福島県は今年3月、医大に付属化の協議を申し入れた。医師供給元の福島県立医大の付属病院になれば、医師不足に悩まずに、旗印とするへき地医療支援などが行えるとの皮算用だ。医大側も作業部会を設けて検討を続けており、夏ごろには回答する方向だ。・・



『福島県は今年3月、医大に付属化の協議を申し入れた。医師供給元の福島県立医大の付属病院になれば、医師不足に悩まずに、旗印とするへき地医療支援などが行えるとの皮算用だ。医大側も作業部会を設けて検討を続けており、夏ごろには回答する方向だ。・・・ 全国自治体病院協議会の小山田恵名誉会長は「公立だからといって多額の赤字が許される時代ではなくなってきた。内部での経営改革が難しい場合は民間との連係や診療科の縮小を考えるべき」と指摘』 
   

[医療ルネサンス・福島](4)県立病院 赤字182億円(連載)=福島 
2008.06.29 読売新聞   
  
◇赤字182億円、改革急務 

 「なぜこれだけ経営状況が違うのか」。5月下旬に開かれた県立大野病院(大熊町)と双葉厚生病院(双葉町)の経営幹部が顔をそろえた初会合。統合を視野に連携協議が始まったが、約7億円の累積黒字がある双葉に対し、毎年億単位の赤字を出す大野に、“身内”の県幹部から疑問の声が漏れた。「一概には比べられない」と県病院局は釈明したが、「我々が病院経営のプロかという問題もある」と、甘さも認めざるを得なかった。 

 大野病院は、帝王切開手術を受けた女性が死亡し、2006年、医師が逮捕・起訴されて産婦人科を休診した。建物の減価償却費もあり、同年度には9億円近い赤字を出した。一方の双葉も小児科の常勤医の退職で患者が減少、同年度は赤字になった。 

 「これまではそれぞれ競争してやっていけたが、お互い医師が減っている。このままでは建物はあっても中身がなくなる」と県厚生農業協同組合連合会の幹部は語る。県の茂田士郎・病院事業管理者も「一生懸命やっているが医師獲得が思うようにいかない」と危機感を募らせる。 

 連携協議の背景には、国が昨年12月に公表した「公立病院改革ガイドライン」がある。3年以内での黒字化への道筋などを示すよう各自治体に求めたもので、今年度中にプランを策定する必要に迫られたのだ。さらに今年度決算から、自治体財政の新たな指標となる「連結実質赤字比率」に病院会計が加わる。6病院で年20億円、累積で約182億円の赤字を抱える県立病院の立て直しは緊急課題となっている。 

 県議会最大会派の自民党は今月3日、「県財政最大のテーマであり、早急に改善すべき」と直接、佐藤知事に改革を求めた。 

 こうした状況の中、経営に直結する医師の安定的確保を目的に、新設する県立病院を県立医大の付属病院とする構想も動き出している。 

 喜多方、会津総合を統合して3年後の開院を目指す会津統合病院(仮称)について、県は今年3月、医大に付属化の協議を申し入れた。医師供給元の医大の付属病院になれば、医師不足に悩まずに、旗印とするへき地医療支援などが行えるとの皮算用だ。医大側も作業部会を設けて検討を続けており、夏ごろには回答する方向だ。 

 同時に進む二つの構想だが、大野と双葉が統合するにしても病院の規模や、県職員と厚生連職員という身分の差など、解決すべき課題は多い。医大の付属化については赤字が出た場合の補てんのルールづくりが必要だが、大学という研究・教育の側面が加わることで、統合した方が県直営より県負担が膨らむのでは、との懸念もある。 

 全国自治体病院協議会の小山田恵名誉会長は「公立だからといって多額の赤字が許される時代ではなくなってきた。内部での経営改革が難しい場合は民間との連係や診療科の縮小を考えるべき」と指摘している。(おわり)