下関市包括外部監査人平成19年度・ 報告書より抜粋・・・包括外部監査報告の秀逸である。改革プラン策定に大変参考になる素晴らしい報告書である・・・

『下関市包括外部監査人平成19年度・ 報告書より抜粋・・・包括外部監査報告の秀逸である。改革プラン策定に大変参考になる素晴らしい報告書である・・・ 

公立病院改革ガイドライン 

公立病院改革ガイドラインに示されている指針は、本報告書の内容とまさに合致するものである。改革の具体的な実施のための方策については、協議会等の協議の場において今後決定されていくこととなる。本報告書の内容は外部の専門家のひとつの意見としてその協議会等において参照することが有意義であろう。』 


下関市病院事業の今後の課題 

① 病院事業としての方針策定 

下関市病院事業は、市町村合併以前からの取り組みを継続しているに過ぎない。 
市域全体の現状調査の実施・各地域の課題抽出を行い、全体としての下関市病院事業の方針を立案すると共に、各病院の位置づけや重点医療を明確化し、各病院が連携を取りながら、全体として下関市の医療水準を向上させることが期待される。 

② 運営形態について 

現在の下関市病院事業は地方公営企業法の財務規定のみの適用となっているが、全部適用として人事裁量権を拡大することや、地方独立行政法人化して自治体運営から独立して自律的な経営を目指すことなどの検討が必要であろう。 

③ あり方検討について 

下関市病院事業としての方針策定や運営形態については、幅広い関係者の意見集約が必要と考えられる。地域医療関係の代表者、市民代表・有識者などを交えた検討会設置も有意義と考えられる。様々な点についての議論活性化を通じて、下関市病院事業の運営が真に市民支持に根ざしたものとなることが期待される。 
  

一般会計からの繰入金について 

(1)繰入基準等の策定について 

繰入金の具体的な積算方法が病院間で異なり、繰入対象項目や算定根拠が不明瞭であるため、市民対する説明責任に疑問が残る。下関市病院事業としての繰入金要綱の策定・運用等が期待される。 

(2)政策医療と繰入金に対する説明責任 

繰入金に関して最も重要な点は、市民の支持とそのための透明性の確保である。 
下関市病院事業部は各病院の医療現場の状況・経営状況・直面する課題について積極的に情報発信を行い、下関市病院事業に対する市民の理解が広がるように継続的に努力するべきである。 

(3)各病院による経営自助努力 

市民の理解に基づいた繰入金であるためには、各病院自身が経営改善努力を重ね、経営努力に対する取り組みや結果を積極的に情報開示し、市民からの信頼獲得に努めていく必要がある。 


 指定管理者制度( 豊浦病院) 

( 1) 協定金額 

政策医療の赤字部分については、指定管理者に対して補助が必要な場合もあるが、現在の協定では、赤字相当部分の把握ができない。政策医療の赤字相当額を適切に算定し、協定金額に反映させる必要がある。 

( 2) 投資 

現在の協定によると、投資の大半について下関市の承認手続が必要となる。民間医療機関のノウハウが十分活かされず、かえって経営の効率性が損なわれる可能性がある。指定管理者の投資権限を拡大して適時投資を可能とする一方で、それに見合う責任を課すことも解決策のひとつと言える。 

次に、指定期間の終了間近であっても、適切な投資の実行とそれを利用した医療サービスの提供がなされる必要がある。市及び山口県済生会のいずれにも属さない第三者によるモニタリングを実施し、その結果を開示する必要がある。 

( 3) モニタリング 

財務面のモニタリングに加えて、医療サービスの品質面におけるモニタリングを強化する必要がある。 
モニタリング結果は、適切にフィードバックされる必要がある。政策医療の実施に係るモニタリング結果は、補助金算定の際に考慮する必要がある。 
さらに、市民がモニタリング結果を閲覧できるように、モニタリングの実施及び結果の開示が必要である。. 


