公立病院改革ガイドラインパターン4を既に2005年から(PFIZER FORUM)推奨していた松山幸弘氏のご意見・・・


『公立病院改革ガイドラインパターン4を既に2005年から(PFIZER FORUM)推奨していた松山幸弘氏のご意見・・・』 


日本版IHNで公的病院改革 

日本でも赤字経営に苦しむ公的病院の民間への売却や経営委託が進められているが、単に公的病院をバラバラに民営化するのでは地域の医療ニーズと経営資源のミスマッチが拡大する可能性がある。 

それを解決するためには、非営利性・公益性の高い医療事業体のネットワークを構築することが不可欠である。 

公的病院の赤字体質は高い人件費と効率化に向けたインセンティブが不十分であることが原因なので、改善には職員の非公務員化が不可欠であり、そのガバナンスについては自治体を核にした地域社会が担う仕組みが望ましい。 

さらに病院間の重複投資を解消し、人材や設備を最適配置するためには、人口100万~200万の広域医療圏単位で非営利性・公益性の高い病院グループをつくり、経営を効率化する仕組みが有効である。 

その際のモデルになるのがアメリカのIHNである。地域の自治体病院が連合して「日本版IHN」を創造し、経営資源を共有化することにより、経営の効率化と質の高い医療の提供を同時に実現することが期待される。 


米国の医療産業を担う非営利IHN 

日本が医療改革を進める上で大変参考になると思われるのが、米国の統合ヘルスケアネットワーク(IHN)と呼ばれる組織である。 

IHNは、広域医療圏において複数の病院、リハビリ施設、介護施設など医療関連施設を経営統合、そこに独立開業医が自主参加し、地域住民が求める医療・介護サービスをシームレスに提供する社会システムである。 

各施設の機能分担を最適化することで経営を効率化、同時に医療の質の向上を目指している。 

IHNは1990年代に本格的に登場したが、現在は約600の組織が全米の主要な医療圏をカバーし、コミュニティ病院の約6割がIHNに所属している。 

注目すべきはIHNの約9割が非営利の組織である点である。すなわち米国の医療の産業化の主役は非営利IHNなのである。 

株式会社である営利病院の数は全体の13%にすぎない。非営利IHNは、効率経営で生み出した利益の全てを医療事業を通じて地域社会に還元することを使命としている。赤字部門でも地域住民にとって必要なものは維持しなければならない。 


2005年2月 No.84 
  
 富士通総研経済研究所 
松山幸弘(まつやま・ゆきひろ)氏プロフィール 

株式会社富士通総研主席研究員 
1975年、東京大学経済学部卒業。生命保険会社を経て、1999年富士通総研に入社。医療、年金、教育、財政、自治体改革など、幅広い分野で研究・執筆活動を行っている。九州大学経済学部客員教授、日本銀行金融研究所客員エコノミスト、厚生省HIV疫学研究班員など歴任。主な著書に「米国の医療経済」「アメリカの医療改革」「人口半減:日本経済の活路」など。