ガイドラインでは 選択と集中を 画一的に強引に進めることを提案していません・・・・


『ガイドラインでは 選択と集中を 画一的に強引に進めることを提案していません・・・・「評価できない」 公立梁瀬医療センター外科医長 岡本秀樹さん「今後は中小病院などに医師を分散配置して総合診療を進め、専門病院と役割分担をすることが肝要。ただし、再編で一度壊してしまった機能を回復するには時間がかかるだろう」と言うご意見は尤もです。・・加西市民病院あり方検討委員会報告を参照してください。ガイドラインは闇雲に再編統合を勧奨していません』 


以下・加西市民病院あり方検討委員会報告より抜粋 

(2)中核病院構想について 
神戸大学は、臨床研修医スタートに伴う慢性的な勤務医不足の解消を目指し、中核病院構想を提案された。圏域内にセンター病院を新築して効率的に医療資源を配分しようとする提案は、設置場所や経済的負担からハードルが極めて高いと言わざるを得ない。しかし、勤務医不足の解消のためには限られた医療資源の集約化が必要な状況となってきていることも事実である。 
新しい場所に大規模の病院を作ることは財政的に難しいが、実績のある既存病院が中核病院となるような形で、願わくば加西病院が中核病院となるように進めていくことが望ましい。 
(3)再編・ネットワーク化について 
医師不足の問題は、加西病院に限らず全国的な課題となっているが、厚生労働省による各種医師確保の施策のほか、総務省が公立病院改革ガイドラインにおいて医師確保の具体策として、地域内の複数医療機関による「再編・ネットワーク化」を要請している。これは、地域における限られた医療資源を効率的に配分することを目指すものである。公立病院の重要な役割は研修機能の更なる充実と医師派遣であるとガイドラインに示されている。マッチング率100%を高く評価するとともに、更に増員していくことを求める。 


以下神戸新聞 2008年2月27日 
激論 ひょうごの医療を問う 
(3)但馬の公立病院 
医療再編をどう評価する/救急医療はどうなる/あるべき地域医療とは 
 深刻な医師不足を受け、但馬で医療再編がスタートした。中核を担う公立豊岡病院などに医師を集約し、「最後のとりで」の機能を守る狙いだが、削減対象となった小規模病院の医師や地域住民には根強い反発もある。但馬の地域医療を支える四人に再編の是非などを論じてもらった。それぞれの主張には「守るべき地域医療とは何か」という問いが込められている。(聞き手・田中伸明) 


<公立病院の医療再編> 

 中核病院の救急医療を守るため、医療確保対策協議会で策定。規模の小さい出石(豊岡市)、梁瀬(朝来市)、村岡(香美町)の3病院で常勤医師を3人に減らし、豊岡病院(豊岡市)、八鹿病院(養父市)に集約する計画だった。しかし、出石では院長が再編計画を批判して退職、ほかの病院も医師が減ったため、計画通りには進んでいない。 



▼評価できる 公立豊岡病院長 竹内秀雄さん 
  
たけうち・ひでお 京大医学部卒。京大助教授、神戸・中央市民病院泌尿器科部長。豊岡勤務は3度目。京都府出身、65歳 
  
中核病院の医師確保 

 再編によって、不十分ではあるが但馬の中核病院である豊岡病院の体制を維持できた。内科の専門診療科の医師不足が深刻で、救急患者の一部を断らざるを得ない状況だったが、最低限の人数を確保できた。 

 加えて、総合診療部を立ち上げて、専門にこだわらず幅広く診療に当たり、専門診療科の人員不足を補っている。近年救急患者が急増しているが、何とか持ちこたえている。将来的に総合診療部と救急部門が連携すれば、軽症から重篤の患者まで診療する「ER型」の救急医療を充実できる。 

 今回の再編は、窮地の「しのぎ」で走りだしたことは否めない。和田山、梁瀬の両病院を一緒にして朝来市内の核にする考えだったが、理解を得られなかった。梁瀬を縮小したことには批判もあるが、但馬全体で大きく考えてほしい。最後のとりでの豊岡病院が機能しなくなったらどうなるか。再編で、朝来などの重症患者も受け入れる体制が整った。 

 地域医療にはいろんな考え方があるが、但馬にも専門病院は必要だ。豊岡は専門医のそろう病院としてニーズがあるし、高度な医療を行わなければ医師は集まらない。現在、病院組合で実施している奨学金制度は十四人が利用しており、将来的に医師不足が緩和される可能性がある。そうなっても単純に元に戻すのではなく、人口二十万の但馬に公立病院が九つも必要なのか議論する必要がある。 



