


さて、H20年から新しい指定管理の契約になります。 


皆様ご存知の様にH16年・18年の診療報酬マイナス改訂のあおりを受けたのと、医師数減、患者数減の影響を受け、H18年・H19年と当院の収支は非常に厳しいものとなっております。H18年は収支は赤字でした。こんな中、H20年からの契約でも一部事務組合は「5000万円の負担金と3年契約」を要求して来ました。しかし、社団としては収支の悪化、新病院計画の不透明性等を理由に「負担金は最大3000万、1年契約、赤字の場合は補填を」と希望しました(H19年11月)。 


更に要請事項として 

①状況により休床や診療科目の縮小もご理解願いたい。 

②3年以内に新病院構想を明らかにしてほしい。 

③新病院建設地は、圏域利用者や救急転送等に利便性の高い地区(下田市内など)が望ましい。 

④前項の場合、現病院の縮小計画や後医療の確保、なぎさ園の運営には十分配慮する。 


を揚げています。 


また、理事長は「現在の地でこれ以上やるのでは、患者数減に歯止めはかけれぬ。あくまで主張するなら直営か他の団体にお願いしてくれ」という話を今までして来ました。 


そんな中で、2月6日の理事長・院長・6市町長会議はもたれたのですが、事務組合はあくまで上記条件を希望、当方は3000万、1年を主張しました。 


そこで、理事長が「今の地ではできない。やらないのではなくできない」と発言し、「21年度から協会は撤退させて頂く考えで、3月にはマスコミにも公表する」と言ったのが今回の新聞報道となった訳です。 


職員の献身的な努力と国からの移譲政策により、今まで地元市町村は殆ど自己負担なしでこの病院を維持できた国内では極めて稀なケースです。新聞等で他の公的医療機関がまた自治体がどれほど医療・医師の確保に苦労しているかは通常の感覚のある人間なら分かる筈です。今まで、組合の言うままに譲歩して来た経緯があるのですが、やはりそろそろ自分達の病院として、自分達の地域の医療の根幹の問題として新病院を考えて頂かなくてはならないと思います。でなければ、将来展望もない地域で病院職員のみが疲弊してしまいます。患者数が減ったとはいえ、忙しさ、仕事の煩雑さの実感は10年前とは比べ物にならぬような気がします。周囲の急性期病床がどんどん無くなっている今、当院の比重は更に大きくなっています。本年1月の下田・南伊豆地区の救急車の8割強が当院への搬入です。 


なぜ、これほど大変なのかの理由の一つは、明らかに当院で処理できない、心血管障害や脳外科疾患までも全て一度は当院へ運んでから後方病院へ転院しなくてはならないという点にもあります。後方病院転送へのマネージメントにも実は多くの時間を取られますし、ストレスもかかります、患者さんのタイムロスも1時間程度あるでしょう。 


様々な面を考える時、当院はより利便性の高い地域でより充実した医療機器を有して医療を展開すべきだと思います。 


またそれは、医療職の確保にも繋がる展開だと思われるからです。 


2008年2月7日 共立湊病院長 小田 和弘