早くも動き出した公立病院改革 国,初の公立と民間の病院統合を高く評価する・・・

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『早くも動き出した公立病院改革 国,初の公立と民間の病院統合 
を 高く評価する・・・』 


東海市の官民病院統合 病床数『市民』は維持 枠組み固まる中日新聞  
2007.11.08
   

長 隆(osa takashi)が、研修会講師として参加させていただきます。

日 時 平成20年1月25日(金) 午後1時30分から午後3時まで
会 場 東海市商工センター 多目的ホール(1階)
演 題 「地域医療のあり方と公立病院の改革」
受講者 市職員、市議会議員、商工会議所会員、まちづくり市民委員会委員、大田まちづくり研究会会員などまちづくり関係者 130名程度


報道記事1 

【愛知県】来年四月に実施される見通しの東海市民病院(百九十九床)と市内の東海産業医療団中央病院(三百五床)の統合の枠組みが七日、固まった。医師不足の解決を目指した全国初の公立と民間の病院統合は、経営を市に一本化して病床を全体で三百五十三床に減らす形になる。(西尾述志)=<3>面参照 

 新日鉄など二十五社出資の医療団、市、医師を派遣する名古屋大、県市医師会が参加する協議会が統合案をまとめた報告書によると、市民病院は病床数を維持し、両病院の常勤医の大半を集めて救急と急性期の医療体制を充実させる。中央病院は病床を半分に減らし、市民病院の分院などと位置づけた上で予防健診、回復期、慢性期を受け持つ。小児科など一部の診療科は廃止する。 

 報告書を受け取った鈴木淳雄市長と医療団理事長の勝山憲夫新日鉄名古屋製鉄所長は、ともに報告書を尊重して実現を図る意向を表明した。協議会参与の国立長寿医療センターの大島伸一総長は「日本の医療制度は限界に来ている。手遅れになる随分前に官民一体で行動に移したことに敬意を払いたい」と語った。 

      

 実現へ向け課題山積 

 異なる待遇 医師確保は 

 経営改革 独立採算導入を 

 土地建物 有償なら財政左右 

 深刻化する医師不足と病院の経営不振で地域医療が崩壊するのを防ごうと、官民の枠を超えた今回の統合。実現に向けた課題を展望した。 

 医師不足に端を発する統合だけに、何よりも予定通り医師を確保できるかが最大のポイント。 

 現在の両病院の常勤医は各十八人。定年退職と大学が引き揚げ予定の二人を除く計三十四人が統合当初の体制となる。中央病院の医師はいったん退職し、市で雇用する手続きを踏む。民間と公立で給与など待遇が異なり、市側の条件提示に医師が納得するかどうか。 

 統合案は来年七月に三人増の三十七人、再来年度でさらに三人増の四十人になる絵を描くが、医師不足の中でトントン拍子に増やせるのか疑問の声も。統合協議に医師派遣元の名大が参加したという事実が頼みの綱だ。 

 全国の八割弱が赤字の公立病院をめぐっては国が経営改革を迫っており、統合後、対応を急ぐ必要がある。 

 総務省の公立病院改革の指針案は、自治体が来年度中に病院の改革プランをつくり、三年で黒字化を図り、五年をめどに民間的な手法を視野に入れて独立採算が取れるような経営形態に見直すよう求めている。東海市は「今回は時間が足りない」(企画部)ため、独立採算制の度合いが低い地方公営企業法の一部適用という形を続ける方針。 

 同法の全部適用では、病院の事業管理者が人事権を得る一方で市から赤字補てんを受けられない。全部適用などを導入するかは今後、検討していくという。 

 中央病院の土地や建物、医療機器、備品類の引き継ぎも課題。資産価格は相当な額に上るとみられる。市は購入する予定はなく、借用を想定しているが、借用が有償か無償かで病院経営は大きく左右され、不確定要素となっている。(西尾述志) 



