福田康夫首相は先週、産科医、小児科医不足について「早急に手をつける」と表明した。来月にも改善策を打ち出す。思い切った対策を期待したい・・・



『福田康夫首相は先週、産科医、小児科医不足について「早急に手をつける」と表明した。来月にも改善策を打ち出す。思い切った対策を期待したい・・・地方自治体が 産める・育てられる町にする事を宣言し 
公立病院の役割を完全に果たすとして改革プランを策定すれば 必要な財政支援措置が十分措置されると言うことである』 
           
 【社説】産科医不足 志望増へ気概と優遇策と 
2008.04.21西日本新聞   
  
産科医不足が深刻である。厚生労働省によると、今年一月以降、全国で新たに七十七カ所の医療機関がお産の休止や件数制限を決めた。 

 厚労省は、このうち一部について地域でのお産が困難になると判断し、近隣の大学病院などからの医師派遣を検討しているが、いかにも急場しのぎだ。 

 産科医不足は、十年ほど前から徐々に顕著になってきた。医師数はこの十年で一割以上減り、出産を休止した医療機関は千を超す。 

 なぜ産科医不足となったのか。医師の絶対数は年々増え続け、普通に産科医が補充されれば、不足はしないはずなのだが、足りなくなっている。 

 はっきりしているのは志望者の激減である。敬遠する理由は、産科勤務の例外なき激務、少子化による将来の需要減、そして医療訴訟を起こされやすい診療科-などである。 

 産科は次代を担う子どもの誕生に立ち会い、母子に異常があれば直ちに治療に手を尽くす、重要な医療分野である。 

 しかし、昼夜を問わぬ出産が勤務を不規則にし、医療の進歩が危険度の高い妊婦や新生児を増やして、医師を精神的、肉体的に疲れさせているのは事実だ。 

 激務に耐え切れなくなった医師が職場を去ると、残る医師はますます忙しくなり、彼らも限界を超す。そんな悪循環が産科医療機関にはあるという。 

 厚労省は新年度から、診療報酬アップなどで産科医療への医師誘導を試みようとしているが、それだけで解決しないことは厚労省も分かっていよう。 

 今なされるべきは、医師として進路を選ぶ若手への真剣な働き掛けではなかろうか。産科医療が危機にひんし、妊婦と赤ん坊を守るのに、若い人材が求められているという呼び掛けだ。 

 産科医の増加なしに産科現場の環境改善はできない。「おれがやってやる」という打算抜きの気概が若手にほしい。大学医学部での機運醸成も大事である。 

 むろん、仕事に見合う報酬や勉強時間の確保は欠かせない。女性医師の就業支援などを含め、政府は産科医への優遇措置を大胆に進めるべきだろう。 

 福田康夫首相も先週、産科医、小児科医不足について「早急に手をつける」と表明した。来月にも改善策を打ち出す。思い切った対策を期待したい。 

 産科の医療システムにもっと工夫も必要だ。地域医療機関の集約化やネットワーク化は進められるべきだろう。 

 訴訟は、医療に事故が伴う以上避けられない。ただ、当事者任せにせず、医療の恩恵を受ける社会全体で引き受ける仕組みが考えられてよい。 

 過失の有無とは無関係に被害者を救済し、紛争の解決を目指す産科無過失補償制度や、事故の原因を調べる「医療事故調」の設置を急ぐべきだ。事故を恐れ、医療がおざなりになってはいけない。