長野県辰野総合病院・・・・ 辰野町専門家など外部の目を入れてこれまでの経営を点検したい

 



横須賀市 田浦梅林にて


長野県辰野総合病院・・・・ 辰野町専門家など外部の目を入れてこれまでの経営を点検したい・・医師不足をカバーするため他の自治体病院との連携強化も模索しているが、収益向上の「第一歩」と言える医師確保の抜本的な対策は見えていない。』 


朝日新聞 2008年2月28日 

辰野総合病院(辰野町)では、移転・新築計画が宙に浮いている。26日に町が発表した08年度当初予算案には同病院の「改革プラン」策定費1千万円が計上されたが、当初は盛り込まれる予定だった移転・新築の設計費5千万円の計上は先送りされた。 

 「建物の老朽化や耐震強度不足から新築は必要。08年度中の着工をめざす方針に変わりはない」。矢ケ崎克彦町長はそう強調するが、先行きの見通しは立っていない。69年に現在の場所に新築移転した同病院が総工費38億円の移転計画を発表したのは06年。2億8千万円を投じて用地も確保したが、昨年1月に計画先送りを発表した。 

 「何よりも医師不足が深刻」。同病院の金子文武事務長が語る。信州大の医師引き揚げなどにより、99年度に14人いた常勤医は07年度に8人まで減った。これに伴い、とくに入院による収入が減って経営を圧迫=グラフ(3)参照。99年度に9割を超えていた病床利用率は06年度、7割を下回った。 

 病院を維持するには、患者の多い少ないにかかわらず医療設備などへの多額の投資が必要で、この分を回収して経営を黒字化するには一定数以上の患者を受け入れなければならない。しかし移転・新築しても医師が足りなければ患者数の確保は難しく、赤字経営を迫られることになる。 

 金子事務長は一方で、「専門家など外部の目を入れてこれまでの経営を点検したい」と話す。 

 もともと自治体病院は、赤字が「当然」と受け止められてきた経緯がある。そのうえ、建設費用の借金(起債)が一般企業に比べれば容易なことから、一般企業では再投資の原資として確保しておく内部留保を赤字の埋め合わせに使ってきた病院も多い。 

 ところが国や地方自治体の財政悪化で起債や出資も難しくなりつつある。辰野総合病院のようにすぐに破綻(はたん)する心配はない病院でも、建て替えなどが必要になると資金難に直面する。金子事務長は「新たな病院では黒字経営が求められる。そのために何が必要か一から検討する」と言う。両小野国保病院や診療所など、町内の他の公立医療機関をどうするかも検討課題になりそうだ。 

 町では民間の開業医の高齢化も進んでおり、「町立病院が廃止に追い込まれれば地域の医療体系そのものが崩壊する」(矢ケ崎町長)。町では医師確保の担当者を置いたほか、医師への奨学金貸与なども検討。医師不足をカバーするため他の自治体病院との連携強化も模索しているが、収益向上の「第一歩」と言える医師確保の抜本的な対策は見えていない。 

 こうした状況に、移転・新築には疑問の声も出ている。町議会の「病院・医療研究委員会」は今月、病院の現状と将来計画を検討した報告書を矢ケ崎町長に提出。移転計画の詳細などを早く示すよう求めた。 

 委員長を務めた前田親人町議は「病院を新しくしてほしくないと言う町民はほとんどいないだろうが、おかげで町が破綻するとなれば話は別。医師不足は簡単に解消されそうもない。現状を踏まえて住民のニーズなどを調べたうえで、どの程度の負担が必要になるのかきちんと説明すべきだ」と話している。 


 ◆キーワード 

 <自治体病院> 都道府県や市町村、複数の市町村でつくる一部事務組合などが運営する病院。県内には県立5、市町村立など20の計25病院がある。 

 昨年末、総務省は「公立病院改革ガイドライン」を策定。数値目標を掲げた経営の効率化、地域ごとの自治体病院の再編、民営化や診療所化などによる事業の見直し--などが盛り込まれた。 

 一方、昨年6月に成立した地方財政健全化法により、08年度決算から行政の病院事業会計などを連結させて自治体財政の健全度が測られる。公立病院を抱える各自治体にとっても経営改善が急務となっている。