▼評価できる 神戸大へき地医療学特命准教授 石田岳史さん 

  
いしだ・たけし 自治医大卒。公立村岡、浜坂病院、同大学などに勤務。但馬の医療再編策定に参加。神戸市出身、39歳 
  
若手養成の環境整う 

 豊岡病院で消化器内科の医師が激減し、夜間は胃潰瘍(かいよう)の出血が止められないという事態を、なんとかしなければというのが再編のスタート。小規模病院から医師を迎え、但馬でほぼすべての病気を診療できる「完結性」を守った点で、大きな成果があったと感じる。 

 多くの小規模病院で、医師は昼夜を問わず多忙な勤務を強いられてきたが、再編で夜間は豊岡病院が救急医療を担うことになり、医師離れに歯止めをかけることにもつながった。 

 医師の教育機能の充実という点でも大きなメリットがあった。豊岡病院では専門医の資格を取ることもできるし、小規模病院への派遣を通じて地域密着型の医療を体験することもできる。若い医師に来てもらう環境を整えられた。 

 一方、規模が縮小された病院の周辺地域で、病院へのアクセス(かかりやすさ)が悪くなった点は否めない。しかし、幸いなことに救命率が下がったというデータもない。 

 平時ならば各地域できめ細かい医療を提供すべきだが、今は中核病院の危機という異常時。ひとまず安心より安全を守る必要があった。将来的に医師不足が解消されれば、小規模病院にも医師を戻せばいい。 

 再編は但馬全体を一つの地域としてとらえている。将来はこの枠組みを生かして、全域で患者のカルテを共有するシステムをつくり、大小の病院が連携して総合診療を実現したい。 



▼評価できない 公立八鹿病院名誉院長 谷 尚さん 

  
たに・ひさし 鳥取大米子医科大卒。八鹿病院は41年在勤。院長、総長を経て現在はリハビリを担当。愛媛県出身、79歳 
  
過剰な専門分化懸念 

 「へき地」を含む但馬での医療はこれまでかなりうまくいっていた。梁瀬、出石など小規模の公立病院が軽症、重症患者を幅広く受け入れ、重篤な患者は中核病院の豊岡、八鹿病院が担う役割分担があった。今回、豊岡病院に医者を集めるために小規模病院の医師数を削減したことで、そのバランスが崩れた。小さな病院の頭越しに再編を進めた手続きも問題だ。 

 医師不足の原因は、医師の専門分化が進んだことが大きい。例えば内科でも、呼吸器は診療できるが消化器は無理、というのでは医師が何人いても足りない。私は消化器外科の専門医だが、脳や肺を含め全身の手術をこなしてきた。専門にこだわらず診療する「総合医」を育てることが、救急医療の崩壊を防ぐ処方箋(せん)だと考える。専門医でなければ対応できない急患はごく一部で、その場合はヘリで都市部に搬送すればいい。 

 豊岡病院は、都市部の中核病院のように専門医をそろえようとしているが、但馬では限界があるのではないか。小規模病院の縮小により、豊岡の専門医が軽症患者の診療に追われる恐れがあり、経営面でも懸念がある。 

 地域医療は「総合医」に加え、健康管理などを担う「家庭医」の役割も重要。この部分も小規模病院の県養成医師らが支えてきた。開業医にももっと担ってほしい。「何でも診る医者」を軽視しがちな風潮を改め、再評価する必要もある。 


▼評価できない 公立梁瀬医療センター外科医長 岡本秀樹さん 

  
おかもと・ひでき 自治医大卒。但馬の小病院や同大学大宮医療センターで勤務。日本外科学会専門医。豊岡市出身、40歳 
  
伸びる救急搬送時間 

 梁瀬病院(現医療センター)は医師数こそ五人だが、重症の救急患者の受け入れをはじめ、健診から終末期医療まで幅広く提供する魅力的な病院だったと自負している。経営的にも順調だった。それなのに再編で大幅に機能を低下させられ、すべての患者を診るのは難しくなってしまった。地域医療を担うという目標を失い、スタッフの士気も下がりつつある。 

 再編の結果、但馬の中で命の重さに格差が広がっているのも大きな問題。医師が集約化された豊岡病院に近い住民はいいが、朝来市では、夜間は消化器疾患などの急患の受け入れ先がなくなり、病院への搬送時間が急激に伸びている。住民の不安は大きい。 

 今回の再編は豊岡病院の医師確保のための数合わせだが、いずれ豊岡にも悪影響を及ぼすだろう。病院の規模を縮小された地域からの軽症患者が増え、本来担うべき重症患者の受け入れに支障が出る恐れがある。 

 専門病院でなければ医師が来ないという考えもおかしい。地域に密着することで患者から信頼され、それに応える総合診療の理念に共感し、小規模病院に定着する医師も多い。専門医になりたいのなら都会の病院へ行ってしまう。 

 今後は中小病院などに医師を分散配置して総合診療を進め、専門病院と役割分担をすることが肝要。ただし、再編で一度壊してしまった機能を回復するには時間がかかるだろう。 

(2008/02/27)