公立病院特例債情報・・・ 自治体病院を担当する総務省自治財政局地域企業経営企画室は「不良債務が減少しているからといって、門前払いすることはない」


『公立病院特例債情報・・・ 自治体病院を担当する総務省自治財政局地域企業経営企画室は「不良債務が減少しているからといって、門前払いすることはない」「特例債の対象は(医療センターという)会計全体であり、個々の病院ではない。ただ、全体としては増えていないが、個々の病院で見た場合、医師不足によってこのくらい不良債務が増えているという数字を示すことができれば、断言はできないが、対象になる可能性はある」』 


2008年2月23日(土) 東奥日報    
 下北の苦悩(上)医療センター窮地/「特例債」活用ハードル高く  
資金不足に陥り、支払い能力を超えた借金が七十六億円。むつ下北地方五市町村の医療機関を運営する一部事務組合「下北医療センター」の二〇〇六年度の不良債務額は、全国の市町村・事務組合立病院の不良債務総額の一割を占め、「断トツ」(総務省)という状態にある。その額は、風間浦村や佐井村の当初予算規模のそれぞれ三年分に相当する。 
 総務省の「公立病院改革ガイドライン」は、不良債務解消の支援策として、〇八年度に限り、七年以内で計画的に返済するための借金(公立病院特例債)を認めることや、その利払いに対する地方交付税措置を打ち出した。 10億円マイナス 
「不良債務をいったん整理し、利息分は国から入るという二つのメリットがある」と、医療センターの中核・むつ総合病院の事務局幹部は期待を寄せる。センターの管理者である宮下順一郎むつ市長も「(ガイドラインに)乗った方が有利と判断している」と話す。 

 ただし、特例債は条件があり、下北が活用するためには重症の体(財務状態)で高いハードルを越えなければならない。 

 特例債を発行できるのは、医師不足などが原因で〇四-〇七年度に不良債務が増えている団体。下北の場合、〇三年度の七十九億円から〇七年度は六十九億円へと十億円減る見通しだ。ガイドラインを字面通り読むと、下北は対象外になりかねない。 

 下北の不良債務が全体的に減少しているのは、比重が大きいむつ総合病院が〇二年度、第五次経営健全化団体に指定され、七年計画で不良債務解消を進めているためだ。一般会計からの通常の繰入金のほかに毎年、国、県、市が五億円以上を支援している。病院自身の努力もあり、不良債務は〇四-〇七年度で三十六億円も減ると見込まれている。 
 これが下北医療センター全体としての不良債務の改善につながっているが、内実は極めて厳しく、むつ総合病院以外の病院・診療所は悪化している。〇六年度決算で見れば、むつ二十四億円、大畑診療所二十一億円、川内病院十一億円の順で多い。大畑は〇七年度、むつを上回る見込みだ。むつ以外の病院・診療所は、〇七年度までの四年間で不良債務が二十六億円増加すると予想されている。 

 下北は、短期的な資金繰りのために借り続けた巨額の一時借入金を抱え、これが不良債務につながっている。一時借入金の利払いには交付税措置がない。特例債には交付税の手当てがある。 

個々への適用を 
 宮下市長は「仮に下北全体としては特例債の対象にならないのなら、例えば個々の病院なら対象になるのかどうか。国の動きを把握しなければいけない。個々の病院があってこそ医療センター全体が成り立つ。地域医療を守るため、個々の病院に対する国の目配りがもっとあってしかるべきだ」と強調し、個々の病院への制度適用を訴える。 

 自治体病院を担当する総務省自治財政局地域企業経営企画室は「不良債務が減少しているからといって、門前払いすることはない」と説明。「特例債の対象は(医療センターという)会計全体であり、個々の病院ではない。ただ、全体としては増えていないが、個々の病院で見た場合、医師不足によってこのくらい不良債務が増えているという数字を示すことができれば、断言はできないが、対象になる可能性はある」と話す。 


“救済策”への道は、まだかすんだままだ 

2008年1月3日(木) 東奥日報    
 下北の一時借入135億円/市町村病院 資金不足夕張の4倍全国最悪 県内の自治体病院が深刻な資金不足に陥り、借金の海を漂流している。むつ下北五市町村の医療機関を運営する一部事務組合「下北医療センター」が、当面の資金繰りのために借り続けた「一時借入金」は、二〇〇六年度で百三十六億円に達した。データが出そろっている〇五年度決算で見れば約百三十五億円で、市町村・事務組合立では全国最悪となっている。夕張市の財政再建団体転落とともに経営破たんした夕張市立総合病院が二番目だが、下北はその四倍と突出。県内の他の病院も多額の一時借入金を抱えている。 

 下北医療センターの一時借入金の借入先は、地元銀行が八十五億円、地元農協二十三億円、信用金庫四億円、市町村二十一億円(〇七年八月現在・計百三十三億円)。 

 一時借入金は、運転資金の不足のために一時的に借り入れ、本来は単年度で返済するものだが、残高が膨らみ続ければ単年度では返済しきれず、借り換えを繰り返すという自転車操業になる。医療センターの一時借入金の〇六年度残高は、一九九二年度の四十三億円から三倍に膨張している。 

 医療センターが、支払い能力を超える債務をどのくらい抱えているかを表す不良債務(資金不足)は七十五億円に上る。 

 診療報酬の抑制や医師不足により収益が伸びないという構造的な問題が資金不足に陥った基本的な原因としてあるが、事務局側は「経営努力、コスト意識の不足」があったことも認める。また、長期の借金(企業債)の元利償還が重く、資金不足を加速させた。 

 むつ総合病院の外来棟などの整備に約百億円。大畑病院(現診療所)の建設に約二十億円。これらに充てた企業債の償還は元利合わせ〇六年度で九億二千万円。ほかに一時借入金の利息が一億八千万円のしかかる。 

 救急医療などを担う自治体病院に対し、市町村は国の基準に基づいて一定額を一般会計から繰り入れなければならない。だが、自治体本体の財政の苦しさから十分な繰り入れがなされず、むつ市が古くは七〇年代から積み残したままの未収分の繰入金は現在でも三十三億円ある。これらによって、資金繰りは一時借入金頼みとなっていた。 

 医療センターの中核・むつ総合病院は〇二年度、不良債務を七年計画で解消するため「第五次経営健全化団体」に指定され、国、県、市が毎年五億円以上を財政支援している。同病院は健全化の取り組みが実りつつあり、一時借入金も徐々に減らしている。一方、大畑診療所は残高二十億円、川内病院は十億円に達するなど、他で累増に歯止めが掛かっていない。 医師も資金も足りない。支えるはずの自治体財政もがけっぷち。自治体病院はこのままでは人的にも財政的にも崩壊しかねない苦境にある。地域医療再生の願いを込め「あしたへ」の道を探る。