阪南市立病院残留医師の言葉・・ 医師も人間。ある程度時間にゆとりのある生活が必要。残念ながらうちは魅力ある病院とはいえない。魅力があれば他の病院や大学から派遣があったはず


『阪南市立病院残留医師の言葉・・ 医師も人間。ある程度時間にゆとりのある生活が必要。残念ながらうちは魅力ある病院とはいえない。魅力があれば他の病院や大学から派遣があったはず』 


【問われる地域医療 阪南市立病院存続問題】残留の赤井医師に聞く 2008.02.10産経新聞  
 ◆外来だけでも何らかの体制を 

 阪南市立病院が医師の一斉退職で4月からの入院受け入れを全面休止する問題で、4月以降も残ることを決めている同病院小児科医、赤井美津代医師(46)が産経新聞のインタビューに応じた。赤井医師は「小児科に入院機能がないのは患者や医師にとっても苦しい。外来だけになっても何らかの体制をつくりたい」と話した。 

 なぜ残留を 

 赤井 この地域の小児科医が減ってきており、これ以上減らすことができないと考えたからだ。万が一閉院が決まれば患者に迷惑をかけないようにしなければならないし、存続なら患者が安心する体制を作り直したい。 

 4月から入院機能の休止が濃厚だが 

 赤井 小児科は入院制度がないと意味がない。入院機能を持ち、かつ、かかりつけ医的な要素を持つ阪南市立病院は特にそうだった。ちょっとした病気を診てもらい、入院もできるということで母親の夜の不安に対応できていた。病院にいるというだけで母子ともに安心だった。 

 近隣市からの患者も 

 赤井 泉南市からの患者が約半数を占める。また、夜間の小児救急はこの地域では和泉市立病院以南の公立病院の小児科医を中心に輪番制度を行ってきた。うちは月に2回参加させてもらっていたが、入院機能がなくなればできなくなる。近隣病院の負担が大きくなると思う。 

 今後はどのように治療をしていくのか 

 赤井 外来だけで続けていく意味を見つけなければいけない。私たちの道としては、予防接種などの事業に力を入れて外来をさせてもらっていくしかない。隣の泉南市は予防接種をしている小児科が1つしかない。しかしこれまで泉南市民は行政の垣根でうちで接種はできなかった。今後は垣根を取り払い、広く患者を受け入れるようしていきたい。 

 去っていく医師たちについては 

 赤井 入院機能が復活するためには去ることになっている医師たちの力が絶対必要。でも内科のないこの病院で医療を続けていくことが難しいと考えたのかもしれない。医局(和歌山県立医大)の方針に対して残りたいという思いの人たちもいたが、自分の人生を考えると残留意志を示すことはできない。病院がちゃんとなれば、戻りたいと考えている医師は多いと思う。 

 斉退職の前兆のようなものはあったのか 

 赤井 内科医がいないので手術もできない状態が続き、仕事が十分にできない。何人かは去っていくだろうとは思っていた。 

 医師も人間。ある程度時間にゆとりのある生活が必要。残念ながらうちは魅力ある病院とはいえない。魅力があれば他の病院や大学から派遣があったはず。事務方は医師の待遇をよくしたいと考えてくれている。市にはハード面として病院の立て直しなどを考えてほしい。阪南市だけの患者を診ているわけではないので市は近隣市にも協力を求めてほしい。 

 昨年に内科がなくなった問題については和歌山県の医師不足があり、医局の意向もあると思う。それに新しい臨床研修制度の導入で新人の医師が研修先を選べ、一定の病院に集中するようになったことなどで地域病院の医師の過疎化が進んでいる。医療行政のしわ寄せだ。阪南市立病院のような問題は今後も各地で出てくると思う。 

 (阪南市立病院問題取材班) 

                   

 【用語解説】阪南市立病院存続問題 

 昨年6月末、内科医9人全員が退職し、内科が全面休診。今年1月、11人いる常勤医のうち7人が今年度末で退職することが分かり、市は4月からの入院休止の方針を明らかにした。同病院は昭和28年開院。泉南市、岬町を含む約15万人医療圏の中核病院として位置づけられている。185床あるが、内科休診以降、患者が減り現在は30~40人が入院している。昨年12月末時点で約9億8000万円の累積赤字を計上、存続による市の財政悪化も懸念されている。