報道記事2 

愛知の東海市病院再編・統合構想:公・民統合、広がれ新モデル--来年4月めど 
2007.11.08
毎日新聞   
  
東海市民病院と産業医療団中央病院--経営難、医師不足...体制維持を優先 

 愛知県東海市は7日、市が運営する市民病院(14科、199床)と企業出資の東海産業医療団中央病院(12科、305床)が、08年4月をめどに統合すると発表した。医師が不足し単独での運営が難しくなったためで、双方とも地域の医療体制を維持するには統合が不可欠と判断した。公立と民間病院の統合は極めて異例。 

 両病院は派遣を受けていた大学の医師引き揚げや勤務医の開業で常勤医が減り、一部診療科の休診や入院受け付けの中止を余儀なくされている。経営も赤字体質となり存続が危ぶまれる事態となったため、東海市と医療団が7月、県・市医師会や医師を派遣する名古屋大などと病院連携等協議会を設置し、対応を協議してきた。 

 統合案によると、経営は市に一本化し、内科と外科の常勤医を市民病院に集約、2次救急医療の体制確保・充実を図る。中央病院は市民病院の分院または第2市民病院と位置づけ、予防・健診機能と回復期・慢性期機能を担うとしている。ベッド数は市民病院は現状のまま、中央病院は154床に半減させる。 

 市民病院は06年度決算で約2億9000万円の赤字を出し、中央病院も05年度から赤字が続いている。市によると、統合後は08年度は約2億6000万円の赤字が見込まれるが、09年度に病床利用率を96%(現在約70%)に高めることで、医業収支を2800万円の黒字に転換できるとしている。 

 統合について病院連携等協議会参与の大島伸一・国立長寿医療センター総長は「地域医療が全国で崩壊する中、東海市は手遅れになる前に官と民、学を交えて協議を始め、いい結論を出した。新たな(病院経営の)モデルになってくれることを期待したい」と話している。【林幹洋、】 

  
報道記事3 

核心 東海市 全国初 官民病院統合へ 共倒れ防ぐ"応急処置" 医師不足 まず解消 専門家 黒字化には懐疑的 
2007.11.08
 朝刊 3頁 3面 (1,633)  
 愛知県東海市で、市民病院と市内にある新日鉄など企業が出資する東海産業医療団中央病院が、経営を市に一本化し、統合する見通しになった。公立と民間の病院統合は全国初の試み。医師不足と病院の経営不振を受けた新しい再編のモデルケースとして注目される。公が民を吸収する「公営化」に至った背景を探った。(東海通信局・西尾述志) 


 「愛する中央病院のために一番良い結論をお導きください」 

 九月下旬、統合に向けた協議の席上、新日鉄など二十五社出資の医療法人「東海産業医療団」が経営する中央病院(三百五床)の幹部が一通の手紙を読み上げた。差出人は長年通院してきた七十五歳の女性。家族そろっての感謝と病院存続への願いがつづられていた。 

 市民病院(百九十九床)とともに地域医療を担ってきた自負と、病院経営から撤退した時に市民が受ける影響を市側に示唆する演出ともいえた。 

 「赤字の拡大は、出資する二十五社の株主に認められにくい」 

 市民病院への一本化を想定する医療団側は、企業が出資する病院として存続が限界にきている事情を説明した。 

 
物言う株主 

 医療団の経営は二〇〇二年度、診療報酬のマイナス改定で初めて赤字に転落。その後いったん黒字に戻したが、今度は医師不足が新たな経営悪化の要因に。整形外科、産婦人科、消化器内科などで入院ができなくなり、患者数が激減。〇五年度に再び赤字となり、〇六年度は再度のマイナス改定も加わって赤字額が膨らんだ。 

 「グローバル化で今どきの株主は経営を監視し、権利を求める。本業でない病院で赤字が膨らみ、不合理と判断されれば、訴訟になりかねない」。医療団理事で新日鉄名古屋製鉄所の高橋秀治総務部長(49)は"物言う株主"への懸念を示す。 

