宮城県登米市 登米市立登米病院・・・以前 アドバイザーで訪問(平成 8年 8月28日)した病院ですが 再編に 動きだされるようです・・・失われた10年とも言うべきでしょう・・しかし10年まで先送りではガイドラインに従っているとは言えず検討委員会報告の本気度が 疑われる



『宮城県登米市 登米市立登米病院・・・以前 アドバイザーで訪問(平成 8年8月28日)した病院ですが 再編に 動きだされるようです・・・失われた10年とも言うべきでしょう・・しかし10年まで先送りではガイドラインに従っているとは言えず検討委員会報告の本気度が 疑われる』(長 隆) 


登米の市立病院を再編 機能集中で赤字圧縮 検討委報告=宮城 
2007.12.30読売新聞   
  
経営悪化などから、登米市内の市立病院の再編について協議してきた市地域医療福祉体制検討委員会は、現在の5病院2診療所を2010年4月には2病院5診療所とする報告書をまとめ、布施孝尚市長に提出した。人事・財政面で自立的な病院経営ができるよう、市立病院を統括する病院事業管理者の設置も提言している。 

 市内には、佐沼病院(300床)、登米病院(98床)、米谷病院(49床)、豊里病院(99床)、よねやま病院(53床)の5病院があり、いずれも赤字経営で、06年度の累積欠損金は計約72億円に達する。医師不足による休診科目もあり、収入増は期待できない状態だ。 

 報告書によると、来年4月から登米病院を無床の診療所とする。さらに10年4月には米谷病院とよねやま病院も無床の診療所とし、佐沼病院を中核の市民病院(仮称)にして機能を集中させ、豊里病院を分院にするとしている。 

 民営化も検討されていた上沼診療所と津山診療所は、地域医療の確保が必要として、現状維持となった。 

 新体制となる10年度は、単年度赤字を今年度の18億5000万円から5億700万円に圧縮できると試算している。 

 市は、来年4月からの登米病院の診療所化について実現する方向で整備を進め、最終的な2病院5診療所については、市民の意見を聞きながら検討するとしている。 

(以下登米市内の市立病院 域医療福祉体制検討委員会 報告より抜粋) 

 4 課題の解決に向けて 
1.解決の方向性 
今後も登米市において安定的に医療を提供するためには、医師不足、経営の悪化、耐震対策の必要性の課題を解決することが必要である。そのためには、長期的展望を明らかにするとともに、その展望に基づき市立病院を再編することが必要である。 

2.長期的展望 
(1)マグネットホスピタル構想の検討 
東北大学医学部では、現在の医師不足、若い医師の研修体制、地域医療の確保という諸問題を解決しつつ、高度・先進医療を提供するために、圏域人口20万人、病床500床程度を想定した「マグネットホスピタル」の設置の必要性を提案している。 

登米圏域におけるマグネットホスピタル設置を考えた場合、市の人口は約9万人で、隣接する栗原市と合わせても人口20万人に達しない。また、両市の地形的な特質や広大な面積により、マグネットホスピタルへの患者のアクセスに課題が残る。さらに高機能の大病院を建設するためには、大崎市民病院や石巻赤十字病院との連携も重要な要因と考えられる。 

しかし、このマグネットホスピタル構想は、長期的には登米市の地域医療の充実のためには有力な構想の一つであると考えられることから、県、国の動向をも視野に入れて、今後とも近隣の医療機関等と連携して検討していく必要がある。平成19年度以降も登米市としての医療提供体制の再構築について検討するため、新たな検討委員会(地域医療体制検討委員会(仮称))で協議を継続していくことが必要である。 

(2)医療圏を超えた連携強化 
仙台医療圏に大規模病院、研究施設、医師、その他の研究者等の医療資源が集中していることもあり、登米医療圏(登米市)単独で医療課題の全てを解決することは困難となってきている。 

このため、今後は登米医療圏を超え、隣接する栗原医療圏、大崎医療圏や石巻医療圏とも連携を強化していく必要がある。その具体化を図るため、新たな検討委員会(地域医療体制検討委員会(仮称))で協議を継続していくことが必要である。 

3.短期的な対策 
本委員会では、長期的な展望を明確化するまでには至らなかった。しかし、医師不足、経営の悪化、耐震対策の必要性という課題については、直ちに取り組まなければならない側面もある。 

(1)医師確保 
平成18年12月1日現在、市立5病院は42名(歯科、口腔外科医4名を含む)の常勤医師で地域医療を提供している。医師の増員が望まれているが、現状の医師確保も困難となりつつある。 

