『二次救急輪番制の崩壊を 防ぐことは出来る』(長隆)

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『二次救急輪番制の崩壊を 防ぐことは出来る』(長隆) 


初期救急(1次救急)は入院や手術を伴わない医療であり、休日夜間急患センターや在宅当番医などによって行われる。 

二次救急は、入院や手術を要する症例に対する医療であり、いくつかの病院が当番日を決めて救急医療を行う「病院群輪番制」や、共同利用型病院方式がある。 

三次救急は二次救急まででは対応できない重篤な疾患や多発外傷に対する医療であり、救命救急センターや高度救命救急センターがこれにあたる 
自治体病院の医師離れを防止するためには トリアージナースの設置や 泉大津市民病院の勇気ある取り組みに 追随されたら良いと思います(長 隆) 


(ますますの病院コンビに化の勢いに悲鳴の現場医師の声 ) 
  
 『新小児科医のつぶやき』ブログから引用させていただきました 
  
以下 「新小児科医のつぶやき」2006-05-05 


二次救急輪番制の崩壊毎日新聞の記事からです。 

小児科で言えば夜間救急体制が整備されればされるほど需要が掘り起こされる悪循環があります。乳幼児医療制度は少子化対策と相俟って、拡大傾向にあります。乳幼児医療制度の下では夜間であれ、昼間であれ自己負担はほとんど変わらない事になります。自己負担が変わらないのであれば、わざわざ昼間に仕事を休んで医療機関を受診する必要は無く、夜間の好きな時間に受診すればよいことになります。 

本来は夜間の急変への緊急対応であったはずが、いつでも受診できる病院として理解された事は結果が示しています。そのため病院によっては昼間の外来は比較的ノンビリ仕事をし、夜間の外来で地獄を見るなんて事が起こっています。いわゆる病院の24時間コンビニ化です。 

受け手の医療機関の実情はどうかといえば、旧来からの医者特有の宿直日直体制です。宿直日直勤務での外来診療は「やむをえない患者」ぐらいの解釈が本当です。これはべつに私の個人的な感想や希望ではなく、厚生労働省自ら明示して通達しています。医者はお人よしですから、もう少し広く解釈して、輪番当番日の地域の「やむをえない患者」ぐらいは引き受けます。 

しかし実態は「やむをえない患者」は少数派です。これは輪番救急をやった事のある医者なら誰でも知っています。患者にとってはやむをえず受診するというより、夜間休日も診療している病院を普通に受診する感覚です。 

医療側の体制は誠に貧弱であるにもかかわらず、患者側の需要は鰻上りになります。行政も夜間救急体制があれば自慢ですから、「おらが地域には夜間診療体制が整っている」と広報誌で謳いあげたりしますから、需要はどんどん助長されます。鰻上りの需要と貧弱な診療体制のギャップのツケは医者に大きくのしかかり、36時間連続勤務みたいなものが常態化します。 

そりゃ、どこかで限界は来ます。と言うか限界が来たのがようやく記事になったと言う事です。輪番から1軒抜ければ残りの病院にますます負担がかかります。つま先ひとつで支えていた輪番ですから後はドミノです。 

病院の24時間コンビニ化をしたいのなら、それが出来る人員と体制を整備しなければならないのは当たり前です。普通のコンビニだって、24時間営業を店員3人程度でやっているわけは無いでしょう。当然それが出来るだけの人数を確保して営業します。 

結局方針として救急需要を国がどう考えているかです。24時間コンビに化にしたいのであれば、そうする方向でやれば良いですが、当然莫大な費用が必要です。昼間より夜の方が時間は倍ぐらいありますし、年間の1/3近くが休日ですから、そこへのカバー人員も必要です。医者だけでも3倍程度を配置しないといけません。 

財政赤字のために金が出せないのなら、救急需要の抑制に励まなければなりません。どうしても必要な患者だけが受診する方策です。患者教育を必死になって訴えてますが、まずこれは労多くして功少なしの作業です。とくに小児科では保護者が理解した頃には子供が病気にならなくなります。 

これも有名な話ですが、天気の悪い日は救急受診の数は減ります。良く考えれば不思議な話で、夜間休日に救急受診が必要なほどの病気であれば、天気は本来関係ないはずです。台風みたいな外出する事自体が命懸けの悪天候ならともかく、普通に雨が降っても患者は減ります。

