シンクタンクが見る 公立病院改革ガイドライン


シンクタンクが見る 公立病院改革ガイドライン 

2007.12.3  
  
公立病院改革ガイドライン(案)をどう読むか?  
  
 三菱総研 
地域経営研究本部 主任研究員  
  
後藤卓史  
  
さる2007年11月12日に、総務省が開催している公立病院改革懇談会から「公立病院改革ガイドライン(案)」が示された。公立病院は、公定料金である診療報酬の抑制が続いていること、自治体財政が逼迫していること等で、その経営に対する説明責任が従来以上に求められている。今回のガイドラインは、今後の公立病院の方向性に関わる重要な方針である。ところで、どこにこれまでの公立病院改革案との違いがあるのだろうか。 

結論から述べると、公立病院改革プランの策定における、公立病院の再編・ネットワーク化において、「二次医療圏(*)等の単位での経営主体の統合の推進」が必要であることを、再編・ネットワークのパターン例を含めて示しているところにあると思われる。 
多くの二次医療圏では、複数の公立病院が並立し、競合している。従来から、病院間の機能分担やそれを前提にしたネットワークの必要性は議論されていたが、異なる経営主体間での機能分担は難しく、なかなか実効力のあるネットワーク化が困難であるという認識から、「経営主体の統合」が必要という踏み込み方をしたのではなかろうか。 

公立の急性期型病院の場合、これまでは、二次医療圏内での勝ち組を目指すか、ライバル公的病院との役割分担を調整するか、一部病床を急性期以外へ転換するか、という選択肢があった。ただ、同ガイドラインに示されている「経営主体の統合」推進ということになると、勝ち負けを決める前に急性期の看板を下ろさざるえない病院も出てこよう。また、同ガイドラインで例示されている公立病院に期待される役割((1)山間へき地・離島、(2)救急・小児・周産期・災害の不採算・特殊部門、(3)県立がんセンターなど民間医療機関で限界のある高度・先進医療、(4)広域的な医師派遣の拠点)から考えると、一部病床の急性期以外への転換は、公立病院しかできない医療という視点から、その是非が問われる場合も増えてこよう。 

県民・市民の視点からすると、たとえどこが経営主体であろうとも、必要な医療が供給されることこそが重要である。病床削減や診療所化という機能縮小も病院の経営改革プランには含まれてくるであろうが、診療所化、特に無床診療所への転換については、救急等の必要な医療確保の視点から、慎重な取扱が必要となろう。