従って、今後とも東北大学医学部や宮城県等関係機関への働きかけを継続することが必要である。 

また、平成19年度から登米市の新たな事業として、市立病院に勤務しようとする医学生等に対する奨学金制度を創設するとのことであり、長期的な効果を期待したい。 

しかし、当面は限られた人材である現在の医師を、適正に配置することによって対応せざるを得ない。 

(2)経営の改善 
委員会には経営改善策の提示を求められなかったこともあり、具体的な対策にまで踏み込んだ議論はなされなかった。しかし、医師不足に伴う診療体制の縮小のために、患者数、検査件数等が減少していることから、経営の改善の上でも、医師の確保が重要である。 

(3)市立病院の再編 
緊急的な再編の必要性 
作業部会では、医師不足により医師の過重労働が生じているとの意見が相次いだ。また、医師の高齢化もあり、医師不足が解消されなければ、現行の診療体制の維持さえ困難であるとの見解に達した。そのため、市立5病院の医師を集めて短期的にでも診療体制を維持する必要がある。 

再編の案 
作業部会の検討結果を踏まえ、事務局から登米市立病院将来構想(素案)と題して2つの再編の案が示された。これは、登米地域合併協議会による佐沼病院の中核病院化、他の4病院の機能特化と5病院間の連携強化という方向性、また、平成18年3月策定された「登米市総合計画」による「新たに適切な病床数を備えた中核病院(災害拠点病院)の建設」というこれまでの経緯を踏まえたものになっている。 

【第1案】市立5病院の統廃合による佐沼病院の拡充整備(表12) 

佐沼病院:拡充整備(南館の解体、北館の新築) 
登米病院:病床数の縮小、または診療所へ移行 
米谷病院:病床数の縮小、または診療所へ移行 
豊里病院:現状存続(福祉施設との連携強化) 
よねやま病院:現状存続(福祉施設との連携強化) 
【第2案】市立5病院の統廃合による新たな中核病院の建設(表13) 

新中核病院:新設 
佐沼病院:福祉施設または検診センターへ移行 
登米病院:病床数の縮小、または診療所へ移行 
米谷病院:病床数の縮小、または診療所へ移行 
豊里病院:現状存続(福祉施設との連携強化) 
よねやま病院:現状存続(福祉施設との連携強化) 
再編により期待される効果 
市立5病院の統廃合による再編によって、次のような効果が期待される。 

限られた人材である医師の適正配置による診療体制の維持 
過重負担となっている当直の軽減 
医薬品や医療資材の一括購入、検査の集中、設備・機器の有効活用が可能 
既存施設・設備の有効活用による新規投資の抑制 
再編のための課題 
一方、市立5病院の統廃合による再編を実現するためには、次のような課題の解決が必要である。 

今後明確にされる必要がある長期的な展望との整合性 
佐沼病院の拡充整備に必要な隣接地の用地(900平方メートル程度)の確保(※第1案の場合) 
新中核的病院建設に必要な用地(5ヘクタール程度)の確保(※第2案の場合) 
住民への説明及び理解 
再編に伴う職員の雇用 
集約化された病院への通院手段の確保(※第2案の場合) 
委員会での議論 
委員会では、作業部会の検討結果を踏まえて示された再編の案について検討を行った。再編の必要性については一致したものの、長期的な展望が明確になっていないことから、提案された2つの案から早急な結論を導くことは困難であるとの意見が相次いだ。特に、第2案の新たな中核病院の建設に対しては、医師確保の道筋が見えないこと、医師が確保できない場合には、病院経営及び登米市の財政に大きな影響を与えることから、現時点で積極的に支持することは困難であるとの意見が大勢を占めた。 

委員会としては、短期的な対策として、市立病院の再編が必要であるが、現段階においては、新しい病院の建設という第2案を支持することができないことから、消去法的な判断になるものの、第1案の佐沼病院の拡充整備が現実的な方法であると考えられた。 

なお、委員会では、第1案による再編の具体的な計画までは検討していない。今後、再編を進めるに当たっては、新たな検討委員会(地域医療体制検討委員会(仮称))で詳細に検討する必要がある。また、住民に対する説明を行い、理解を得て進めることが重要である。 

(4)耐震対策 
耐震補強工事の実施については、医師確保や今後の医療提供体制のあり方も勘案して慎重に判断する必要がある