<あすの医療は>地方に医師派遣 新システム始動*官民で支援 拡大に期待*供給元の負担軽減 課題



<あすの医療は>地方に医師派遣 新システム始動*官民で支援 拡大に期待*供給元の負担軽減 課題 
2008.06.25 北海道新聞    

 地方の医師不足に対応するため、都市部の民間医療機関から医師を派遣する新たなシステムが動きだした。留萌市立病院には今週、医科大学と連携し、札幌の中村記念病院の医師が赴任した。慢性的な医師不足が続く中、“官民スクラム”で実現した新たな支援体制がどこまで拡大できるか、関係者は注目している。 

 「医師がいてくれることは住民にとって安心感がある。本当にありがたい」。留萌市立病院の関係者は、そう語る。 

 四月に脳神経外科医がいなくなった同病院には、中村記念病院が派遣することを前提に六月上旬から北大と札医大が脳神経外科医の派遣を開始。一週間交代で医師一人を派遣している。各病院とも数少ない脳神経外科医を単独で派遣することは難しく、負担を分けあうことで、派遣が可能になったという。 

 新たな派遣システムは、道医師会と北海道病院協会、道の三者でつくる「緊急臨時的医師派遣事業推進協議会」の運営委員会が、医師を派遣できる民間病院・診療所を募集し、派遣先を調整する。これまで医師派遣事業を行ってきた、道や三医科大学などでつくる「道医療対策協議会」の活動を側面支援するのが狙いだ。今回の派遣対象は留萌のほか、栗山赤十字病院(空知管内栗山町)と岩内協会病院(後志管内岩内町)。 

 派遣元には道の補助で一日五万円の謝礼金が支払われる。予算は約一億円のため、延べ二千日の派遣ができる計算になる。 

 ただ、派遣元には医師が減ることによる労働過密化や収入減などの負担も出てくる。民間病院関係者からは「都市部も医師は足りず、余力がある病院は一部」「公の仕組みができれば現場の医師に説明はしやすいが、強制は難しい」などと、慎重な声も少なくない。 

 また、都市部から離れた地域にどれだけ医師を供給できるかも課題だ。今回、栗山に耳鼻科医を週一回派遣する耳鼻咽喉(いんこう)科麻生病院は「栗山はたまたま距離が近いため派遣できた」と話す。 

 新システムはあくまで「緊急対策」のため、補助対象となる派遣期間は原則六カ月以内。地方の病院はその間に自ら常勤医を確保する努力が求められる。 

 自治体病院協議会北海道支部長の小熊豊砂川市立病院長は「大学や民間の支援に応えるため、病院側も医師が働きやすい環境づくりなど努力していく必要がある」と指摘している。