東海市の官民病院統合 病床数『市民』は維持 枠組み固まる 『中央』は半減



東海市の官民病院統合 病床数『市民』は維持 枠組み固まる 『中央』は半減 
2007.11.08中日新聞   
  
【愛知県】来年四月に実施される見通しの東海市民病院(百九十九床)と市内の東海産業医療団中央病院(三百五床)の統合の枠組みが七日、固まった。医師不足の解決を目指した全国初の公立と民間の病院統合は、経営を市に一本化して病床を全体で三百五十三床に減らす形になる。(西尾述志)=<3>面参照 

 新日鉄など二十五社出資の医療団、市、医師を派遣する名古屋大、県市医師会が参加する協議会が統合案をまとめた報告書によると、市民病院は病床数を維持し、両病院の常勤医の大半を集めて救急と急性期の医療体制を充実させる。中央病院は病床を半分に減らし、市民病院の分院などと位置づけた上で予防健診、回復期、慢性期を受け持つ。小児科など一部の診療科は廃止する。 

 報告書を受け取った鈴木淳雄市長と医療団理事長の勝山憲夫新日鉄名古屋製鉄所長は、ともに報告書を尊重して実現を図る意向を表明した。協議会参与の国立長寿医療センターの大島伸一総長は「日本の医療制度は限界に来ている。手遅れになる随分前に官民一体で行動に移したことに敬意を払いたい」と語った。 

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 実現へ向け課題山積 

 異なる待遇 医師確保は 

 経営改革 独立採算導入を 

 土地建物 有償なら財政左右 

 深刻化する医師不足と病院の経営不振で地域医療が崩壊するのを防ごうと、官民の枠を超えた今回の統合。実現に向けた課題を展望した。 

 医師不足に端を発する統合だけに、何よりも予定通り医師を確保できるかが最大のポイント。 

 現在の両病院の常勤医は各十八人。定年退職と大学が引き揚げ予定の二人を除く計三十四人が統合当初の体制となる。中央病院の医師はいったん退職し、市で雇用する手続きを踏む。民間と公立で給与など待遇が異なり、市側の条件提示に医師が納得するかどうか。 

 統合案は来年七月に三人増の三十七人、再来年度でさらに三人増の四十人になる絵を描くが、医師不足の中でトントン拍子に増やせるのか疑問の声も。統合協議に医師派遣元の名大が参加したという事実が頼みの綱だ。 

 全国の八割弱が赤字の公立病院をめぐっては国が経営改革を迫っており、統合後、対応を急ぐ必要がある。 

 総務省の公立病院改革の指針案は、自治体が来年度中に病院の改革プランをつくり、三年で黒字化を図り、五年をめどに民間的な手法を視野に入れて独立採算が取れるような経営形態に見直すよう求めている。東海市は「今回は時間が足りない」(企画部)ため、独立採算制の度合いが低い地方公営企業法の一部適用という形を続ける方針。 

 同法の全部適用では、病院の事業管理者が人事権を得る一方で市から赤字補てんを受けられない。全部適用などを導入するかは今後、検討していくという。 

 中央病院の土地や建物、医療機器、備品類の引き継ぎも課題。資産価格は相当な額に上るとみられる。市は購入する予定はなく、借用を想定しているが、借用が有償か無償かで病院経営は大きく左右され、不確定要素となっている。(西尾述志)