京滋では4病院対象 総務省改革案 病床利用率で診療所に格下げ 舞鶴市民・亀岡市立・京丹後市立弥栄・水口市民


アクセス21 京滋では4病院対象 総務省改革案 病床利用率で診療所に格下げ 舞鶴市民・亀岡市立・京丹後市立弥栄・水口市民 

2007.11.24京都新聞   
  
総務省の有識者懇談会(座長公認会計士長 隆)が策定した公立病院の経営改革案に対し、病院を経営する自治体に波紋が広がっている。 

改革案では病床利用率が三年連続70%未満の赤字病院に、病床数削減や診療所への格下げを含めた経営縮小を求めたからだ。 

京滋で対象となるのは四病院。病床数は医師数や救急態勢に密接に関係するだけに「利用率低下は医師不足が原因。地方病院の切り捨てにつながる」と、反発する自治体も出始めている。(東京支社 竹下大輔) 

背景に地方の医師不足 

「切り捨て」反発も 

 「地方が大変なのは分かるが、このままでは自治体財政も共倒れになる。恒常的に空いたベッドは見直す」。 
有識者懇談会が経営改革案を示した今月十二日、会見した総務省幹部は言い切った。 

全国約九百七十の自治体病院のうち、経常収支は前年度決算で74%の病院が赤字となり、赤字総額も計二千二百三十億円に上る。同省は年内に指針をまとめ、各自治体に通知する見通しだ。 

 しかし、今回の案に一般・療養病床の利用率「70%」という数値目標を掲げたことに地方から困惑の声が上がっている。 

 二〇〇六年度の時点で、見直し対象となる病院は全国百四十六あり、京滋では▽舞鶴市民病院▽亀岡市立病院▽京丹後市立弥栄病院▽水口市民病院(甲賀市)の四病院。 

また、現時点で対象に含まれないものの▽精華町国保病院▽京都市立京北病院▽県立小児保健医療センター(守山市)▽守山市民病院▽蒲生病院(東近江市)の五病院は二年連続で利用率70%を割り込む。病床数の削減は医師数減や診療科廃止につながる恐れがあり、十九床以下の診療所に変わると事実上、救急受け入れができなくなる。 

 経営縮小を求められる病院からは「医師不足で患者を断っているのが現状。地域ニーズは高い」(弥栄病院)、「自治体病院は小児科などもうけの少ない診療科を地域で担っている。数字だけで判断する『霞が関』の机上の空論だ」(水口市民病院)などと反発する。 

 改革案では医師不足の病院に対し、近接病院との「再編化」という解決策も同時に示した。山形県では二〇〇〇年十一月、二市二町と県が総合病院を新設、既存の四病院・診療所を縮小した。 

病床総数は約二割減り、既存病院はすべて救急指定から外れたが、医師は五十七人から八十四人に増え、利用率も70%から93%に上昇。同県は「既存病院の医師の負担が大きく、医療体制の維持が困難だった」と話す。全国的にも病院の統廃合などの検討が進んでいる。 

 ただ、再編化に対しても「縮小して救急指定から外れれば、地域住民は必ず反対する。難しさは学校の統廃合の比ではない」(京北病院)など慎重な見方も多い。 

 もともと病床数削減は、地域医療とは無関係の財政再建を目指す政府の経済財政諮問会議で取り上げられたのがきっかけだ。自治体に一病床当たり約五十万円の地方交付税が入り、空きベッドにも同額算定されている現状に批判が上がり、六月に閣議決定された「骨太の方針2007」に経営改革の必要性が明記された。 

 総務省は「利用率が80%ないと黒字経営にならないが、自治体病院の役割を考慮して70%に下げている。全国から異論は寄せられているが、医師がいないからといって利用率の低い病棟を放置できない。病院再編への財政支援で対応したい」(地域企業経営企画室)としている。 

【京滋の自治体病院の病床利用率と経営状態】
 

病床  病床利用率(%) 損益額
府立与謝の海病院(与謝野町) 一般 93.3 ▲5億1400万円
京都市立病院一般  83.1 ▲1900万円
京都市立京北病院      一般  62.4 ▲1億2500万円
京都市立京北病院  療養 83.4  
福知山市民病院       一般    80.0 ▲20億6200万円
新大江病院(福知山市)    一般   85.5  1800万円
新大江病院(福知山市)療養    85.5  
舞鶴市民病院        一般    1.7 0円
舞鶴市民病院 療養    15.8  
綾部市立病院        一般   89.8  9900万円
亀岡市立病院        一般    64.2  ▲1億2500万円
京丹後市立弥栄病院     一般    48.1 ▲4億7300万円
京丹後市立弥栄病院 療養    82.9  
京丹後市立久美浜病院    一般    85.5 ▲2億1000万円
京丹後市立久美浜病院療養    79.1  
精華町国保病院       一般    45.5  600万円
国保瑞穂病院(京丹波町)   一般   75.8  ▲7300万円
国保瑞穂病院(京丹波町)療養    87.7  
公立南丹病院        一般    83.8  ▲1億8600万円
公立山城病院(木津川市)   一般   75.6  ▲2億2400万円
県立成人病センター(守山市) 一般   82.6 ▲8億8700万円
県立小児保健医療センター(守山市) 一般      64.8 1億2900万円
大津市民病院        一般      78.6 ▲5800万円
彦根市立病院        一般    89.9 ▲25億2600万円
市立長浜病院        一般    84.7 ▲2億3200万円
市立長浜病院療養    89.7  
近江八幡市立総合医療センター 一般   73.1 ▲3億700万円
守山市民病院        一般    56.1 ▲2億2900万円
守山市民病院療養    73.4  
水口市民病院(甲賀市)    一般   29.9 ▲2900万円 
水口市民病院(甲賀市)療養    80.4  
信楽中央病院(甲賀市)    一般   67.4  ▲600万円
公立甲賀病院        一般    77.2  8200万円
公立甲賀病院療養     90  
公立高島総合病院      一般    66.6 ▲2億5100万円
蒲生病院(東近江市)     一般   58.6 ▲7200万円
能登川病院(東近江市)    一般   70.2  ▲1億3700万円
湖北総合病院(木之本町)   一般    70.7 ▲1億1700万円
湖北総合病院(木之本町)療養     83  

損益額は2006年度決算で、10万円以下切り捨て。▲は赤字。一般、療養病床のない病院は除いた。福知山市民と彦根市立は、旧病棟解体に伴う経費を特別損失に計上したため高額になった。