泉良平・富山県公的病院長協議会長,「テストケース」氷見の指定管理者制度移行は改革の手段であることは間違いない。その意味で、氷見市民病院がどう変わっていくか、テストケースとして注目している


『泉良平・富山県公的病院長協議会長,「テストケース」氷見の指定管理者制度移行は改革の手段であることは間違いない。その意味で、氷見市民病院がどう変わっていくか、テストケースとして注目している』 

日曜インタビュー,泉良平・富山県公的病院長協議会長「テストケース」氷見に注目,指定管理者で一つの手段 
2008.02.10北国新聞   
  
金沢医科大を指定管理者とする氷見市民病院の公設民営化は、自治体病院関係者にとって決して他人事ではない。金額の大小はあるにせよ、自治体病院のほとんどは赤字経営に陥っており、病院改革は待ったなしの課題である。 

●デリケートな問題 

 県内二十五の病院で組織する県公的病院長協議会の会長として、氷見市民病院の公設民営化をどう見ているのか。ずばり問うと、「うーん。デリケートな問題だから、コメントは控えたほうがいいと思う」。 

 ならば、一般論として自治体病院の指定管理者導入をどう考えているのか。重ねて尋ねると、「指定管理者制度は改革の一つの手段であることは間違いない。その意味で、氷見市民病院がどう変わっていくか、テストケースとして注目している」との答えが返ってきた。 

 自治体病院の改革をめぐっては、昨年十二月、総務省が「公立病院改革ガイドライン」と題した指針を出している。指針では、公立病院は近年、経営状況の悪化や医師不足に伴う診療体制の縮小を余儀なくされており、抜本的な改革が避けて通れないと指摘。改革の三つの視点として「経営効率化」「再編・ネットワーク化」「経営形態の見直し」を挙げ、その中で地方独立行政法人化や指定管理者制度の導入などを例示した。

 自身が病院長を務める富山市民病院も、二〇〇四年度までの四年連続黒字から、〇五年度は二億円余、〇六年度には六億九千万円余の赤字を計上し、累積赤字は八十九億八千万円余に上る。「ここ二年の赤字は、退職金の増加や病院の改修と、診療報酬の改定が主な要因。労働集約型の医療機関では人件費を削るのは難しく、医療スタッフの数に応じて診療報酬が決まる部分もあるから、経営は厳しい」。 

●自治体病院の限界 

 そんな中、自治体病院の限界を痛感した出来事がある。病院に十人いるリハビリのスタッフのうち、一人が産休に入ることになった。わずか一人だが、スタッフが十人から九人になると診療報酬の点数は半分になり、その分、収入は減る。「民間なら当然、新たに雇用するところだが、自治体病院の場合は病院長に人事権がないから簡単にはいかない」。その結果、みすみす減収に甘んじなければならないことになるわけだ。 

 あらためて自治体病院の経営の難しさを知る日々だが、富山市民病院の将来像をどう描いているのか。「市民病院に来た当初は、県立中央病院に追いつき、追い越せという思いがあったが、医師の数も病床数も違う。結局、市民に必要とされる病院になるべきではないかという考えに落ち着いた」。 

 掲げるのは「地域医療のリーダー病院」。その一環として目指しているのが、県内では初めての地域医療支援病院の認定だ。かかりつけ医との紹介・逆紹介率や医療機器の共同使用、地域の医療従事者の研修体制整備などが要件で、認定されれば入院患者の診療報酬が加算される。 

 病院長に就いた際、富山市医師会員の診療所をすべて訪ねて回った。それから五年。目標とした地域医療支援病院の認定は実現のめどがついた。しかし、道はまだ半ば。改革のメスを振るわなければならないのは、これからである。(北川章人) 

 いずみ・りょうへい 金大医学部卒。同大附属病院第2外科講師などを経て、95年に富山市民病院外科部長、2003年4月から病院長。06年5月から県公的病院長協議会長を務める。福井県出身。60歳。