ホスピタルサービス株式会社に対する委託契約( 中央病院) 

( 1) 随意契約の妥当性 

市域内に同業他社が存在しないことを理由として随意契約を締結している以上、公募や競争入札を実施し、他に応札者がいないことを確かめる必要がある。また、市域内の業者に限定する合理性は認められず、この点の見直しも必要である。 

( 2) 契約内容 
適正な価格水準で契約するためには、同業他社との比較、相見積もりの実施により、適正な価格水準を知る必要がある。現在、他の自治体病院の委託業務に係る価格水準の調査を実施しているところである。当該調査により収集・整理した情報を有効に利用されたい。 

( 3) 委託業務の管理・監督 

中央病院が有効にホスピタルサービスを管理・監督するためには、管理・監督について一定の品質を確保する必要がある。人事異動が頻繁にあり、十分な引継ぎが難しい中央病院の現状では、管理マニュアルの作成は効果的であろう。 
  


中長期計画 
( 1) 病院管理課 

下関市病院事業としての中長期計画が策定されていないため、地域医療に対する市のコンセプトと具体的行動や各病院の果たすべき役割が不明確である。 

また、中長期計画の欠如は市が負うべき地域医療に関する責任を各病院に転嫁し、各病院にとって過重な責任負担となる可能性がある。 
さらに、中長期計画策定準備のための委員会の設置及び運営について、具体的な課題及びスケジュールの設定がなく、結論の先延ばしを招く可能性がある。 
  

各病院 
各病院とも基本方針は設定されているものの、具体的な数値目標や期限目標がないため、基本方針の達成度合、医療サービスの質の維持向上の度合、医療ニーズとの合致、病院経営の効率性等のチェックが行われていない。また、目標管理が行われていないため、権限と責任の所在が不明確である。中長期計画を策定し、これらを解消すべきである。 

中長期計画策定後は、実効性を担保するために、目標の達成度合やニーズとの適合性等をモニタリングできる体制が必要である。 
  

経営管理体制 
( 1) 意思決定機関 

豊田中央病院 

運営協議会の議事録の整備が不十分である。議事録が不整備であると、検討課題が改善に結びついていたかや、次回以降の会議にどのように引継がれたかが明らかにならず、対応が不十分となる可能性がある。議事録を整備し、会議の運営をより確実にすべきと考えられる。 

( 2) 予算策定プロセス 

中央病院 

中央病院では、収益の予想値を計算することにより収入予算が策定される。それは実績値に基づいた予想値であり、目標は考慮されていない。 
自己の経営努力による採算管理を行うために、採算を考慮した適切な目標を設定 
し、予算に反映すべきである。 


( 3) 投資要望に対する判断 

中央病院 

独立採算制の下では、投下資本は自己収入により回収されなければならない。したがって、設備投資による採算計算を行い、それに従い投資意思決定をすべきであ 
る。 
( 4) 予算の運用方法 
中央病院 
 収入予算に対して実績の増減が見込まれる場合には、ある程度機動的に予算の修正を行うべきである。特に将来に向けての事業計画を策定し活動する場合には、将来のあるべき姿に向かって病院が運営されることになり、当初予算と実績の乖離が生じる場合が多くなる。病院の方向性を適時に修正し、柔軟な予算運用を考慮すべきと考える。 
  
( 5) 部門別計画 

① 中央病院 
厳しい経営環境を打破し、病院を将来的に変革していくためには部門別に設定された計画が必要となる。中長期計画の策定とともに、それを実行するために具体化されたものとして部門別計画を策定することが必要である。 

② 豊浦病院 
病院の経営環境は厳しさを増していることから、責任部門別に目標となるような数値を設定し、実績との差異を把握し原因を検討することによって改善を図ることが望まれる。 

③ 豊田中央病院 
医師や医療スタッフの不足等に対処するために、必要な施策を計画に織り込むことが重要である。部門別業務が未分離で、規模も大きくない豊田中央病院の現状を鑑みると、病院全体で取組むべき課題を議論して、その解決策を検討し、経営計画を策定することが望ましい。 

(6) 業績進捗管理体制 

豊田中央病院 
業績の進捗管理が十分ではない。月次で把握している収支に、年度もしくは半期に一度の支出となる費用の1 か月分及び減価償却費の1 ヶ月分の見積額等を配分調整し、簡略化した月次損益を算出する等の方法により業績の変化を把握することを検討すべきである。 

( 7) 部門別損益管理 

① 中央病院 
部門別損益管理を実効性あるものにするためには、 
・ 実施目的を明確にすること 
・ 医師に計算方法・結果を説明し承認を受けること 
・ 結果を分析し必要な対策を講じることが必要である。 
計算方法については、収益は各部門に直課し、費用( 原価) は適切な配賦基準により配賦計算を行うべきである。 

