『自治体病院を管轄する総務省で公立病院改革の先頭に立つ栄畑潤大臣官房審議官(公営企業担当)が、改革の狙いと具体的方策を講演』・・きわめて明確 わかりやすい政府の方針!



『自治体病院を管轄する総務省で公立病院改革の先頭に立つ栄畑潤大臣官房審議官(公営企業担当)が、改革の狙いと具体的方策を講演』・・きわめて明確 わかりやすい政府の方針! 

トークバトル=「公立病院改革を考える」セミナー詳報 
2008.04.06静岡新聞   
  
国の公立病院改革の動きを受けて、県立大地域経営研究センターはこのほど、県内病院の院長や事務長クラスを対象にしたセミナー「公立病院改革と目指すべき方向」を静岡市内で開きました。自治体病院を管轄する総務省で公立病院改革の先頭に立つ栄畑潤大臣官房審議官(公営企業担当)が、改革の狙いと具体的方策を講演しました。セミナーの詳報を報告します。 

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 ◆栄畑潤氏(総務省大臣官房審議官)講演-再編、広域ネット化推進 経営形態見直し検討を 

 なぜ今、自治体病院改革が叫ばれているのか。静岡県は気候、交通の便に恵まれ、人口も多く、大変暮らし向きの良い県だが、その静岡でさえ医療問題が大きな課題となっている。 

 ▽医療の現状 

 全国各地で自治体病院が悲鳴を上げている。三つの理由が考えられる。一つは自治体病院そのものの経営悪化。平成十八年度決算でみると78・9%の自治体病院が経常損失を出している。十六、十七年度の推移から確実に赤字病院の割合は増えている。累積欠損金は一兆八千五百億円に上る。これは大変な状況だ。 

 二つ目の理由は特に十六年度以降、顕著になっている医師不足の問題。勤務医が一人減ると収入が一億円から一億五千万円減るといわれ、医師不足が経営悪化に拍車を掛けている。 

 三つ目は財政健全化法の施行。これまで財政の健全度のチェックは一般会計が中心だったが、今後は公営企業や第三セクターを含めて判断する。自治体の財政と切り離されていた公立病院の経営が一般会計とつながった形で把握され、一定水準を超えると是正しなければならない。人口が多くない市町村にとっては影響が大きい。 

 ▽目指す方向 

 総務省は昨年夏から自治体病院改革を大きな政策課題として取り上げ、ガイドラインをまとめた。このガイドラインを踏まえた具体的な改革の方向づけを二十年度中にするよう各自治体にお願いしている。 

 目指すべき方向としては公立と私立が役割分担し、適切な医療提供体制をつくることに尽きる。さらに自治体病院についていえば、他病院がやらない、もしくはカバーできない診療で、無くなるとその地域の医療に大きな影響を与える医療を提供すべき。最近の医師不足の状況下では、広域的な医師派遣の拠点機能なども期待されている。 

 現状をみると、自治体病院が手を広げすぎている地域がある。地域医療体制の中で何を自治体病院が果たすべきか、地域の人を含めて十分な議論をしてほしい。 

 ▽具体的方策 

 公立病院改革の柱としては「医師確保など必要な医療体制の整備」と「持続可能な病院経営」の二つが挙げられる。 

 必要な医療体制の整備は、現状では医師不足への対応が最重要課題。政府内でも厚生労働省、文部科学省、総務省の三者が連携をして医師確保対策を進めてきた。ただ、それらが十分な効果を上げてきたとは言い難い。今後もきめ細かな医師確保対策を三省間で進めていく。 

 現在、中小規模の自治体病院が医師不足になって病院機能が落ち、赤字がさらに膨らんでいる。地域の自治体病院の共倒れが心配。改革では自治体病院の再編ネットワーク化を進めたい。中核的な自治体病院には前後期の研修医の臨床研修をやってもらい、医師が集まるようにする。医療技術が集積され、症例数が多く、優れた指導医がいる病院に研修医は集まりやすい。ネットワークによって医師確保しやすい体制をつくることができる。 

 市町村立病院間の再編ネットワークづくりが進まない場合は、都道府県が調整に積極的な役割を果たしてほしい。併せて経営主体の一本化も検討してほしい。市町村ごとに経営主体があるのは非効率で、広域的に行う方が良い結果が出やすい。 

 自治体病院は人件費や医薬材料費、減価償却費は高い傾向にある。各病院ごと収支改善の数値目標を持ち、是正する仕組みをつくってほしい。そのほか、経営感覚のある外部の人材の登用などさまざまな観点から経営の効率化をお願いしたい。 

 経営感覚を突き詰めていくと経営形態の見直しにつながる。直営よりも非公務員型の独立行政法人、あるいは指定管理者という方法もある。 

 ▽プランの進め方 

 再編、ネットワーク化や経営形態の議論は、議会や住民のコンセンサス(同意)を得る必要がある。三-五年をかけて進めてもらいたい。進ちょく状況を点検、評価し、内容を公表していく。 

         ………………………………… 

 ◆栄畑氏「偏在是正が必要」-県内病院長らと質疑応答、医師確保や抜本策望む声 

 県内の公立病院も深刻化の一途をたどる医師不足の問題から、医療水準の維持と経営改革のはざまで多くが苦しんでいます。講演後の質疑応答では、参加者の病院長から栄畑審議官に県内の医療課題に関する質問が寄せられ、国の施策に期待する声も聞かれました。 

 -医師も看護師も絶対数が足りず、確保に大変苦労している。「医学部定員削減による医師数抑制」の閣議決定にメスを入れて、人材確保の抜本的な転換は考えているのか。 

 ・栄畑審議官 医師数は全国的には毎年約五千人増となっていて、医師は今後も着実に増える。勤務医不足を受け、一部の医学部で増員を行ってきた。大事なのは医師偏在の是正策。地方の医療機関に行く医師が減っていることが問題で、医師数を単に増やす対策を行っても効果はさほど期待できない。 

 -救急医療は不採算部門で自治体病院が主に担ってきた。医師数は増えているといっても救急医は減少している。年々、医師が減り、非常勤で埋めるとなると年間数億円の人件費増になる。現状では信頼のおける改革プランの策定、実施は難しいのではないか。 

 ・栄畑審議官 地域で自治体病院の果たすべき役割を担う上で採算がとれない場合、一般会計からの繰り入れは当然あると考えている。改革プランの策定で自治体病院の役割を明確にしてほしい。一方で金の問題ではなく人の問題がある。医師総数は間違いなく増えているが、医師の配置がなかなかうまくいっていない。医師確保対策はまだまだやるべきことがあると思うが、地域でも再編ネットワークを組むことでカバーできないか検討してほしい