公立病院改革:利用3年連続7割未満で病床減や診療所化も 懇談会、効率化へ指針


公立病院改革:利用3年連続7割未満で病床減や診療所化も 懇談会、効率化へ指針 

2007.11.13毎日新聞   
 ◇総務省懇談会 

 総務省の「公立病院改革懇談会」(座長=長隆(おさたかし)・公認会計士)は12日、自治体が08年度中に作成する公立病院改革のガイドラインをまとめた。一般・療養病床利用率が3年連続して70%未満の病院は、病床数の削減や診療所へ転換することなどを提言。公立病院を核とした地域医療の統合・再編や、経営感覚にすぐれた人材の外部からの登用など抜本的な見直し策も盛り込んだ。(5面に関連記事) 

 ガイドラインでは、各病院が3年以内に経営効率化を進め、一般会計からの補てんも含めて黒字に転換するよう求めた。赤十字病院など公的医療機関との統合・再編や独立行政法人化など経営形態の見直しを行う場合は、5年以内の実現をめどにプランを作るよう求めている。 

 改革プランは、経常収支比率や病床利用率などの指標を用い、一般会計からの繰り入れ支援後、経常黒字を達成できる数値目標の設定を求めた。特に病床利用率が3年連続して70%未満の病院は、診療所(20床未満)などへ転換することを明記した。 

 ただ、06年度までの3年間連続して70%未満の公立病院の数は、全病院の15%に当たる146病院に達しており、実現できるか疑問視されている。 

 不採算病院の病床数を減らす一方で、基幹病院を医師派遣の拠点病院に整備したり、大学病院などとの連携を進める再編・ネットワーク化についても、モデルケースを例示して提言した。プランは年1回以上は点検・公表し、2年たっても数値目標の達成が困難な場合は、プランの全面改定を求めている。 

 この提言を受け総務省は、年末までに地方交付税などの財政支援策を盛り込んだ省としてのガイドラインを策定して自治体に通知する。これに基づいて自治体が改革プランを作成する。【七井辰男 
  
(関連) 



公立病院改革:医師不足、解決策見えず 経営安定化、具体的提言なく 
2007.11.13毎日新聞   
  
総務省の公立病院改革懇談会が12日まとめた公立病院改革のガイドラインは、公立病院を経営する地方自治体に、経営効率化に向けた改革プラン策定と具体的な数値目標の設定を求めた。深刻化する経営の悪化に歯止めをかけるのが狙いだが、自治体の財政悪化や医療費の抑制、医師不足など医療を取り巻く現状は厳しく、改革の道のりは険しい。

 県や市町村の地方公営企業が経営する全国の自治体病院は669事業973病院。そのうち赤字を計上している事業数(公営企業数)の割合は04年度66・2%、05年度68・7%、06年度78・9%と悪化の一途をたどり、病床数を減らしたり、廃院に追い込まれる病院が相次いでいる。 

 経営が悪化した理由について樋口紘・岩手県立中央病院名誉院長は「責任感の薄い経営責任者が赤字を先送りするうえに職員にも経営感覚が欠如している。病院の統廃合に地域住民や議員が強く反対する」と分析する。その一方で今回のガイドラインについては「ほとんどが財政収支面からのアプローチで、医師の地域偏在や地域医療確保の解決策が見えてこない」と批判した。 

 自治体からの一般会計繰入金や医療費が抑制されるなか、高齢化で患者数は増加する一方だ。加えて医師や職員も高齢化しており、給与費が経営を圧迫している。病院経営者の間では、本当に必要な若手医師が、給与の割に激務である公立病院の現状を敬遠し、医師不足と仕事量の増加に拍車がかかっていると不満が募っている。 

 過疎地での医療提供や救急・産婦人科など、公立病院が担うべき役割は依然大きい。ガイドラインは、その役割を明確にした上で経営の効率化基準を設けたが、経営の安定に向けた具体的な提言には至っていない。 

 隠岐広域連合立隠岐病院の武田博士院長は「隠岐病院はまだ年1億円ほどの赤字があるが、医師の専門領域を取り払うなど多種多様な医療が提供できるよう一丸となって改革を進めている。病院も自助努力が必要だ」と語る。しかしガイドラインが打ち出した外部からの人材登用などは「現実に確保は困難。絵に描いた餅になりかねない」との指摘もあり、実効性があるプランを地域ぐるみでどう策定していくかが問われている。【七井辰男】 

 ◇首長ら徹底協議を--自治体病院の経営健全化の調査や情報提供を行う全国自治体病院協議会の小山田恵会長の話 

 自治体の首長や開設者は、まずは病院管理者と徹底した協議を行い、住民に医療提供上の責任を果たせるプランを作成する必要がある。全職員が一丸となって地域医療を守り抜くという不退転の決意で臨んでほしい。プラン策定にあたっては、財政上の都合で一般会計からの繰り入れルールを度外視した削減が行われたり、経営努力の結果が不当に侵食されることのないよう配慮してほしい