産めない・育てられない日本の医療・・・絵に描いた餅と共通認識・・・


『産めない・育てられない日本の医療・・・絵に描いた餅と共通認識・・・』 

勤務医、縮まぬ格差 開業医再診料下げ断念 財源の規模、限定的に 
2008.01.31 朝日新聞  
  
08年度の診療報酬改定の焦点だった開業医の再診料引き下げが、日本医師会の反発で見送られることが決まった。開業医の報酬を削って財源を作り、小児科や産科などの病院の勤務医に振り向けようとした厚生労働省は、最終局面で腰砕けとなった。財源の規模も限られる結果となり、関係者からは早くも勤務医不足対策の実効性を疑問視する声も出ている。 

 30日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)で決まった勤務医不足対策=図参照=は、総額約1500億円。主な項目は、(1)危険性の高い妊婦の入院や、救急搬送を受け入れた病院に対する報酬の引き上げ(約150億円)(2)小児科専門病院への重点配分(約50億円)(3)書類作成など勤務医の事務作業を補助する職員の配置(約350億円)--など。各病院が勤務医の負担軽減策を作り、実行することを報酬上乗せの条件とする。 

 これらの対策の財源としては、昨年末に決まった医師の技術料など診療報酬の本体部分の引き上げ分(1千億円強)を全額充てるほか、軽いやけどなど簡単な治療の診療報酬を廃止して初再診料の中に含める措置などで捻出(ねんしゅつ)する。 

 だが、10円の引き下げで120億円の財源を生む開業医の再診料引き下げを断念したことで、財源の規模は限定的にならざるをえなかった。1500億円というのは、病院全体にとっては1%程度の収入増にしかつながらない計算だ。 

 この日の中医協でも、健康保険組合など支払い側の委員からは「小児科専門病院は赤字が大幅に増えているのに、50億円程度の対策費で間に合うのか」「受け入れ病院がなく、救急患者がたらい回しにされている現状が改善されるのか」など、疑問の声が相次いだ。 

 開業医の再診料引き下げを見送る代わりに、中小病院の勤務医の再診料引き上げも新たに決まったが、「開業医と勤務医の格差是正」にどれだけ効果があるのかは疑わしい。勤務医の再診料引き上げは、再診料に上乗せされる「外来管理加算」の見直しなどに伴う中小病院の減収分を補うのが主な目的で、格差は実質的に縮まらないと見られるからだ。 

 開業医の再診料引き下げを阻止した日本医師会の鈴木満常任理事も、この日の記者会見で「1500億円では、勤務医不足対策は十分にできない」と認めたほどだ。だが、「開業医が疲弊すれば地域医療が崩壊してしまう」とも改めて強調。既得権に踏み込ませない姿勢を崩さなかった。 


 ◇開業医の協力、未知数(くらしの視点) 

 診療報酬改定は、治療の価格の上げ下げを通じて、「国民にとって望ましい医療」を実現するよう医療機関を誘導する狙いがある。今回の改定では、小児科、産科、救急医療を担う病院への報酬を手厚くすることで、これらに取り組む病院を増やすことを目指す。開業医の休日・夜間診療の報酬引き上げも、夜間の救急医療に追われる勤務医の負担を開業医に肩代わりしてもらい、重症の入院患者の治療という勤務医本来の仕事に専念できるようにするのが目的だ。患者のニーズに合致しているが、財源の裏付けは不十分。どこまで開業医の協力が得られるかも分からず、「絵に描いた餅」に終わりかねない。 


 ■勤務医不足対策(1500億円)の内訳 

 ※各項目の金額は概数のため、合計は一致しない 

 【財源】 

 小児専門病院の報酬引き上げ(医科0.42%) 計1000億円強 

 ・外来管理加算の見直し 

 ・デジタル加算の廃止 

 ・検査判断料の引き下げ 

 ・やけどなど簡単な治療の診療報酬廃止      計400億円強 

         ↓ 

 【使い道】 

 リスクの高い妊産婦、救急搬送の報酬引き上げ    150億円弱