減った分は救急受診が不要であったと言う事です。そうなれば一番効果的な方法は安易に受診するのを控えるような制度が必要と言う事です。毎日雨を降らすわけにもいきませんから、自己負担のアップが一番効果的ということになります。時間外の診察料を思い切って上げ、なおかつ乳児医療の対象から外し、自己負担額も全額が無茶なら5割程度まで引き上げればかなり抑制になるでしょう。 

患者の24時間コンビニ病院の希望を満たしたいのならスタッフ、体制の整備に莫大な資金を投入すべしです。金を惜しむのなら、患者の不評を一身にかって自己負担額の大幅増加を行い、受診数を抑制すべしです。選択はたったの二つです。どちらかをしないと救急体制は間もなく崩壊します。 

金をかけずに患者の要求をすべて満たすの様な八方美人的な事を考えているようでは、医者は輪番病院から音もなく逃散します。すごく簡単な事なのに、どちらも厚生労働省はしたくないようですね。 



小児救急、輪番制に穴 医師不足や離脱相次ぐ=埼玉 
2007.06.21 読売新聞  
  
24時間態勢で重症の小児患者に対応する「2次救急医療」がピンチに立たされている。県内16地区の救急医療圏のうち、12地区では複数の病院が交代で患者を受け入れる「輪番制」をとっているが、小児科医の不足を理由に、輪番制から離脱する病院が相次いでいるためだ。週6日を担当外の別の病院でカバーしている地区もあり、県医療整備課は「保健所を通じて早急に輪番体制を整備したい」とする。だが、どの病院も小児科医の確保は難しく、事態は簡単に好転しそうにない。 

 同課によると、輪番制に“穴”が開いた状態となっているのは、東部第一(加須、久喜、幸手市、騎西、北川辺、大利根、宮代、白岡、菖蒲、栗橋、杉戸、鷲宮町)▽東部第二(春日部、蓮田市、さいたま市岩槻区)▽中央(鴻巣、北本、桶川、上尾市、伊奈町)▽熊谷(熊谷、行田、羽生市)▽深谷(深谷市、寄居町)▽児玉(本庄市、美里、神川、上里町)▽朝霞(朝霞、志木、和光、新座市)▽所沢(所沢、狭山、入間市)の8地区。1~2年前からの傾向という。 

 東部第二地区は春日部市立病院が週6日、丸山記念総合病院(さいたま市岩槻区)が週1日を担当していた。しかし、春日部市立病院は小児科医の退職が相次ぎ、医師が2人体制になった今年4月以降は2次救急医療の受け入れを中止した。丸山記念病院も週1日がやっとのため、本来は3次救急医療が専門の県立小児医療センター(岩槻区)で週6日、暫定的に受け入れている。 

 所沢地区では2005年度、4病院が交代で担当していたが、医師不足を理由に2病院が抜け、今年4月からは週4日、担当病院がない状態が続く。その日は、患者を搬送する救急隊などが搬送先を探している。 

 事態を重く見た所沢保健所は先月、地区内の3市や各市の医師会などと話し合い、今後の受け入れ体制を検討したが、「医師不足が根底にあり、有効な打開策は見いだせなかった」という。 

 県医療整備課の尾崎康治・担当主幹は「2次救急医療の担当病院が決まっていないと、患者が圏外の病院に運ばれることもありえ、圏外の医療体制にも影響が及びかねない。輪番で毎日担当病院が決まっている状態が望ましいが、小児科医が少なく、実際にはなかなか難しい」と話す。 

 輪番制をとらずに1病院で医療圏をカバーしている秩父、川越など4地区の担当病院では、「医師不足という話は聞いていない」(県医療整備課)という。 

 一方、小児科閉鎖の危機に直面する春日部市立病院では4月以降、母体と胎児に影響が及ぶような「ハイリスク分娩(ぶんべん)」の受け入れも中止した。生後間もない未熟児を24時間態勢で診られなくなったためで、ハイリスク分娩の患者は、さいたま市立病院(緑区)や川口市立医療センターなど、県内6か所の「周産期母子医療センター」などで診ている。