② 豊浦病院 

原価計算を実施するためには、病院内のあらゆる部門のデータを収集する必要があり、各部門の協力が必要となる。算出した数値を利用して改善活動を実施するためには、算出方法についてはすべての部門に承諾されたものでなければならない。 

( 8) 業績評価 

豊浦病院 
バランストスコアカードの導入は看護部だけに留まっている。バランストスコアカードの視点は病院全体に及ぶため、看護部だけの取り組みではなく、病院全体の取り組みとすることが望ましい。 

現在、人事考課制度の導入を検討しているが、その際、看護部で導入実績のあるバランストスコアカードの内容検証を行い、その改善を行うことによって効果的な制度導入を図ることが可能である。 

( 9) 規程類の管理 

業務遂行の誤った解釈や運用を避けるために、主要な規程は1 冊のファイルに綴じ込み、改定時に適時に差替える必要がある。 
現在、規程類を電子ファイル化し、イントラネット上で閲覧できるようにする計画がある。これにより、改定にかかる労力が減り、職員は最新の規程を容易に検索できる。データの安全性やデータへのアクセス権限等を管理しつつ、早期に実現すべき事項と考える。 


( 10) 経営改善 

中央病院 

中期計画や年度目標等がなく、事後の効果測定等がなければ、個別事項の取組みの実効性が職員に理解されない可能性がある。改善のための計画を立て、その効果を測定することが必要である。 
( 
 11) 医事業務 

中央病院 
医事業務は、ホスピタルサービス( 第三セクター) からメディカルサービス山口に再委託されている。ホスピタルサービスが、医事業務を始めとする多くの委託業者を取りまとめることによる効果の測定はしていない。効果の試算や比較検討を行う必要がある。 
第三セクターとしてのホスピタルサービスの存在意義が、外形的に疑問を持たれる可能性がある。委託業者の取りまとめによる効果を説明できるようにすべきである。 

( 12) 医事会計システム 

中央病院 
レセプト作成に係るシステム連携に不備があり、業務に不効率な部分がある。また、診療代金の請求誤りが生じる可能性がある。今後のシステム導入は、トータルのシステムとして仕様を考慮する必要がある。 

 診療報酬請求( 結果) 

各病院について、診療報酬が正しく請求されているかを確認するために、一部のレセプト内容を検討した。他のデータにより補完されているものの、診療録への記載不備が生じていた。 

 未収金管理 
( 1) 発生防止・早期回収努力 
各病院とも、高額医療費給付の相談に応じたり、電話督促を行ったりなど、患者未収金の発生防止や早期回収のための一定の工夫を講じている。 
しかし、いずれの病院も督促に係る明確なルールがなく、未収管理簿の整備が不十分である。督促ルールや管理簿を整備するとともに、適正な管理及び回収努力を確認できる体制を構築すべきである。 

( 2) 不納欠損処理 

消滅時効期間3 年を経過し、債務者が時効を援用した債権は、不納欠損処理が可能であるところ、各病院では平成1 7 年以降、不能欠損処理は行っていない。消滅時効期間を経過した債権は、過去の推移から回収可能性はないものと考えられる。 
そのような債権を未収金として計上することは財務諸表の適正性を害するものであり、早急な対応が望まれる。 
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棚卸資産( 医薬品及び診療材料) 

( 1) 受払管理 
① 受払簿の作成( 結果) 

豊浦病院、豊田中央病院 
豊浦病院及び豊田中央病院では、事務職員の不足等の理由により、棚卸資産の受払簿が作成されていなかった。適切な在庫管理を行うために、受払簿を作成する必要がある。 

② 検収( 意見) 
豊田中央病院 

豊田中央病院では、診療材料の納品検収の際、納品書と現物の照合を行うのみで、発注データとの照合がなされていない。発注内容通りに正しく納品されていることを確認するために、発注データと納品書及び現物の三者を照合することが望ましい。 
  

実地棚卸( 結果及び意見) 

① 実地棚卸の立会( 結果) 
中央病院、豊田中央病院 
中央病院の医薬品、及び豊田中央病院の医薬品と診療材料の実地棚卸に際して、本来、他部署の者による立会が行われるべきであるが、毎回実施されている訳ではない。実地棚卸の立会は、内部牽制による不正防止の観点から重要な手続であり、改善が必要である。 

