巻頭言・・・全国自治体病院協議会会長 小山田慧

TOP

『新刊書籍の紹介~全国自治体病院協議会会長の巻頭言』
「苦悩する自治体病院・・・再編への歩みを探る」 
著者:杉元 順子 
医療経営財務協会 編 
発行:中央経済社 
2007年 6月末刊行予定 
内容詳細は 東日本税理士法人 ホームページ 書籍案内


(巻頭言・・・全国自治体病院協議会会長 小山田慧) 

今全国の自治体病院は激動の嵐の真っ只中にあって存立か廃止かをかけた苦闘が続いている。 

嵐の震源は医師不足と経営破綻。 

医師の供給源であった大学の無力化と勤務医の過酷な労働からの逃避によって地域から勤務医が去って 多くの自治体病院が機能不全に陥っている。 

一方 経営では民間的経営手法が取り入れにくい親方日の丸的感覚と官僚的組織の欠陥から経営破綻する病院も多い。 

このような病院は必然と運営を民間に委託する公設民営。  
受け手がない地域では病院の廃止に追い込まれる。 
これを回避する方策として診療科の縮小化・近隣の自治体病院との統合、再編とネットワークの構築があるが、これがなかなか進展していない。 

総論は賛成だが自治体の首長間の壁、大学、病院それに地域住民のエゴが絡み合ってどこでも各論反対。

事態が進まず、その間にも医師不足が加速化していくというのが実情。 

こうした中で 病院が改革に取り組めないまま座視している例、改革途中で頓挫、自滅した例、そして辛抱強く長期間かけて再編統合や病院の再生に成功した病院などさまざまであるが、本書にはこうした自治体病院13病院の苦悩の実態と取り組みの過程が生々しく記述されている。 

これを読むと病院も生き物、人生そのものであることに思い当たる。 
そしてどんな論説、解説よりも生々しいドラマの中に明日のわが身、病院の行き方を見ることが出来る。 

自治体病院関係者必見の書であるとともに激動の時代に苦悩した自治体病院の記録として 日本の医療史に残る良著であると思う。