伊藤恒敏(北海大医学部教授)のマグネットホスピタル・・若い医師のための教育・・労働環境が整備され診療科が網羅できる500床規模の病院が必要というご意見は至極もっともです

『伊藤恒敏(東北大医学部教授)のマグネットホスピタル・・若い医師のための教育・労働環境が整備され、診療科が網羅できる500床規模の病院が必要というご意見は、至極もっともです。地方分権の大合唱の中で 公立病院改革は 財政健全化法の早期健全化措置を国民にわかり易い数値目標で示す事によって国の責任を果たす事になります。 
山形県立日本海病院のマグネットホスピタル化 実現のためには 国会で問題にし さらに2年近くを要した事でお分かりのように 抵抗勢力を排除するのは医師不足で破綻まで行かなければ進みそうもありません。 
しかし 財政健全化法の来年度からの施行で 公立病院は選択と集中をしない限り 多くの自治体が 夕張化必至であることに 気がつき早晩動き始めざるを得ない事になるでしょう。』  


持論時論<伊藤恒敏(東北大医学部教授)=58歳・仙台市> 
地域医療と行政の責任/市町村の枠超え対策を 
2007.10.18 河北新報 

地域医療と行政の責任/市町村の枠超え対策を地域医療は混迷を深め、住民の医療へのアクセスすら脅かされている。原因は全国的に深刻な医師不足と厚生労働省のビジョンなき医療費抑制政策にある。診療報酬や病床数、医学部定員など医療政策の枠組みは国に決められ、県・市町村に裁量はほとんどない。にもかかわらず、医師不足や瀕死(ひんし)の自治体病院経営といった問題に格段の力を発揮するよう求められている。 
 わたしたちは2005年から栗原、仙南、登米、石巻という宮城県内4地域の2次医療圏で地域医療体制の検討会に参加し、どう現実を把握し、改善のために何をなすべきか議論してきた。 
 どの医療圏も深刻な医師不足や、一貫性のない国の政策に悩まされている。国の政策変更がない限り、地方では解決できないことが多い。検討会では首長や行政当局から、すぐ実行可能で有効な具体的提案を求められた。アイデアがあれば実行されていたはずだ。地域医療を救う妙案がないのは、為政者にとって都合のよい政策などない、ということだ。 
 いかに地方に医師を集め、適切な医療提供体制を構築していくか。わたしたちは検討会に、以下のような提案をした。 
(1)医療圏は人口20万を単位に再編すべきだ。20万を大きく下回る医療圏では医療体制構築とその存続は困難 
(2)地方に医師を集めるには中核的病院に明確なインセンティブ(動機付け)が必要。若い医師のための教育・労働環境が整備され、診療科が網羅できる500床規模の病院(マグネットホスピタル)が望ましい 
(3)広域的・効率的な病院、医師の配置を戦略的・地理的に考え、遠距離になる住民のためには患者搬送手段(救急車やドクターカーの配置)を講じる-。 
 大きな責任は国にあり、地方だけで対策を考えるのは容易ではない。それでも実行可能なことを提案した。 
中核的病院は夜間の救急患者の対応に疲弊している。栗原医療圏では勤務医が過重な労働に倒れるのを防ぐため、開業医に夜間救急の応援を頼む体制も提案した。 
 ところが首長・行政担当者は医療圏の再編に興味を示さず、事態改善に動く気配もない。 
県も対策を取ろうとしない。 
栗原では公開が原則の議事録が1年近くも公表されなかった。 
首長を含め行政担当者たちは市町村の境界を超えて物事を考えようとしない。医療問題が政治や選挙の具になっている。 
 いまや、一市町村だけで問題を解決できる状況ではない。現在の枠組みの中でいかに効率を上げるか。それが、地方にできることだ。そのためには地方の行政担当者が大きな責任を負っている。必要ならば市町村の境界を超えて問題を俯瞰(ふかん)し、広域で政策を考えるべきだ。それも実行できない行政は住民に誠実であるとは言えまい。栗原医療圏では救急体制の提案も医師会から反対され、さたやみになっている。時にタフな交渉も必要だろう。それもやれずしてどうして事態の改善を図れるのか。これ以上の不作為の積み重ねは許されない。 
 医療問題は極めて多層的で、一つの見方だけではうまく解決できないことが多い。 
しかし、やるべきことに対し困難を覚悟で当たらなければ、改善は生まれない。地域医療問題で県や地方の行政担当者が果たすべき役割はまだまだ大きい。国が動くのを待つだけではなく、自らの役割を自覚し、医療行政に当たるべきだ。庁内の都合だけで考えずに、どうすれば住民の医療を改善できるのか、しっかり考えるべきだ。(投稿)