② 実施要領等の作成 

中央病院、豊浦病院 
中央病院及び豊浦病院では、具体的な手順等を定めた棚卸実施要領が作成されていない。実地棚卸を適切に実施するために、具体的な手順等を定めた棚卸実施要領等の作成を検討すべきである。 

③ 現場定数分の棚卸 

中央病院 
中央病院の診療材料については、中央材料室保管分のみが棚卸対象とされ、現場定数分は棚卸対象から除外されている。中央病院の現場定数分の在庫金額は多額であるため、現場定数分も棚卸対象とすることが望ましい。 

④ 有効期限管理 
豊浦病院 
豊浦病院では、購入金額上位8 0% の品目のみ実地棚卸を実施しているところ、使用期限を2 年以上経過してから廃棄されたものや使用期限が不明であったものが散見された。有効期限を適切に管理するため、最低年一回は全品目について実地棚卸 
を行い、網羅的な検証を検討されたい。 


 固定資産 
( 1) 現物管理の実施状況 
中央病院及び豊田中央病院 

固定資産の現物調査を定期的に実施していない。固定資産を有効に管理するために、固定資産台帳の整備と定期的な現物調査を行うべきである。 

( 2) 除却手続 

各病院共通 
固定資産の現物調査を定期的に行えば、除却すべき件数は増加する可能性がある。 
現物調査と除却のプロセスはセットとして捉え、適時に除却情報を把握する必要がある。 

  
固定資産台帳の整備状況 

① 中央病院及び豊田中央病院( 結果) 
中央病院及び豊田中央病院において、資産の区分誤りによる耐用年数の適用誤りが生じていた。 

② 中央病院( 
中央病院では、手書きの台帳と電子的に作成した台帳を併用している。手書きの台帳に記載漏れや鉛筆書きでの修正等改善を要する箇所が散見された。台帳の整備方法を統一し、記載内容に漏れが生じないよう措置を講じるべきである。 

( 4) 高額医療機器の採算検討 

中央病院及び豊田中央病院 

新機器導入後の採算性の検討が行われていない。 
病院として必要不可欠と判断して購入を決定した以上、購入した機器の採算性を分析し、採算性の悪い機器については、稼働率向上に向けた努力をすべきである。 
また、事後的な検討結果は次の新機器の導入に際して有益な情報となりうる。稼働率算定のために必要な指数が適時に抽出できる管理体制の整備が望ましい。 


( 5) 修繕費と資本的支出の区分 
① 各病院共通 
各病院独自の基準に基づいて、修繕費と資本的支出の区分を判断しており、統一的な処理規程が明文化されていない。区分に際し恣意性が介入しないよう管理規程を定めるべきである。 

② 中央病院 

中央病院では特定の機器に集中して、高額の修繕費が計上される傾向にある。設備そのものを取替え更新するか、毎期修繕で対応するのかの意思決定も慎重になされなければならない。 

  駐車場の確保 

中央病院では、駐車場確保に向けた独自の取組みを実施する一方で、敷地内の本来駐車場所ではないエリアでの駐車も見られる。限られた敷地を有効に活用し、市民の利便性を向上させるためにも、現在下関市側でも検討中である駐車場立体化の導入等を本格的に議論すべきである。 
  

人件費・労働管理 
( 
 1) 超過勤務申請書の承認( 
中央病院 
中央病院の「時間外命令兼手当支給カード」の一部に、上長の命令印・承認印がないものが存在した。 

( 2) 非常勤嘱託医師に対する謝金の支給単価 
中央病院 
中央病院における「派遣医師謝礼金の支払基準」は平成1 1 年4 月1 日より見直し 
が行われていない。また、支給単価が慣例に基づき決定されているなど基準に曖昧な部分も多い。当該基準を適時に見直し、報酬額が適切に算定される仕組みを構築すべきである。 

( 3) 労働管理 
過酷な労働環境を無視して人員削減・人件費抑制に注力することはサービスの下を招き、地方からの医師・看護師離れを助長しかねない。一自治体、一公立病院 
で取り組むには限界がある環境ではあるが、現場の声も汲んで病院改革の方向性を定める必要がある。