公立病院の不良債務を単年度の一時借入金から長期債務の「公立病院特例債」に借り換え、健全化団体化を免れようとするのは当然だが 特例債発行には病院改革プラン策定など厳しいハードルがある

『公立病院の不良債務を単年度の一時借入金から長期債務の「公立病院特例債」に借り換え、健全化団体化を免れようとするのは当然だが 特例債発行には病院改革プラン策定など厳しいハードルがある』 


市立美唄病院*不良債務23億5000万円*07年度末*計画より大幅悪化 
2008.06.12 北海道新聞      

 【美唄】経営再建中の市立美唄病院の累積不良債務が、二〇〇七年度末で約二十三億四千九百万円に上る見込みであることが、十一日分かった。同病院が昨年十二月策定した〇八年度再編計画では約二十二億八千八百万円と予測していたが、六千万円以上悪化した。(河相宏史) 

 累積不良債務が予測を上回った理由について、同病院は「患者数が当初の予想より減少したため」と説明。医師不足のため、内科の入院診療を今年四月から休止し、その二カ月前から長期の入院患者の受け入れをやめたのが要因という。昨年度の患者数は外来、入院を合わせ一日平均約四百人と、当初予想から7%ほど減った。 

 経営再建に向け、本年度は再編計画に基づき、すでに看護系などの職員を三割削減。今後、市職員住宅を売却するなどして、新たな不良債務が発生しないことを目指している。 

 市は〇七年度一般会計で約一億二千八百万円の赤字を出しており、同病院の累積不良債務などを含めた連結実質赤字比率は20%以上になる見通し。この数字を〇八年度決算から適用される自治体の財政破たん基準に当てはめると、破たん一歩手前の「早期健全化団体」となる。 

 市は、同病院の不良債務を単年度の一時借入金から長期債務の「公立病院特例債」に借り換え、健全化団体化を免れようとしているが、特例債発行には病院改革プラン策定など厳しいハードルがあり、先行きは不透明だ 


聖域なき自治体病院改革 全18施設、財政にメス=石川 
2008.06.03読売新聞   
 ◇医療ルネサンス 

 自治体財政の健全化に向け、県内18のすべての自治体病院が、今年度中に経営改善のための改革プランを策定することが総務省の調査でわかった。病院事業は今年度から、自治体と連結決算になり、自治体の真の“体力”があらわになるため、「聖域」とされてきた自治体病院にも改革のメスを入れる動きが広がっている。 

 総務省は、昨年末にまとめた「公立病院改革ガイドライン(指針)」で、病床利用率が3年連続で70%未満の場合、病床削減や診療所(19床以下)への転換を求めている。 

 同省は、数値目標達成のための改革プランの策定は、「義務ではない」とする。しかし、医師確保の経費に対する補助や、財政事情の厳しい自治体病院を抱える市町に対して発行が認められる「公立病院特例債」などの財政支援を国から受けるには、改革プランの策定が前提条件になっている。 

 また、今年度の決算から一般会計に、病院や下水道などの会計も加えて赤字の割合を計る「連結実質赤字比率」という指標が新たに加わるのも、各自治体が病院の経営改善に乗り出す理由の一つだ。比率が40%に達すると財政再生団体に転落するため、各自治体の危機感は強い。 

 県内の自治体病院は7割が赤字。各自治体にとって国の財政支援は魅力的で、「アメをもらうためには、プランを作らざるを得ない」(病院関係者)のが実情だ。2006年度決算で特例債の適用対象になるのは、10%以上の不良債務を抱える市立輪島病院と公立穴水総合病院。2病院は「支援をぜひ活用したい」と期待をかける。 

 「赤字を税金で補填する構造を見直すきっかけになる」と歓迎する病院もある一方、「地域の特徴に配慮せず、数値目標だけで病院の存在意義を計るやり方は納得できない」との声もある。経営と地域医療の充実のはざまで、自治体の苦悩は続きそうだ。 


  公立病院特例債の創設(Q&Aより) 

Q63 
公立病院特例債の対象団体如何。 

A63 平成19年度決算において不良債務比率が10%以上であり、病院改革によって単年度資金不足からの転換を図ることが見込まれる団体のうち、平成15年度以降医師不足等により不良債務が増加している団体を基本とし、改革プランの策定を要件とすることを予定している。発行年度は平成20年度に限ることとしている。 

Q64 
発行可能額如何。 

A64 平成15年度末から平成19年度末までに増加した不良債務額を基本に検討中。ただし、対象期間において一般会計からの繰入額が地方交付税措置額を下回った場合等、経営の責に帰すべき特別の事情が認められる場合については、その額を控除するなど、対象団体の状況に応じて一定の調整を行う予定。 

Q65 
償還期間はどのくらいか。また、資金は民間資金か。 

A65 償還期間はおおむね7年以内を基準とすることを予定している。資金については銀行等民間資金及び地方公営企業等金融機構の資金を予定。 

Q66 
公立病院特例債に係る財政措置如何。 

A66 利息分について、一般会計からの繰り出しを認め、その一部について特別交付税で措置する方向で検討中。