「公務員の身分」で平行線 氷見市民病院民営化 労使交渉の行方が焦点 市、分限免職も視野に












「公務員の身分」で平行線 氷見市民病院民営化 労使交渉の行方が焦点 市、分限免職も視野に 

2007.11.03富山新聞   

  

金沢医科大(内灘町)が来年四月の公設民営化を目指す氷見市民病院の指定管理者に内定し、氷見市と市職員労組との労使交渉の行方が焦点になっている。公設民営化で看護師、薬剤師ら約三百人の職員が公務員の身分を失うため、市は金沢医科大が再雇用する案を示しているが、組合側は公務員のままでの勤務を求めている。交渉が決裂すれば、病院開設にも影響が出るだけに、市は分限免職も辞さない構えである。 



 市側は今月中にも、臨時市議会に金沢医科大を指定管理者とする議案を提出。議決を受けた後、職員説明会や個別の相談窓口を開設する計画である。 



 ただ、市職員労組側は態度を硬化させている。同労組に加入する看護師、薬剤師など病院職員二百三十二人の九割以上が自治労県本部に委任状を提出した。先月二十九日、自治労県本部の石黒博委員長が市役所を訪れ、職員の身分、雇用、労働条件の交渉は組合側が一括して窓口となることを告げ、病院職員と個別交渉しないよう中田清信副市長に申し入れた。石黒委員長は、病院職員の公務員の身分の保証を要求したが、中田副市長は「公務員の身分は切り替えてもらいたい」と突っぱねた。 



 市側は、病院職員が退職して、金沢医科大に再雇用してもらい、学校法人の職員となることを考えている。この場合、市が支払う退職金は最も支給額の高い整理退職扱いとなり、約三十三億円が必要となる。 



 一方、組合側は現職員が退職するまで、公務員の身分を保証することを求めている。このケースでは、市から新病院に市職員を派遣するという勤務形態になり、病院内で二種類の給与体系の職員を抱えることになる。 



 組合側との交渉がまとまらない場合、市では分限免職での対応を視野に入れている。民間企業の「解雇」に相当し、県市町村支援課では「県内の自治体では分限免職の例はなく、配置転換で対応している。二百人規模になると全国的にも聞いたことがない」としている。分限免職には、自治労県本部側は「法的対応も辞さない」とする。 



 両者の主張は平行線のままで、市幹部は「自治労は組織防衛が目的だ」と批判し、市職員労組は「市は市民病院で努力してきた職員を蚊帳の外に置いて、公設民営化を進めている」と反発する。市総務部では市職員労組と非公式で協議を続けており、ある市議は「三月までに合意できなければ、市長の進退問題が浮上してくる」と指摘する。とはいえ、市幹部の一人は「市長がいったん辞職しても、病院建て直しを訴えて立候補すれば、必ず再選される」と再考する余地がないことを強調する。 



 堂故市長は「交渉決裂は両者にとっても不幸だ。病院職員は市の財産であり、医療のプロでもある。病院を守るために理解が得られると思っている」と打開策を模索している。