2008/2/20 滋賀県東近江の2市立病院が ガイドラインを良く研究され 医師派遣能力のある基幹病院と一体経営の道を選択される事を期待します

『滋賀県東近江の2市立病院が ガイドラインを良く研究され 医師派遣能力のある基幹病院と一体経営の道を選択される事を期待します』 
 

能登川病院(東近江市猪子町) 蒲生病院(東近江市桜川西町



2008年湖国 東近江の2市立病院 経営悪化 打開策見えず 医師不足、患者減の悪循環 
2008.02.17中日新聞   
  
【滋賀県】合併により2つの市立病院を管理する東近江市は、両病院とも常勤医師がこの2、3年でそれぞれ3-4人辞めているほか、患者数が減り経営が悪化している。市は内外の病院医療関係者らで市立病院等整備委員会を立ち上げ、医療体制の方向性を協議しているが打開策は見えてこない。地域医療を守りたい、との使命感は、増える医療赤字でぐらついている。(前嶋英則) 

 関連の市立病院は能登川病院(同市猪子町)と蒲生病院(同市桜川西町)。いずれも病床数百二十の中小病院で、二〇〇六年度の病床利用率は能登川病院が70・2%、蒲生病院が58・6%と低迷しており、同年度の両病院の赤字は計二億一千万円に達している。 

 ことし一月二十八日に開かれた「市立病院等整備委員会」の第一回会合。能登川病院の中條忍院長は「医師不足が深刻で、医師から退職願が出されないか毎日、心配している」と話し「数字は赤字だが、病院が地域にどれだけ貢献しているかも分かってほしい」と訴えた。蒲生病院の加藤正人院長は「整形外科医が二人辞め、困っている。医師が減れば経営を圧迫する」と苦しい胸の内を述べた。 

 両院長が指摘した医師不足は医療制度改革「新医師臨床研修制度」によるところが大きい。市によれば、これまで大学を卒業した医師の多くは出身大学の付属病院に就職して二年間の研修を受け、三年目に教授の指示で地方の公立病院などに派遣されていたことから、医師の確保に頭を痛めることはなかった。 

 しかし、改革により医師が研修先を自由に選べるようになり状況は一変した。大学病院で研修する医師が減ったことで地方に派遣できなくなり、これまで派遣していた医師を公立病院などから引き揚げる事態に。能登川病院は現在、常勤医師は十四人から十人、蒲生病院は十三人から十人になり、さらに減る可能性もあるという。 

 「四年前までは赤字も少なく、経営は安定していたが、医師が辞め患者が減る悪循環になり大幅な赤字になった」と病院関係者は嘆く。 

 同整備委員会は二病院の経営統合や病床数の見直し、市内の他病院との連携などを協議し、今秋までに医療体制を整備したいとしている。中村功一市長は「二つの病院をどのような形で存続、整備していくのが望ましいか、意見をいただきたい」と協議の成り行きを見守っている。 

 蒲生病院周辺地域には開業医は一カ所しかなく、病院は一次医療(外来)も担っている。一方、能登川病院周辺地域には開業医が十一カ所あり、一次医療の開業医と二次医療(入院)の病院とが役割を分担して地域医療を守っており、中條院長は「なくすわけにはいかない」と語気を強めた。 

 小鳥輝男委員長(東近江医師会長)は「最大公約数的な福祉を目指し、地域住民も当事者意識を持ってほしい。我田引水になっては困る」と苦言を呈す。国内各地で多くの自治体病院が赤字に苦しんでいる中、将来を見据えた手だてとともに、地域医療のあり方について市民と議論をする場を設けることも重要だ。 


(参考 記事) 
自治体病院の改革 
2008.02.16 佐賀新聞 論説   

〈新しい姿、明確に示そう〉 

赤字経営の自治体病院に経営改革が迫られている。地方自治体の行革が加速する中、どのような形で公的医療サービスを維持していくのか。官と民の医療機関の連携を強め、超高齢化時代に必要な新しい地域医療体制づくりが急がれる。 
武雄市は市民病院の経営改革の基本方針をまとめ、地方独立行政法人への移行か、民間移譲の新たな経営形態の検討を進めている。 


■官民ネットワーク化 
 もともと武雄市民病院は国立療養所武雄病院だったが、二〇〇〇年に武雄市が経営を引き継いだ。だが、いままで黒字になった年はなく、〇六年度の累積赤字は六億円にも膨れた。 

 市側は経営形態を見直したい理由に、市民病院が現状のままならば(1)救急救命、高度医療を十分に提供できない(2)医師の確保、看護師の採用ができにくい-等の課題を挙げ、とくに国が赤字病院の抜本的な改革を求めていると強調する。 

 総務省は昨年十二月末、公立病院の経営効率化を目指し、改革のガイドライン(指針案)を通知。自治体に対し、病院の経営効率化を三年以内、再編・統合や民間移譲などの経営見直しは五年以内に実現させる改革プランを〇八年度中に策定するよう求めている。 

 とりわけ注目されるのは、病床利用率が、三年連続で70%未満の病院に対し、病床数の削減や診療所(二十床未満)への転換を促すことだ。国が本気になって赤字病院の改革に手をつけることがうかがえる。 

 県内には市、町立の自治体病院が九病院あるが、〇六年度はそのすべてが赤字経営になっている。各自治体は巨額の税金を投入してなんとか運営を続けているが、赤字体質からの脱却が難しい場合は、規模縮小や再編ネットワーク化、さらには経営形態の見直しも余儀なくされそうだ。 

 総務省はガイドラインの中で、まず自治体病院の再編・ネットワーク化を提言する。地域の中で中核機能を持つ基幹病院と日常医療を持つ病院、診療所に再編するというわけだ。 


■住民ニーズに対応 
 経営が成り立たず医師の確保ができない中、もはや一病院、一自治体では自治体病院の課題は解決できない。広域で公的医療を支え合う仕組みを県や市町、医師会、民間医療機関が連携して工夫するほかあるまい。限りあるマンパワーや予算の「医療資源」を有効活用することが不可欠だ。 

 次に経営形態の見直しは、民間の経営ノウハウを導入するため、地方独立行政法人化や民間への事業譲渡を行う。独立法人は、民間任せでは実施されない恐れのある事業を独立して行う法人だが、官の体質から、なかなか抜けきらない。 

 将来の経営リスクを負わない民間移譲は、先端の高度医療が期待できる半面、市民病院が中核病院として果たしてきた高齢者、低所得者向け医療サービスの低下、地域医療連携がうまくいくか懸念材料も多い。 

 地域に根付いてきた自治体病院の改革は、地域医療をどう再生していくかの展望がなければ意味をなさない。つまり、将来にわたる住民ニーズに応えるため、地域における良質で効率的な医療提供体制の確立を目指すことだ。 
 自治体病院のつくり替えは地域全体の構想があって初めて説得力も出てくる。武雄市は独立法人への移行にせよ、民間移譲にせよ、地域医療の連携を軸に、改革の全体像を明確に提示しなければならないだろう。(伊東勝之)