東北大経済学部長で医師の日野秀逸(ひの・しゅういつ)教授(医療政策論)は「若手医師が勤務先を決める際に重視するのは、金でなく医師としての知識や技能を学ぶ環境」と指摘。


『東北大経済学部長で医師の日野秀逸(ひの・しゅういつ)教授(医療政策論)は「若手医師が勤務先を決める際に重視するのは、金でなく医師としての知識や技能を学ぶ環境」と指摘。「奨学金の額を引き上げても大きな成果は期待できない。"二年勤務したら研修期間を半年設ける"などの工夫を検討するべきだ」と話している。』 




医学生に“破格”奨学金 秩父市、効果に疑問の声も 
2007.11.02 共同通信 (全866字)  
 救急医の不足に悩む埼玉県秩父市が、医学生・研修医向けに、計八年間で一人当たり最大四千六百万円を支給する奨学金制度を設立した。 
 自治体の医学生奨学金制度は各地にあるが、月数万-二十万円程度で、秩父市は金額、期間ともに破格。しかし、奨学金を受け取った二倍の期間、市の病院勤務を義務付けるなど条件が厳しい。学生は都市部での研修を望む傾向が強く、奨学金の効果を疑問視する声も出ている。
 秩父市議会は九月下旬、全会一致で奨学金制度を可決、年度内に奨学生を募集する。市によると最大の目的は秩父市立病院の救急担当医の確保。病院には現在十八人の医師がいるが、周辺の町立、民間病院の救急をカバーすることがあるため、あと四人は必要という。 
 奨学金は、市内に保護者が住む学生が対象で入学時に一千万円以内、大学生は月額四十万円以内、研修医は月額三十万円以内で、条件を満たせば返還する必要はない。 
 栗原稔(くりはら・みのる)市長は「秩父市の財政は厳しいが公立病院には住民の命を守る責務がある」と強調する。 
 しかし医療関係者には「お金だけで学生を呼ぶのは難しい」として、奨学金は特効薬にはならないという見方も。ネックとなっているのは二〇〇四年に始まった新しい臨床研修制度だ。
 新制度では、病院側が勤務条件や医療設備を公開し、研修医は出身大学にとらわれず、臨床研修先を選ぶことができる。日本医師会などによると、患者の症例が多く、勤務の待遇もいい都市部に希望が集中。研修終了後も、そのまま都市部で働き続ける傾向があるという。 
 医療技術の発展は急速で、医療関係者からは研修医の都市集中を防ぐため「地方に勤務しても先端医療を学べる場を設ける工夫が必要だ」との意見が出ている。 
 東北大経済学部長で医師の日野秀逸(ひの・しゅういつ)教授(医療政策論)は「若手医師が勤務先を決める際に重視するのは、金でなく医師としての知識や技能を学ぶ環境」と指摘。「奨学金の額を引き上げても大きな成果は期待できない。『二年勤務したら研修期間を半年設ける』などの工夫を検討するべきだ」と話している。