公立病院の救済策として、総務省は不良債務を償還期間7年程度の特例債に振り替えることを認め、その分を連結実質赤字比率から除外する異例の措置を発表した。

 


『公立病院の救済策として、総務省は不良債務を償還期間7年程度の特例債に振り替えることを認め、その分を連結実質赤字比率から除外する異例の措置を発表した。03~07年度の間に膨らんだ不良債務が対象で、赤平市の場合、振り替え可能額は約8億8000万円。これにより同比率を60%近くまで抑えられるが、40%を切るには「あと10億円近く必要」(同市地域対策課)。斉藤幸英事務長は「救済措置がこれで打ち止めなら財政再生団体指定は避けられない』 


自治体財政健全化法:来年度から新ルール 「第二の夕張」回避へ血眼 /北海道 
2007.12.29毎日新聞   
 ◇「救済」受けても危機--赤平/起債ゼロの荒療治--歌志内 

 新たな自治体財政の健全化ルールが08年度決算から適用されるのを前に、赤平市と歌志内市が「第二の夕張」になるまいと財政健全化に血眼になっている。しかし、市立病院が巨額の赤字を抱える赤平市は、総務省が21日に発表した公立病院債務の救済策を適用しても「財政再生団体」転落を避けられる見通しが立たない状況。歌志内市は今年度の建設事業費を06年度の10分の1に絞り込む荒療治で危機回避を図る。年の瀬、がけっぷちの両市を訪ねた。【横田愛】 

 今月19日夜、赤平市東文京町の「文京生活館」で開かれた市財政の住民説明会。「札幌に脱出できる人はいいけど、できない人も山ほどいる」。主婦の柏田恭子さん(63)は高尾弘明市長に訴えた。 

 新ルールでは、病院事業など特別会計を含む「連結実質赤字比率」が40%を超えると破綻(はたん)状態とみなされる。経営難の市立赤平総合病院を抱える同市は75・7%(06年度決算に基づく試算)とずば抜けて高い。破綻が現実に迫る。 

 経営難の背景は、医師不足と過疎の進行だ。現在、同病院の医師は10人。直近4年で8人も減り、通院間隔を開けたり転院を促し外来患者を3割減らした。入院患者の8割は65歳以上で大半が慢性期。老人保健施設に移ってもらおうにも施設が足りない。月1回、母(86)を連れて通院する柏田さんは、病院の再編・縮小への不安を訴える手紙を増田寛也総務相に送った。「声が届くか分からないけど黙っていられない」と悲壮感がにじむ。 

 年30億~40億円あった同病院の医業収益(本業の収入)は、06年度には約25億円まで落ち込んだ。平均15%の給与カットや経費節減を進めるが、不良債務(実質赤字)は約26億円に達し、金利の高い単年度返済の借金(一時借入金)で急場をしのいでいる。 

 このような公立病院の救済策として、総務省は不良債務を償還期間7年程度の特例債に振り替えることを認め、その分を連結実質赤字比率から除外する異例の措置を発表した。03~07年度の間に膨らんだ不良債務が対象で、赤平市の場合、振り替え可能額は約8億8000万円。これにより同比率を60%近くまで抑えられるが、40%を切るには「あと10億円近く必要」(同市地域対策課)。斉藤幸英事務長は「救済措置がこれで打ち止めなら財政再生団体指定は避けられない」とうめく。 

 「残された時間は少ないが、白旗は最後に上げればいい。最後の最後まで努力する」。高尾市長は自力再建をあきらめてはいない。 

  ◇  ◇  ◇ 

 赤平市の隣、歌志内市では、泉谷和美市長が天気予報とにらめっこをしていた。「除雪車が1日出動するたびに100万円近くかかる。降ってくれるな」 

 歌志内市の苦悩の原因は、新ルールの一つ「実質公債費比率」だ。財政規模に占める借金返済額の割合を示す数値で、06年度決算の同市の比率は36・7%と破綻水準(35%)を突破。長野県王滝村(42・2%)、夕張市(38・1%)に次いで高い。 

 そのため歌志内市は07、08年度の起債発行をゼロにし、08年度決算までに同比率を25・9%に下げる方針。だが、同市の市税収入は約2億8000万円しかなく、地方交付税の交付額(06年度約26億円)が減らされればこんな努力も吹き飛んでしまう綱渡りの状態。建設事業費を極端に削り込んだため、歌志内商工会議所の水上博専務理事は「建設業者は持ちこたえられない。非常に厳しい」と嘆く。 

 昭和30年代に4万人いた歌志内市の人口は、今年11月に初めて5000人を割り込んだ。当面の財政破綻を回避できたとしても、街の将来は見えない。泉谷市長は「合併が最後の選択肢」と周辺4市町との自治体合併に望みをつなぐが、財政難が交渉の足かせとなり、道のりは険しい。 



 ◇自治体財政健全化法 

 夕張市の財政破綻を受け今年6月に成立。従来は、財政規模に占める普通会計の赤字割合を示す「実質赤字比率」のみを財政再建団体の判断基準としていたが、08年度決算からは、財政再建団体に替わる「財政再生団体」の指定基準に▽公営事業会計などを含む全会計を合わせた赤字割合を示す「連結実質赤字比率」▽財政規模に占める借金返済額の割合を示す「実質公債費比率」――を加える。情報公開を徹底し、財政破綻を未然に防ぐのが目的で、財政再生団体に至る前に「早期健全化団体」に指定される水準も定めた。