『研修医、地方へ誘導 都市部定員を削減し偏在是正/厚労省方針』



『研修医、地方へ誘導 都市部定員を削減し偏在是正/厚労省方針』 
2008.06.29読売新聞   

 医師臨床研修制度で全国の病院に配置される研修医について、都道府県別の定員充足率に最大で倍以上の格差が生じていることがわかった。厚生労働省はこうした偏在状態が地方の医師不足を招いているとみて、研修医の多い都道府県の病院を中心に、来年度から受け入れ定員を削減する方針。地方への誘導を図ることで偏在を是正する考えで、地域によっては定員の1割超をカットする。〈関連記事39面〉 

 研修医は大学病院などで2年間の研修を受けるが、スタッフや設備の整う都市部の病院を希望する傾向がある。研修希望者と研修病院との組み合わせを行う医療研修推進財団(東京)によると、昨年度の研修医定員に対する希望者の割合は大学病院の多い東京都(86・6%)や京都府(81・5%)などで高く、13都府県で70%を超えた。一方、島根(42・1%)や鳥取(42・8%)、富山(42・7%)など8県は定員の半分に満たなかった。 

 病院別でも、慶応大病院(東京)が定員60人に対し57人、京都大病院が100人に対し91人を確保するなど都市部の有名病院は定員充足率が9割を超えたが、地方では希望者がゼロの公立病院もあるという。 

 このため、同省は地方厚生局に対し、「研修医が多く医療施設の医師数が多い都道府県にある研修病院は定員数削減に努める」と通知。人口比で医師数の多い東京や大阪など25程度の都道府県の病院が対象になる見通しで、同省は、研修病院の新規指定や研修医の定員増を認めないことも決めた。 

 削減数は七つの厚生局ごとに検討するが、近畿厚生局は、大阪や京都、兵庫各府県などで各病院の定員を「昨年度の受け入れ実数プラス2人程度」に抑制し、昨年度約2000人だった管内の総定員を約260人削減する方針。 

 同省医事課は「都市部集中を是正し、相対的に地方での定員を増やすことで、研修医を地方に誘導したい」としている。 


 〈医師臨床研修制度〉 

 2004年度に導入。それまで研修医の大半は大学病院に所属していたが、原則自由に研修先を選べるようになり、都市部の病院が選ばれる傾向が強まった。この影響で人手不足に陥った地方の大学病院が、各地の公立病院に派遣していた医師を引き揚げたことが医師不足の一因とされる。