茨城県筑西市民病院 ・・・経営危機だという現状は、10人に1人くらいしか分かっていないと思いますね。それと同時に市民病院を利用している方は少ない


『茨城県筑西市民病院 ・・・経営危機だという現状は、10人に1人くらいしか分かっていないと思いますね。それと同時に市民病院を利用している方は少ない 』       
  
    

(聞きたいホ-ダイ)百目鬼晋さん 地域医療担った自治体病院どう立て直し /茨城県 
2008.05.13 朝日新聞  
 地域医療の中核を担ってきた自治体病院の多くが赤字にあえいでいる。県内でその筆頭格といえる筑西市民病院は、累積赤字が約29億円に膨らみ、昨年度は一般会計から11億円を繰り入れ、今年度も7億7千万円が計上された。赤字が膨らんだのは、医療機関の研修制度が4年前に変わり、自治体病院から大学病院へと戻される医師が増えた影響が大きいとされる。ただ、放置してきた責任の所在はあいまいのままだ。市議として同病院の再生に携わってきた百目鬼晋・市民病院運営審議会副会長(54)に聞いた。(聞き手・金森定博) 

 --どうして赤字が膨らんだのですか。 

 最大の要因は医師不足です。新しい研修制度で医師の配置が換わったこともありますが、日本の人口あたりの医師数は先進国中最下位のレベルです。この解決なくしては恒久的な解決策は見いだせないと思います。 

 --医師不足が解消されると再建は可能ですか。 

 そうはいかないと思いますね。病院と診療所、開業医が連携して役割分担を決め、住民に信頼できる病院でなければ医師がたくさんいてもだめです。 

 筑西市民病院は1月に内科病棟が閉鎖されました。中核病院としての機能を失い、いったん信用をなくした病院が信用を取り戻すには、病院の内部努力と同時に、この病院の必要性を住民一人ひとりに理解してもらわなければなりません。それがない限り、医師がそろいましたといっても、私は市民病院の再建はないと思います。 

 --経営悪化を見逃してきた議会に責任はありませんか。 

 責任がないというわけではないが、前から各議員が一般質問で取り上げてきた。合併後まもない段階で、全議員が認識していたかと言われると甘かったかなと思う。新研修制度でこれほど急激に医師が引き揚げるとは思っていなかった。今は議会全体で行政とともに取り組んでいます。 

 --議員報酬をカットして責任を示す必要は。 

 議員報酬は県内の人口10万人以上の市では最低ですし、昨年度から政務調査費は返上しています。 

 --再建は可能ですか。 

 全国の自治体病院の約80%が赤字経営であり、病床数を減らしたり、廃院に追い込まれたりする病院が相次いでいます。筑西市民病院は地元医師会、大学病院との連携を強化して、中核医療機関どうしの救急医療態勢やネットワークを再構築する必要があります。 

 筑西では看護師の給与は民間に比べて2、3割高いが、医師は低めなので、ますます医師のなり手がいない。給与体系にメスを入れるには、地方公営企業法を全部適用させ、市ではなく病院の裁量で給与や人事を決めさせなければならないと思います。 

 --経営形態を変える必要はありませんか。 

 最近は公設民営が多くなっていますね。民間に近い形で指定管理者を置くことによって、責任は明確になる。民間の経営のノウハウも入れれば、立て直せると思います。 

 公設公営のままならば、ある程度、特化させた病院にすることも考えないといけない。茨城県は心疾患系の死亡率が全国でも上位になっています。なおかつ、この地域では循環器の緊急医療態勢がまったくできていない。それならば筑西市民病院を循環器病院に特化させ、コンパクトな身の丈にあった病院にしていく。これが私はベストだと思っています。 

 --市民にとって市民病院の改革はメリットがありますか。 

 経営危機だという現状は、10人に1人くらいしか分かっていないと思いますね。それと同時に市民病院を利用している方は少ないと思われますし、合併してますます違う方を向いている人も多いんじゃないかと思います。明野地区はつくばよりですし、協和地区は協和中央病院、県西総合病院(桜川市)もありますし、筑西市民病院を向いているのは下館地区と関城地区ぐらいでしょうか。 

 市民が望んでいるのと違う方向にいってしまう病院再生なら、意味をなさなくなると思います。 

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 どうめき・すすむ 筑西市議 学習塾経営。03年の旧下館市議選で初当選。市民病院の運営全般を審議する市の市民病院運営審議会副会長、病院側の経営改善努力をチェックする市議会市民病院評価等特別委員長を務める。