交通事故や脳卒中で倒れたとき、どこにいても早期に高度な医療を受けられるようにするため、厚生省は全国の救命救急センターに専門医を待機させ、医師が同乗する救急専用ヘリコプター(ドクターヘリ)でそのセンターに患者を搬送する態勢を整備することを決めた。

朝日新聞

■ドクターヘリを公費で――来年度、厚生省が要求へ2000.08.28 東京朝刊
 一刻も早く救命救急センターに 
  

2000.08.28 東京朝刊
 一刻も早く救命救急センターに 
 交通事故や脳卒中で倒れたとき、どこにいても早期に高度な医療を受けられるようにするため、厚生省は全国の救命救急センターに専門医を待機させ、医師が同乗する救急専用ヘリコプター(ドクターヘリ)でそのセンターに患者を搬送する態勢を整備することを決めた。来年度から5年間で整備を目指し、来年度予算の概算要求に83億円を盛り込んだ。ドクターヘリは、治療開始が早くなるため、救命だけでなく後遺症の軽減につながる。日本では医療、交通、通信、消防などを管轄する省庁の縦割りで、欧米と比べて導入が遅れていた。 
 計画では、全国135カ所の救命救急センターの専門医配置を強化。脳外科や神経内科、循環器科などの医師が24時間態勢で待機し、心筋こうそくや脳卒中で救急搬送された患者の治療を即時に始められるようにする。この人件費のために来年度は27億円の予算を要求した。センターなどの救急病院172カ所には、「脳卒中の集中治療室(SCU)」「心疾患の集中治療室(CCU)」を整備する方針だ。 
 一方、昨年度から始まったドクターヘリの試験的運用では、費用負担が焦点になっていた。ヘリは運航会社からチャーターし、操縦士や同乗医師らの人件費も必要だ。ある試算では、1回出動するごとの経費は約60万円ともいわれる。 
 厚生省は病院などが経費の3分の1を負担するのが基本としているが、とりあえず来年度は病院からの負担は求めず、国が病院負担分も合わせて計3分の2、自治体が3分の1を支出することにして、計7億円の予算を要求する。 
 すでに試験的運用を実施している岡山県の川崎医科大付属病院など7カ所の病院に、騒音の少ない専用ヘリを導入する。災害時に限らず、専門医がいる高度医療施設から離れた地域に住む人らが倒れた際にも、早急に搬送するのが目的で、並行して市町村ごとのヘリポート設置などを促す。 
 神奈川県と岡山県で昨年度試行したドクターヘリ事業では、命が助かった人や身体機能の障害に至らなかった人の割合が、ヘリを使わなかった場合に比べると倍増したとされている。