『社保浜松病院 病床利用率38%・・現経営形態のまま存続が本当に必要なのだろうか?』




『社保浜松病院 病床利用率38%・・現経営形態のまま存続が本当に必要なのだろうか?』

解説・主張しずおか=運営譲渡の社保浜松病院、存続の責任は誰に-政治が地域医療を守れ(河村雅彦/浜松総局)

2008.06.28静岡新聞  

社会保険庁の廃止、相次ぐ医師の退職などから浜松市中区の総合病院「社会保険浜松病院」の閉鎖が検討されていることが先月末、明らかになった。その後、病院側の要請を受けて地元の浜松医科大が医師の派遣継続を決定し、当面の危機は回避されたが、施設の老朽化や赤字体質などの根本課題は解決されていない。国が社保病院の経営からの撤退後、中ぶらりんになった存続の責任は誰が引き継ぎ、地域医療を守っていくのか。

 同病院は、社会保険庁が所有し、外郭団体の全国社会保険協会連合会が運営する市南部唯一の基幹病院だ。全国五十三の同様の社保病院は九月の社保庁の解体に伴い、独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」に譲渡されることが決まっている。市幹部は「整理機構が数年の間に受け皿を探すことになる。市が受け皿になることは考えられず、民間病院が手を挙げなければ、再び危機が到来する」と指摘する。

 医療現場はこれまでも国に振り回されてきた。

 同病院は老朽化した医療環境を抜本的に改善する移転計画がある。用地確保まで順調に進んだが、土壇場でストップを掛けたのが「年金問題」など社保庁の不祥事だ。

 同病院の資料によると、病床数百九十九のうち、昨年度の一日平均の入院患者は七十七・三人で、医師は十三人にまで減った。市内の医療関係者は「社保庁本体の不祥事で移転どころでなくなった。設備投資をしていれば、悪循環を断ち切れたかもしれない」と憤る。この悪循環にメスを入れないまま、整理機構に今後のすべてを託すのは不安が残る。

 同病院は他の市内主要病院とともに二次救急の輪番制に組み込まれ、市の医療政策でも重要な位置を担っている。失ったら取り戻せない、同市の既存病床数を死守するためにも、市は早い段階から受け皿となる民間病院探しに努め、場合によっては移転費用の補助など財政支援も検討し、病院存続の責務を果たすべきだ。人材を輩出する浜松医大をはじめ、地元の医療機関の協力も欠かせない。行政がリーダーシップを発揮して地域が力を合わせなければ太刀打ちできない問題だろう。

 鈴木康友市長は、病院の存続決定に安どの表情をみせる一方、「秋以降、全体としてどうなるのか予断は許さない状況だ」と語った。医師不足に端を発した危機的な状況の地域医療は、問題の根本改善よりも、限られた数の医師を全国で奪い合う市場競争の様相だ。もうからないといって総合病院を簡単につぶしてしまう状況は異常だ。行政トップの危機管理の下、政治が責任を持って、地域医療を守るべきである。

 (浜松総局・河村雅彦)