公立病院を退職した看護師さんのご意見・・・、私が感じたことは、公立病院は経営に関して切迫感がないということです。



『公立病院を退職した看護師さんのご意見・・・、私が感じたことは、公立病院は経営に関して切迫感がないということです。税金を使わせていただいているという認識はあっても、絶対につぶれることはないと高をくくっている部分があるのは事実で、赤字も膨らむ一方だと思います・・・掛川、袋井両市の病院の統合の話が進み始めていますが、病院に十分な「力」が備わっていなければ市民は利用したいと考えません。以前の説明会で、建設場所や費用などハード面以上に患者の待遇を心配している人がとても多いことを痛感しました。 
統合するしないにかかわらず、利用しやすい病院であるためには、公立病院もこうした問題を解決するよう切磋琢磨(せっさたくま)してほしいと思います』 

トークバトル=「公立病院改革を考える」投稿特集 
2008.04.13静岡新聞   
  
「公立病院改革を考える」の最終回は、読者の皆さんの投稿を紹介します。 
医療現場を支える人材の育成などを地元市民一人一人が考えるべきだとする指摘や、税金で運営している以上、経営効率化を急ぐべきとする意見、国民生活の安心を何より優先すべきとする声などがありました。 

公立病院は地域医療に欠かせないという認識は共通しています。経営圧迫の一因とされる医師・看護師不足の解消を求める声もありました。 


 ◆地域で支える意識、必要 

 【FAX】 

 財政が豊かといわれるわが市でも、静岡県御前崎市立病院の医師不足が問題となっています。市立病院を設立した以上、造って良しではなく、運営のフォローを市がもっと行うべきだと思います。 

 市民が安心して受診するためには、心身が充実した病院スタッフがそろっていることが必要です。病院で働く医師の方々は、多忙な中、患者や市民のためにと頑張ってくださっていますが、地元の医療に貢献してくださる人材をもっと育てるべきです。病院を地元の市民が支えていくという意識が足りないと思います。 

 地元の医療を地元で支えるためには、医療関係の奨学金を市で考えていただけないかと思います。中高生の病院ボランティア体験をもっと取り入れ、医療に関心を持つ子どもたちを育成することも大切です。現時点では、病院の経営採算を考える段階にきていないと思います。 

 また、私たち市民もコンビニ受診を控えるのはもちろん、もっと自己の健康管理に責任を持つべきです。食生活や生活習慣、飲酒の量を変えることで防げる病気はあるはずです。 

 医療に携わる人たちが仕事に集中できる現場になるよう、市民一人一人が考えていかなければなりません。  (御前崎市、磯自慢、飲食業、38歳) 

 
【FAX】 

 外来が込んでいるほど、診療科が多いほど良い病院のようなイメージがあり、自分はお客さまといった消費者的な態度で病院に行っていたことを前回の記事を読んで反省した。 

 近年の制度改正で、紹介状がないと別途料金を徴収される病院が多くなった。が、それを払ってでも診療所より病院がいいという人で外来はあふれている。検査が充実していて安心できるからだと思う。 

 しかし本来、病院は入院を主体にすべき施設だと思う。夜間や急患でも特別な場合を除き、まず先に診療所で診てもらうのが理想だと思う。そのため、検査の高額な機械は診療所で買わず、地域にいくつか備えておいて共同利用すれば、診療所の患者の検査も充実し、病院の混雑も緩和できると思う。また、県内には有力な企業が多いので、財政面の問題は地元の企業にサポートしてもらうのも一案だ。 

 公立病院は文字通り地域の病院だから、地域の診療所や企業をうまく巻き込んで経営していくことが大切だと思う。  (静岡市、よもぎ、主婦、40歳) 

 
◆経営に民間感覚欲しい 

 【FAX】 

 掛川市の近隣には公立病院がたくさんあります。私は、そのうちのある公立病院を六年前に退職し、現在は民間の療養型病院に勤務しています。 

 退職後、私が感じたことは、公立病院は経営に関して切迫感がないということです。税金を使わせていただいているという認識はあっても、絶対につぶれることはないと高をくくっている部分があるのは事実で、赤字も膨らむ一方だと思います。 