 経営改善への展望が開けなければ、二十五社は出資金の放棄に加え、追加出資を余儀なくされる。医師不足の現状から、その可能性は高い。 

 
増える激務 

 医師不足は市民病院でも共通の課題だ。耳鼻咽喉(いんこう)科と呼吸器科が入院をやめ、産婦人科は正常分娩(ぶんべん)に絞った。一人当たりの当直回数も増えた。 

 中央病院が一部の診療科で救急患者の受け入れを制限した影響もあり、時間外の患者数は昨年度までの二年間で25%増え、ほとんど寝ずに対応する医師の過重労働が問題化してきた。中央病院が閉鎖すれば、救急の負担は一層増す。医者離れが加速し、こちらも閉鎖に追い込まれる「ドミノ現象」が起きかねない。 

 ただ、統合によって医師不足に歯止めをかけたとしても、昨年度も約二億九千万円の赤字を出している市民病院の経営改善は課題として残る。 

 市は統合によるスリム化と機能再編で、二年目に病床利用率96%とし二千八百万円の黒字になるとの試算を示すが、医療経営に詳しい星城大の北野達也准教授(44)は「病態が変化する患者相手にあり得ない数字」と懐疑的だ。 

 
再編モデル 

 統合後の市民病院は、収支のマイナスを最小限に押さえ、地域の医療サービスを確保することが差し迫った課題になる。 

 協議に参加する国立長寿医療センターの大島伸一総長(62)は「経営感覚ゼロは良くない。経営にたけた人の意見を反映させるべきだ」と注文を付けながらも「地域から両病院がなくなり、助かる命が助からない状況になるのは危ない」と指摘。北野准教授も「市民の健康のため多少の赤字運営は否めない面もある」との見方も示し「限られた財源でいかに質の高い医療を提供するか『やりくり』が大事」と助言する。 


(メモ) 
  公立病院の統合事例  岩手県の県立釜石病院と釜石市民病院は県立に集約する形で今年4月に統合した。山形県立日本海病院と酒田市立酒田病院は、来年4月に設置される一般地方独立行政法人が両者を統合した新病院を運営する。静岡県の掛川市立総合病院と袋井市民病院の統合を目指す両市は11月に協議会事務局を設置し、来年度末までに時期や建設場所など方向性を決める。三重県桑名市は市民病院と民間の統合を目指し、統合相手候補の財務状況などを調査している。 


報道記事4 

東海市病院再編・統合構想:市長「できるだけ早く」 /愛知 
2007.11.08
毎日新聞   
 
経営一本化、両院で機能分担 
 東海市の病院連携等協議会が7日、市民病院と東海産業医療団中央病院の統合を、鈴木淳雄市長と勝山憲夫理事長に報告したのは、医師不足と赤字体質に悩む両病院が、地域医療の充実を守るための措置だ。08年4月統合を目指し、具体的な協議を始めるが、鈴木市長は「課題はあるができるだけ早く進めたい」と語った。 

 報告書によると、「地域住民と医師にとって、魅力的かつ永続性のある中核的病院の構築」を基本理念とし、経営を市に一本化し、それぞれの病院で機能分担する。 

 ベッド数は市民病院が現状の199床を維持、中央病院は一般60床、回復期リハビリテーション39床、療養病棟55床の合わせて計154床(151床削減)。診療科は市民病院は14科を維持、中央病院は小児科、麻酔科を廃止10科にし、歯科口腔(こうくう)外科は継続する。 

 常勤医師数は小児科の充実などで、市民病院に28人、中央病院は12人を予定。他に非常勤医師や研修医を受け入れる。ハード面だけでなく、医師や看護師などのため院内保育所の設置や、大学や周辺医療機関との連携で、学会出席などの支援環境を整備するなど、ソフト面も充実させる。中央病院の看護学校は来年度の募集を停止、3年後に閉鎖する。 

 統合に伴い、現在入院中の患者の問題、市民への周知、施設の使用形態、組織・人員の体制など、具体的な問題の処理が必要だ。市では市議会の理解を求めながら、実現に向けて早急に作業を進めることにしている。産業医療団も25社の出資会社の了解を取る。 

 鈴木市長は「報告書を尊重する。課題が出てくると思うが、市民や議員のみなさんの理解を得てできるだけ早く統合を進めたい」と語った。勝山理事長も「早期実現めざし努力したい」と話した。【林幹洋】