症状に関係なく、自分の都合に合わせて時間外に駆け込む患者・家族が最近、増えている。コンビニ受診・・・市民の間で自粛を促す取り組みも始まった事を歓迎する



『症状に関係なく、自分の都合に合わせて時間外に駆け込む患者・家族が最近、増えている。コンビニ受診・・・市民の間で自粛を促す取り組みも始まった事を歓迎する』 


<社説>コンビニ受診 地域医療をただす契機に 
2008.05.19神戸新聞   

地域医療をただす契機に 
 年中休みがなく、二十四時間いつでも対応してくれる。そんなサービスがあれば、便利この上ないが、医療にそれを求められては、医師や看護師はもたないだろう。 

 症状に関係なく、自分の都合に合わせて時間外に駆け込む患者・家族が最近、増えている。いわゆる「コンビニ受診」だ。その結果、診療に支障が生じ、さらに救急医療や小児科の休診、医師の過労や病院離れにもつながっている。 

 夜間しか病院へ運べないケースや、急病になっても周りに相談する人がいない場合など、くむべき事情のあるものもなくはないが、そういうケースは少ない。 

 市民の間で自粛を促す取り組みも始まった。本紙地域版で取り上げるケースも増えている。それが崩壊しかかった地域医療を立て直す一つのきっかけになればいい。 

 西脇市では「西脇病院小児科を守る会」が先月、医師の増員を求める六万人余りの署名を市長に提出した。増員を要求するだけではない。会を結成した今年一月以降、少ない医師の負担を減らすための賢い受診の仕方などの勉強も続けている。 

 守る会の母親たちは活動の中で、地方の医師不足の構造的な問題を知った。患者(市民)側の意識改革も大きな課題であることを理解したという。 

 都市、地方を問わず、病院は窮屈な体制でやりくりしている。根底に国の医療費抑制方針があるのは間違いない。四年前に導入された新臨床研修医制度も、大学と系列病院の関係を弱くし、病院の継続的な医師確保を難しくする要因になっている。 

 窮屈な診療体制は医師にツケが回り、当直増加や超過勤務につながっている。医療訴訟のプレッシャーも加わり、リスクの高い産婦人科や小児科、救急医療は敬遠されがちだ。そこへ、コンビニ受診が加わって医師たちはヘトヘトになっている。 

 崩壊寸前にある地域医療の背景に、こうしたさまざまな要因がからむ。コンビニ受診が解消したからといって医療が直ちに改善するわけではないだろう。むしろ、住民が地域の医療に目を向けるきっかけになることが重要ではないか。 

 西脇に限らず、より良い医療の姿を探る住民の動きは、各地で広がりつつある。行政が活動を後押しするところもある。閉塞(へいそく)感に包まれた今の地域医療に風穴を開ける試みといっていいだろう。 

 地域の医療は、地域のみんなで支えていく。そんな意識が広がってほしい。