 また、ここ数年医師と看護師の不足が慢性的な課題となっています。医師や看護師に夜勤は付きもので、女性が結婚、出産後も同じように仕事を続けていくのは無理があります。女性の労働条件を大きく改善しなければこの問題は解消されず、マンパワーが集まらなければ病院が機能しません。 

 掛川、袋井両市の病院の統合の話が進み始めていますが、病院に十分な「力」が備わっていなければ市民は利用したいと考えません。以前の説明会で、建設場所や費用などハード面以上に患者の待遇を心配している人がとても多いことを痛感しました。 

 統合するしないにかかわらず、利用しやすい病院であるためには、公立病院もこうした問題を解決するよう切磋琢磨(せっさたくま)してほしいと思います。  (掛川市、大石典子、看護師、36歳) 


 【手紙】 

 全国各地で自治体病院の経営難が表面化している。自治体の一般会計からの繰入金がなければ、ほぼ九割が赤字。このような収益の改善が見込めない現状でとるべき対策は、市民の税金を投じて経営している病院である以上、効率的な経営を行える体制を選択することだ。 

 昨年、公立病院改革のガイドラインが示され、三年以内の経営効率化、五年以内の再編・統合や民間への譲渡などの経営形態見直しが決められた。現在、自治体病院が採用できる地方公営企業法の全部適用という経営形態は、機動性や臨機応変さが求められる企業経営には不向きであり、政府も地方独立行政法人や指定管理者制度といった民間手法を取り入れた経営形態の導入を強く求めている。しかし、地方独立行政法人や民間譲渡には一長一短があり、継続的な地域医療の確保という観点からは不安が残る。 
 これらの事情を総合的に判断すると、地域医療を維持しつつ経営効率化を図るには、指定管理者制度による公設民営型が望ましいといえるのではないか。 
(牧之原市、鈴木幹夫、嘱託勤務、71歳) 

 
◆国民の生活を第一に考えて 

 【手紙】 

 治療を受ける側からの意見として、自分が病気をした時、安心して受診ができる病院が身の回りにあることは不可欠だ。 

 個人病院、公立病院、医大、看護学校など医療機関の役割の見直し、連携が大切だと思う。掛かり付け医を持つことが推奨されているし、より高度な治療が必要となった場合、受け皿となってくれる公立病院がないと心配だ。 

 このほか、管理栄養士や臨床検査技師のスキルアップ、病気を早期に発見する健診の充実、適切な治療を受けることのできる病院の紹介制度など、受診する側の立場に立った改革が必要だと思う。 

 また、医師不足、看護師不足の解消には、医学を目指す学生のうちから即戦力となるだけの力を付ける教育や、その中から力量のある人材を確保し採用するシステムの充実が必要だ。 

 一方、受診する側も病気にならない生活を心掛け、病気になっても軽く済むよう体力づくりをする。ある程度の知識も持って、病院に頼りすぎないことも大切だと思う。(掛川市、Y・H、農業51歳) 


 【FAX】 

 国・総務省は、日本の医療・福祉をどうしようというのだろう。総務省が昨年十二月に示した公立病院改革は、経営効率を優先し、病院の統廃合や病床数の削減を狙っている。一九八〇年代の臨調行革の下で進められてきた医療費と医師数削減の集大成を行おうというものではないか。 

 憲法二十五条には「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とある。今の政府の政策は、明らかに憲法違反ではないか。 

 後期高齢者医療制度もそうだが、国民を差別する医療制度であってはならない。「苛政は虎よりも猛し」「医は仁術なり」の言葉を為政者は肝に銘じるべきだ。(掛川市、進士竜太郎、高校教師50歳) 

 【写説】全国の自治体病院は全体で赤字決算が続いている。平成の大合併による病院数減や医療費の国民負担増、医師不足で休診など、患者数の減少も続く。県内でも独立行政法人化や統合の動きが出ている