日刊建設通信新聞が ゼネコンへの警告・・近江八幡市病院PFI報告のポイントを的確に報道している


『日刊建設通信新聞が,ゼネコンへの警告・・近江八幡市病院PFI報告のポイントを的確に報道している』 


近江八幡市病院PFI/検討委「市の責任感欠如」指摘/契約の見直しも 
2008.01.23 建設通信新聞   
  
滋賀県近江八幡市の「総合医療センターあり方検討委員会」は21日、第3回会合で提言案を冨士谷英正市長に提出した。PFI事業の残期間の収支見込みを検討し、場合によってはPFI契約条件や金額の大幅な見直し、契約の一部解除が必要としている。この提言案を受け、市は公立病院改革ガイドラインに基づく改革プランをなるべく早くまとめる考えだ。 

 同センターは、2006年10月に開院したが、07年度は約24億円の赤字となり、同年度末には8億円の一時借入金が必要となる見通しとなるなど、経営状況が悪化している。このままでは13年度に資金不足額が70億円にまで膨らみ、近江八幡市が財政再生団体に転落する恐れがあるという。 

 提言案では、原因は重要な経営判断を主体的に十分検討しなかった市と病院の責任感の欠如にあると指摘した。さらに、非営利で医療コア業務を担う病院組織と営利活動を前提として医療ノンコア(周辺)業務を担うSPC(特別目的会社)が円満な関係を築いていないことや、直営委託方式に比べて契約内容や金額の変更に対して柔軟性に欠けること、病院とSPCのコミュニケーション不足などを挙げている。 

 こうした分析を踏まえ、毎年4億円以上の支出削減、施設修繕費などの前払い的費用の適正化を図るほか、施設整備費の金利相当分を圧縮するため、PFI契約の見直しと地方債などによる有利な借換を検討するよう求めている。 

 運営面でも、SPCが常時現場に権限ある責任者を置かない限り、契約解除すべきとしている。 

 また、VFM(バリュー・フォー・マネー)試算の必要性は認めながらも、「この数値のみを重視すると、毎年の損益計算や資金収支という経営の基本的な考え方が欠落する可能性がある」とし、「PFIは活用方法に自由度があり、個別案件ごとの活用・運用方法が厳しく問われる。行政側は導入に当たって、綿密に検討し、緊張感を持って交渉などの対応を行うべき」と警鐘を鳴らしている。 

 同PFI事業は、BOT(建設・運営・譲渡)方式で病院の設計と建設、維持管理、非医療行為の運営などを行うもので、SPCは大林組が出資する「PFI近江八幡」。

◆公平な契約変更を 

 委員会の報告では、金利負担軽減に向けた契約条件の変更、施設修繕費や薬剤・診療材料費の見直しなどを打ち出している。今後、官民双方で協議に入るが、冨士谷市長が21日の記者会見で「(SPCが応じない場合には)契約の解除を考える。訴訟になってもやむを得ない」とコメントしたこともあり、SPCにとって不利な契約変更を懸念する声もある。 

 PFIに詳しい熊谷弘志アビームコンサルティング社会基盤・サービス統括事業部ディレクターは「(経営悪化の背景には)要求水準の内容、官民の業務分担やリスク分担などが適切でなかった可能性もある。契約変更は、どちらか一方が不利になることのないよう、フェアに行われるべきだ」と話している。 

日刊建設通信新聞社