病院、PFI 推進の日本政府関係者は英国の事例を知っていて 無批判に推進していたのか。又今後も反省なく推奨を 続けるのか!


『病院、PFI 推進の日本政府関係者は英国の事例を知っていて 無批判に推進していたのか。又今後も反省なく推奨を 続けるのか! 
英国で事業者としてPFI事業に参加して以来、同事業に従事された熊谷氏のご意見・・・ 英国では、医療関連業務は公共の業務であるので民間には委託しない。医療関連業務とは、診療行為だけではなく、薬剤・診療材料・医療機器の購入、電子カルテの調達から運営まで一連のものである。 
民間に委託するのは、建物の建設維持管理、清掃、ケータリング、医療機器の維持管理、駐車場の運営など、民間ノウハウを活用し、民間にリスクをとらせ、効率的に運営することが可能な分野のみである』 


熊谷弘志氏の経歴 
株式会社日立コンサルティング。清水建設、プライスウォーターハウスクーパーズFAS、KPMGビジネスアシュアランスを経て現職。PFI事業の総合アドバイザーとして、導入可能性調査、アウトプット仕様および導入ガイドライン策定支援などをおこなっている。英国で事業者としてPFI事業に参加して以来、同事業に従事。スペインESADE大学大学院(国際経営学)修士。 


所論諸論/熊谷弘志/PFI事業のあるべき姿 
2007.12.13 日刊建設工業新聞   
  
PFI手法によって整備された高知医療センターは、収賄事件にまきこまれただけでなく、「病院本体の赤字問題のなかで、企業との契約というベールに包まれ、赤字の原因がわかりにくいのが一番の問題」と、運営上にも問題があるといわれているらしい。 

 しかしながら、病院本体の赤字は予想できたことで、民間事業者の運営とは関係ない。また、企業契約のベールに包まれているのは、海外のPFI事業では当たり前の会計帳簿の開示を発注者が事業者に要求しなかったからだ。 

 この病院の抱える最も重要な課題は、病院の赤字や民間の情報開示問題ではなく、移転可能な公共リスクを民間移転しておらず、民間に移転できないリスクを無理に民間に移転していることである。 

 英国でも、病院PFI事業の医療行為を含んだ運営は公共が担う部分であり、医療行為の赤字は公共責任だ。明確な業務とリスクの分担が原則であるPFI事業において、「公共が損をしているのに、民間がもうけているのはけしからん」という根拠のない責任転嫁論は望ましくない。 

 それでは、いったい官民の業務分担やリスク分担はどうあるべきなのか。英国の病院PFI事業と比較しながら、このあるべき姿を検討してみた。 

 まず、英国では、医療関連業務は公共の業務であるので民間には委託しない。医療関連業務とは、診療行為だけではなく、薬剤・診療材料・医療機器の購入、電子カルテの調達から運営まで一連のものである。民間に委託するのは、建物の建設維持管理、清掃、ケータリング、医療機器の維持管理、駐車場の運営など、民間ノウハウを活用し、民間にリスクをとらせ、効率的に運営することが可能な分野のみである。 

 たとえば、建物の建設維持管理のリスクを民間移転するので、民間は施設整備費、大規模修繕費等を民間資金調達し、施設提供サービス料の受け取りによって、融資額を返済する。建物に不具合が出て使えなくなると、事業者は施設提供サービス料を受け取れなくなるので、不具合がない状態を維持しようとする。合理的である。 

 一方、高知医療センターはBTO方式であり、施設が老朽化して、適切な状態を下回っても、契約時に確定した債務を払い続けなければならない。また、公共が施設を所有し、大規模修繕も、自らの判断で行うため、今後老朽化してくると、追加コストを支払って修繕せざるを得なくなるであろう。 

 さらに、一連の医療行為の一部、たとえば、医薬品の調達や診療材料の購入を安易に民間に委託している。新たな薬品や診療材料の登場で、既存の価格が変動した場合、どのようにして価格を調整するのであろうか。また、医者がコスト意識なしでこれらの消耗品を使ったり、事業者が高価な契約外の薬剤や診療材料を医者に売りつけて、これを事業者収入にしたりすると、確かに病院の赤字が増え、事業者がもうけることになる。しかしながら、それは、発注者の作った事業枠組みの特性が生む必然であって、いくら、事業者の経理情報を公開しても改善されるようなものではない。 

 PFIは、公共のリスクを民間移転することからVFM(バリュー・フォー・マネー)を生み出す仕組みであるといわれる。そのため、事業計画の段階で、リスク分析を行い、官民のどちらがリスクをとれば、より廉価にしかも高い品質でサービスが提供できるかの判断をしなければならない。 

 診療業務がコア業務であり、重要なのであれば、診療業務は民間に委託すべきではない。これは、リスク分担の観点から考えれば明白である。不適切なリスク分担はVFMの低下につながる。 

 民間にできることを民間に任せたいのならば、極端な例であるが、米国ジョージア州のサンディ・スプリングス市のように、警察、消防、緊急医療を除いてすべてを民間委託する方法もある。 

 (アビームコンサルティング社会基盤・サービス統括事業部ディレクター) 


アビームコンサルティング株式会社 
ABeam Consulting Ltd. 

設立 1981年4月1日 (等松・トウシュロス コンサルティング株式会社) 

資本金 62億円 

アビームコンサルティング株式会社は、日本を中心に活動するコンサルティングファーム。監査法人トーマツ・米国のデロイトと提携関係にあり、デロイトトーマツコンサルティングという社名であった。2003年に監査法人トーマツと資本関係を解消、デロイト トウシュ トーマツからも脱退し、現在は独立したコンサルティングファームとして活動している。社名は等松トウシュロスコンサルティング→デロイトトーマツコンサルティング→ブラクストン、と変遷し、2003年より現社名