夕張医療センターの評議員・一木先生が院長している、穂別が・・ 医を創(つく)る・・と報道されました~~ヘリの活用にも触れています』長 隆

『夕張医療センターの評議員・一木先生が院長している、穂別が・・ 医を創(つく)る・・と報道されました~~ヘリの活用にも触れています』長 隆 


過疎の医療、未来図は 
2007.05.21 朝日新聞   
 医を創(つく)る 

 身近なところに信頼できる病院がほしい。どんな地域でも住民の願いは同じだ。しかし、医師不足と財政難に苦しむ過疎地では、自治体病院の再編統合は避けられない。人口の減少で患者も減っていく将来を見すえ、住民の理解を得て地域医療の青写真を描くには、どうしたらいいのだろうか。(野沢哲也、岩崎賢一) 


 ◆停滞 病院再編論はタブー 北海道枝幸町 

 午後になると待合室から人影が消えた。北海道北部、枝幸(えさし)町国保歌登病院は4月から常勤医師が1人になり、外来診療は午前中だけになった。 

 枝幸町は旧歌登(うたのぼり)町(人口約2500人)と旧枝幸町(8千人)が昨年合併してできた。東京23区並みに広い旧歌登町には歌登病院と2カ所のへき地診療所があり、病院の医師2人が交代で診療所もカバーしていた。だが医師が1人になり、診療所も一時閉鎖された。 

 一方、旧枝幸町には枝幸町国保病院があり、常勤医が4人いる。歌登病院とは車で20分ほどの距離。だが、医師を応援に出すなどの協力はない。 

 04年からの合併協議で両町は、地域医療の将来について話し合うのを避けてきた。どちらかの病院の縮小・廃止案が浮上すれば、住民の反発で合併が成立しなくなるとみたからだ。旧歌登町長の深井信朗さん(70)は「現状維持を求める住民の声を無視できなかった」と振り返る。 

 枝幸町がある宗谷地方の9市町村には、九つの公立病院に53人の常勤医がいる。その6割は市立稚内病院におり、他の各病院には1~4人しかいない。道内全体でも、自治体病院の医師数(病床あたり)は全国平均の6割。それでも、病院の再編統合は進まない。 
 

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 ◆転換 在宅医療に軸足移す 北海道旧穂別町 

 例外は道央部の旧穂別町だ。 

 同町は旧鵡川(むかわ)町と昨年合併し、「むかわ町」になった。両方の町に病院があったことから旧穂別町は、63床の町立病院を自発的に19床の診療所に縮小した。 

 旧穂別町長で現むかわ町副町長の横山宏史さん(62)らは、合意形成に5年かけた。 

 病院ができた50年当時約8700人いた町人口が半減した01年、横山さんは「さらに人口が減れば病院は維持できない」と感じた。病院の経営診断を外部に頼み、町議会や住民説明会で病院の将来を話し合った。 

 その結論は「ベッドの削減は在宅医療の充実やヘリコプターによる札幌圏などへの救急搬送で補う」というもの。多くの住民も納得した。 

 診療所になったら、それまで増やせなかった常勤医が2人から3人になった。「在宅医療に軸足を置いたら、思いのほか医師が応募してきた」と、所長の一木崇宏医師(43)は話す。


 ◆不安 住民「県立で存続を」 新潟県十日町市 

 米どころとして知られる新潟県魚沼地方。その4市3町でいま、四つの県立病院を再編する計画が進んでいる。 

 7市町の人口は約23万人で、30年後には7割ほどになると推計されている。10万人当たりの医師数は全国平均の6割ほど。救命救急センターはなく、がんや心筋梗塞(こうそく)などの患者の多くは地域外に出て入院している。 

 再編の議論は00年度に始まった。県の主導で首長と医師会、病院の代表者らが青写真を検討、それを踏まえて昨年6月に県が再編案を示した。 

 (1)高度医療や救急医療を担う基幹病院を財団形式で新設する(2)県立十日町病院は、中核病院として公設民営で建て替える(3)他の3県立病院は、「県立」としては廃止し、地元の魚沼市、南魚沼市、十日町市が効率的なあり方を検討する--という内容だった。 

 基幹病院は南魚沼市にできる予定で、近隣の魚沼市と南魚沼市はこの案を受け入れた。県立病院は市が引き継ぎ、医療と介護、福祉、保健事業を組み合わせた拠点施設につくり替える考えだ。 

 ところが、十日町市は県立松代病院の扱いをめぐり、今も態度を決められないでいる。 

 これまで市立病院をもたずにきた市には、自分たちで医師を確保しながら病院を経営していく自信がない。だが、松代病院は地区で唯一の医療機関。住民たちは現状維持を強く求め、「県立存続」を訴えている。 

 県の担当者は「近くに病院があってすぐ診てもらえる、という習慣を変えるのは難しい。だが、このままだと病院経営はじり貧だ」と再編案への理解を求める。一方、ある県立病院の院長は「地域の医療が県の再編案でどう変わるのかが、住民に理解されていない。県はきちんと説明するべきだ」と指摘している。 


 ◇住民ぐるみで考えよう(読むナビ) 

 高齢化が進むと医療需要は増えるとされるが、過疎地では近い将来に急激な人口減を迎え、患者は減り自治体財政も縮小する。医師確保も難しくなる。自治体は、病院を統合再編してヘリなどの広域搬送システムを整備したり、訪問診療を拡充したりするなど、発想の転換を迫られている。 

 一方で住民側にしてみれば、病院の存在は地域への信頼感にもつながっており、縮小や廃止は納得しづらいだろう。ただ、現状維持にこだわって財政難や医師不足に手をこまぬいていると、地域の医療水準はむしろ悪化してしまう。 

 自分たちの地域で持続可能な「身の丈にあった医療」とはどんな医療なのか。病院経営や財政について情報開示し、住民とともに考えた北海道・旧穂別町の事例はヒントになる。(岩崎) 


 町立病院から衣替えした穂別診療所。合併協議が始まる以前から将来像が話し合われていた=北海道むかわ町で