公立小野町地方綜合病院・・・心痛める地方病院の危うさ・・国の介入が必要!



公立小野町地方綜合病院・・・心痛める地方病院の危うさ・・国の介入が必要!!(福島民報「論説 」2007年08月24日) 


 公立小野町地方綜合病院の院長と常勤医師が退職願を出し病院の存続が危ぶまれた問題は県の支援で診療が継続されることになったが、医師不足の深刻さと病院経営の厳しさを県民にあらためて突き付けた。 

 県内31の公的病院を対象に県は今年1月、医師派遣調査を実施した。派遣希望数は昨年3月の97人を62人も上回り159人に上った。しかし、派遣可能な福島医大の助手の数はわずか2割程度の33人で小野町地方病院への派遣も内科の医師1人にとどまっていた。同病院は赤字経営のうえ慢性的な医師不足となっていたが、公立病院の性格から地域医療を支える核として存続してきた。来年以降の病院運営は依然として厳しく、住民には不安が残るだろう。 

 医師不足の深刻さは全国調査でも顕著に表れている。6月2、3日に実施した日本世論調査会の「医療問題」全国面接調査で、医師不足を「大いに感じる」とした人は人口10万人未満の小都市や郡部で大都市や中都市を大きく上回った。医師が都会に集中し地方にしわ寄せがきている状況が浮き彫りになった。特に医師不足を感じる理由について大都市や中都市では「待ち時間が長くなった」が半数以上だったのに対し、小都市や郡部からは「病院などの閉鎖」と直接的な回答がはねかえってくるほどだ。 

 日本赤十字社が全国で運営する92病院のうち、8割を超す76病院で医師が不足していることも明らかになっている。理由として医師が出身大学などに戻った後補充できないなど、大学医局人事と関係する回答が目立った。対応は病院の自助努力の限界を超えており、地域医療はもちろんのこと災害時の医療活動にも影響が出かねないとみられる。 

 医師不足に対し県内自治体はさまざまな方策を立てている。いわき市は今年度、医学部生を対象にした修学資金貸与制度を設けた。卒業後、貸与期間と同じ年数を市立病院に勤務すれば返済を免除する。櫛田一男市長は、当面は公立、民間を問わず市内の病院と診療所が連携し地域医療が完結する態勢を整えるとしている。須賀川市も今年、市内出身の医学生に対し特別奨学金制度を設けた。 

 国の医師不足対策にしても即効性のある特効薬はないのが現状だろう。地元に定着する医師を増やすために医学部の定員増を図ったり、地元枠を設けたりする大学も増えているが、効果が出るまで時間がかかる。文部科学省によると10年前の平成9年度は2大学、計10人だった地元枠は今年度19大学165人に増加した。16年度から県内の高校生を対象に推薦入学を設けた福島医大では地元枠を拡大し今春は12人が合格した。来春は15人程度に増やす。 

 行政には地域医療に取り組みやすい環境整備が求められる。国や自治体が医師不足を調整するなどの介入も必要だ。県は県内勤務を希望する医師と、医師を求めている医療機関などを登録するドクターバンク制度を年度内に創設する。全国ではすでに23道府県で導入しているという。退職や出産・育児などを理由に離職した医師の力を求めるものだが、県民の命と健康を守るため、現状改善にあらゆる手段や方策を講じてほしい。 
※ 第1回公立小野町地方綜合病院改革委員会 議事録