2007年9月8日(土)長 隆講演会・・改革迫られる自治体病院・・野村ヘルスケアーのご支援を戴きサンケイホールの立派な会場に全国の自治体関係者・・市長・議員・院長さん始め医療行政の責任者の方々200名近くご参加いただきました。

 

『2007年9月8日(土) 長 隆講演会・・改革迫られる自治体病院・・野村ヘルスケアーのご支援を戴きサンケイホールの立派な会場に 全国の自治体関係者・・・市長・議員・院長さん始め 医療行政の責任者の方々200名近くご参加いただきました・・・講演は私が映画「シッコ」を鑑賞した感想からはじめさせていただきました。 偶然当日の朝日新聞の朝刊に山田厚史さんの署名記事が出ていました・・・・ 

 *武弘道先生急病のため、長隆が自治体病院経営について講演させていただきました・・ 
1日も早いご回復をお祈り申し上げます。』 (長隆) 

シッコ

シッコ
医療保障の破滅によって崩壊し、粉々にされ、場合によっては絶たれてしまったごく普通のアメリカ人数名のプロファイルで幕をあける本作は、その危機的状況が、4700万人の無保険の市民たちだけでなく、官僚形式主義によってしばしば締め付けられながらも保険料を律儀に支払っている、その他数百万人の市民たちにも影響を及ぼしていることを明らかにする。いかにしてこれほどの混乱状態になったのか、それだけを述べた後、観客はすぐに世界へ連れ出される。カナダ、イギリス、フランスといった国を訪れるのだが、それらの国々では、国民全員が無料医療という恩恵を受けているのだ。またムーアは、9・11事件の英雄の一団を集結させる。彼らは、アメリカにおいて医学的治療を拒否され、今も衰弱性疾患に苦しむ救助隊員たちであった…。
[ 2007年8月25日公開 ]




読み・解く 経済が描く医療 

朝日新聞編集員 山田厚史

2007.09.08 朝日新聞 東京朝刊   
  
キューバのカストロ首相とベネズエラのチャベス大統領が「医師と原油」を交換している、と以前この欄に書いたら、多くの読者から驚きの反応をいただいた。 

キューバは医師の育成に力を入れ、地域医療の先進国であることは、日本で案外知られていない。 

 キューバの1人当たりの国民所得はインド並みで、中国より低い。 

貧しい国ではあるが、乳児死亡率は米国より低く、平均寿命は77歳。先進国並みなのだ。 

 「世界がキューバ医療を手本にするわけ」(築地書館)の著者である吉田太郎さんは「下町から山村まで地区ごとに担当医がいて予防医療が徹底している。 

がん治療から心臓移植まで医療費はすべてタダ。独特のワクチンを開発する先端技術も備え、WHO(世界保健機関)が太鼓判を押す医療大国だ」と指摘する。 

 M・ムーア監督の話題作「シッコ」は、貧しい人が医療から見放される米国社会の暗部を描いた。 

監督は医療難民を引き連れマイアミからキューバに渡る。米国で得られなかった医療を施された人々が涙する皮肉たっぷりのシーンもある。 

 1人当たりの医療費が先進国でも突出している米国の医療制度は、中国と似ている。 

中国では国有企業や人民公社が地域を丸抱えしていた旧制度が崩れ、医療・年金など安心ネットワークがずたずた。金持ちは最高の医療を受けられるが、貧乏人は病院に行けない。 

安心して医者にかかれる国民皆保険制度が無いことが米中に共通している。 

 「民間でできることは民間で」の米国は任意加入の医療保険がビジネスとして広がっている。 

社会の底辺には約4500万人が無保険でいる。加入しても保険が下りないケースが少なくない。 

保険会社が支払いを絞って業績を上げようとする。「小さな政府」の行き着いた先、医療を利潤動機に委ねた姿を「シッコ」はしつこく追っている。 

 日本は乳児死亡率も、平均寿命も、世界に誇る水準だ。その国で、産気づいた妊婦を受け入れる病院が見つからず、救急車で搬送の途中に死産した。 

産婦人科医の不足、都市と地方との医療格差は深刻だ。命を守る医療が採算というモノサシに振り回されている。 

 「揺りかごから墓場まで」の英国もそうだが、国民皆保険は膨張する医療費の重圧に悩んでいる。 

サービスを切りつめればいいのか。長野の農村で地域医療に取り組んでいる医師の色平哲郎氏は「医師の人格教育と地域に根づく予防医学を重視するキューバにヒントがある」という。 

 キューバには薬漬け医療はない。生活指導と伝統医療の工夫、それを支える地域の連携。 

低医療費による良質なサービスの母体が共同体で、その中核に医師がいる。 

 その気になれば米国で高収入を稼ぐ生き方もある。にもかかわらず多くの医師がグローバリズムの風圧にめげず貧しい国に踏みとどまり、地域医療に取り組んでいるのはなぜだろうか。