福井県、鯖江市医師会からお招きがあり公立丹南病院の改築と自治体病院で留意すべき点をお話することになりました・・・

公立丹南病院

『福井県, 鯖江市医師会からお招きがあり公立丹南病院の,改築と自治体病院改革で,留意すべき点をお話する事になりました・・・2007年10月10日・・・公設民営 社団法人地域医療振興協会が立派に運営されていますが・・・ 丹南病院にも課題はある。産婦人科、脳神経外科など5科は医師が1人。過労などで医師が倒れたら休診に追い込まれかねない。「こうした診療科のスタッフ数を2倍に増やすのが当面の目標。研修や休暇を取りやすい勤務体制にして若手医師を呼び込みたい」と白崎院長 
・・開設主体である事務組合・団体・医師会会員医療機関・病院関係者, いずれにも有益な方向をご案内したい』 (長 隆) 
  


2006年7月9日 読売新聞 
医師不足…待遇、労働条件改善を 
公立丹南病院・・・医療、看護の質を向上 


公立丹南病院では午後も患者が次々と受診していた(5月24日) 大抵の病院なら外来が閑散となる午後2時。公立丹南病院の内科や整形外科には患者が次々訪れていた。福井県嶺北地方の地域医療を担う病院として、平日は午前中だけでなく午後1時から4時まで外来診療を実施しているからだ。 

 毎年数億円の慢性赤字のために国が存続を断念した国立鯖江病院が、鯖江市など地元10市町村(現在5市町)に委譲され、公設民営方式の病院として再出発して6年余り。どう生まれ変わったのか。 

 05年度の1日平均外来患者数は573人、同入院患者数170人で、委譲当時に比べて各2・5倍、2・7倍に増加。155床あるのに40%前後だった病床稼働率は86%(199床)へ上昇した。患者が増えて経営状況は飛躍的に改善。減価償却費などを除く収支は2年目から黒字に転じ、05年度は1億円近い黒字を計上できた。 

 患者の評判も上々。バスで30分かけて来院した70歳代の女性は「医師、看護師とも親切で優しいから気安く受診できる。薄暗く汚かった国立時代と違い、建物もきれいになった」と評価する。 


 社団法人地域医療振興協会(本部・東京)が運営する丹南病院が再生できた背景には、医療や看護の質の向上がある。医師数を委譲当時の2・3倍の23人、看護師らは1・8倍の145人に増員し丁寧に診察、看護できる体制を導入してきた。診療科は住民の多様なニーズに応えようと国立時代とほぼ同じ14科を確保、各地で休診や閉鎖が相次ぐ産婦人科や小児科も開設。MRI(磁気共鳴画像装置)などの先端機器も備え、やや重症の患者を受け入れる2次救急医療や高度医療も手がける。 

 国立時代は患者13人の世話を看護師1人が担当した看護体制(13対1)は現在10対1、07年度には7対1とし、きめ細かい看護を目指す。地域医療の充実のため訪問看護、デイケアサービスなども実施。総務部門はスリム化を徹底し職員を13人から6人へ半減した。

 職員の意識改革にも力を入れ、医療はサービスであることを機会あるたびに徹底。その一つが、白崎信二院長ら幹部が開院以来、職員の給与袋に毎月忍ばせるメッセージだ。「病院の方針は患者様第1、経営は第2」、「笑顔あふれる病院にしましょう」……。白崎院長は「国立時代に不足していたサービス精神とプロ意識が職員に定着した」と自負する。 

 丹南病院にも課題はある。産婦人科、脳神経外科など5科は医師が1人。過労などで医師が倒れたら休診に追い込まれかねない。「こうした診療科のスタッフ数を2倍に増やすのが当面の目標。研修や休暇を取りやすい勤務体制にして若手医師を呼び込みたい」と白崎院長。今後も患者本位の医療を目指す努力が続く。 


市立舞鶴市民病院・・・改革の遅れが存亡の危機に 


患者がほとんど訪れず、閑散とした市立舞鶴市民病院の受付(6月5日) 10年前は18診療科を擁して常勤医師34人、外来患者1日平均665人、入院患者同190人。2次救急も24時間受け入れていた。しかし、現在の常勤医は院長代行1人、外来十数人、入院は寝たきりで動かせない2人だけという異常事態が4月から続く。院内は気味が悪いほどひっそりしていた。循環器科など五つの専門外来を除く全診療科が休診しているからだ。 

 市立舞鶴市民病院(198床)の危機の始まりは、内科診療をリードしてきた元副院長の退職だった。元副院長は、大学からの医師派遣に頼らず研修医を公募、米国から定期的に招いたベテラン内科医らの指導で総合内科医を育成する独自の研修方式を1986年から導入。この制度に魅力を感じた若手医師が全国から集まった。 

 しかし、今後の運営方針を巡って、経営陣と意見が合わなくなり2003年6月に辞意を表明、04年3月に退職した。これに呼応するように、13人いた他の内科医も前後して集団辞職。新たに着任した内科医2人も過労を理由に2か月足らずで病院を去った。 

 病院側は後任を探したが、確保できず内科病棟を休止。産科部門、小児科、耳鼻咽喉(いんこう)科でも医師の退職などの影響で今春までに診療体制を大幅縮小した。一連の騒動が響いて収支は急速に悪化、累積赤字は現在約35億円にのぼる。 

 舞鶴市では幹部職員らが大学に出向いて医師の派遣を教授に依頼するなどしたが、見つからなかった。このため、病院の再建を断念し、運営を医療法人社団「恵心会」(京都市下京区)に委託。診療科を内科、リハビリ、人工透析の3部門にスリム化し4月から100床程度の療養型医療体制で再出発する方針を1月に発表。3月末までに3部門以外の11診療科の外来を終了、救急医療も廃止した。常勤医や看護師の多くは退職し他の病院へ異動。入院患者のほとんども転院させた。 

 しかし、療養型医療でも一部外来や当直体制を組まねばならず、当面は少なくとも3~5人の常勤医が必要という。現在は1人も確保できておらず民間委託は当面延期されている。市の要請で、4日から9月末までは自衛隊舞鶴病院などの医官8人が派遣医として交代で平日の当直などに当たるが、その後の状況は不透明なまま。 

 舞鶴市民病院のケースは、改革が遅れると地方公立病院は存亡の危機に直面する恐れがあることを示している。市や病院側の対応は後手,後手に回ったと言わざるを得ない。元副院長が辞意を表明した時点で本腰を入れて医師を探せば、事態は変わったかもしれない。 

自治体病院の経営状況 
 地方公営企業年鑑(総務省自治財政局編、04年度)によると、全国9122病院中、自治体病院は約1000あり、病院事業全体の経常損益の赤字額は1317億円。前年度より385億円も上回り、経営状況が一段と厳しくなった。経常損失を生じた病院の割合は65.4%で前年度比4.3ポイント増えた。悪化の要因として、患者数の減少や診療報酬の引き下げが響いたとみられる。累積赤字も1兆6826億円で前年度より636億円、4%増加。